黄鶯睍睆|うぐいすなく|鶯|初鳴|梅|名所|桜開花予想2024

歳時記
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黄鶯睍睆 うぐいすなく ウグイス

梅の花も少しずつほころびはじめ、景色はしだいに春らしくなっていきます。
吹く風も三寒四温の寒暖の繰り返しとともに春めいてき始め、五感を研ぎ澄ませば寒いながらも春を感じることが多くなってくるこの頃ですが、2月9日より七十二候は「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」、山里ではウグイスが鳴き始める頃となります。

花を咲かせた梅の枝にとまっているうぐいすの様子は「梅に鶯」といって、古来より春の兆しとして愛されてきました。その情景はたくさんの絵に描かれ、歌にも詠まれています。

さらには8日は「事八日」、10日は「旧正月」、11日は「建国記念の日」、そして12日は「初午」です。

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黄鶯睍睆(うぐいすなく)

睍睆」という難しい漢字は、「けんかん」と読み、鳴き声の良いという意味です。

うぐいすは「ホーホケキョ」という美しい鳴き声が有名で、オオルリコマドリとともに日本の三鳴鳥の仲間に入っています。
昔の人は、うぐいすを飼ってさえずりを楽しんでもいました(現在は勝手に野鳥を飼うことはできません)。

そして、うぐいすは別名をたくさん持っている鳥で春告鳥、春鳥(はるどり)、報春鳥(ほうしゅんどり)、花見鳥(はなみどり)、歌詠鳥(うたよみどり)、経読鳥(きょうよみどり)、匂鳥(においどり)、人来鳥(ひとくどり)、百千鳥(ももちどり)など様々な呼び名で呼ばれています。

そのうぐいす、春とともに渡ってきて鳴くわけではありません。
一年中日本で暮らす留鳥(りゅうちょう)で、夏は山、冬は人里の近くの竹やぶなどで暮らしています。
特に冬は近隣の公園や庭の植え込みの中に潜んでいることも多いのだそうです。
それにしても、春以外にウグイスの声なんて聞いたことありません。 その訳は、繁殖期以外のうぐいすは、ひっそりと潜伏しています。たまに鳴くとしても「チャッ、チャッ」という地鳴き(笹鳴き)と呼ばれるお馴染みの「ホーホケキョ」とは似つかぬ鳴き声をするだけなので、人が聞いてもまさかウグイスとは思わないようで、気づかないそうです。

その「ホーホケキョ」と鳴くのはオスで、その初鳴日が一昨年までは気象庁から発せられていました。
しかし、気象庁単独で行う「生態季節観測」は廃止されてしまいました。
そのような中、沖縄からウグイス初鳴きの最初の情報が、そして続いて熊本の天草からも届いています。

ここでうぐいすの初鳴日の概ねの目安を書いておきます。

・九州地方~沖縄県:2月前半~3月始め頃
・四国~中国地方 :2月後半~3月初め頃
・関西地方    :2月前半~3月後半頃
・中部地方    :3月初め~3月前半頃
・関東地方    :2月後半~3月初め頃
・東北地方    :3月初め~5月初め頃
・北海道     :4月後半~5月初め頃

先程も書きましたが、気象庁は今年1月から、動植物の動向で季節の移り変わりを調べる「生物季節観測」の対象を大幅に縮小しました。生態環境が変化した昨今では、対象植物の標本木を確保することや、動物を見つけることが困難になっていることが、縮小に至ったのが理由だそうです。
季節感が観測できないというのは、どこか寂しい感じもします。

さて鳴き始めの頃のうぐいすの鳴き声は初音(はつね)といってまだまだ本調子ではなく、トレーニング中といったところです。
有名な「ホーホケキョ」の「ホー」は息を吸う音「ホケキョ」がさえずりと言われています。

黄鶯睍睆 うぐいすなく ウグイス

うぐいすの鳴き声には、以下の様なものがあります。

 谷渡り鳴き

繁殖期のオスだけが出す鳴き声で、縄張りに天敵が近づいた時、さえずりとは違う、「ケキョケキョケキョ」や「ピーヒョロロロピヒョピヒョ」とけたたましい鳴き声を放ちます。

 笹鳴き

冬期のオスとメスが雀の鳴き声のように可愛らしく、チャッチャッという小さな声で鳴くもの。主に冬の時期に聞けるようです。

 地鳴き

地鳴きはオスとメスが一年を通して出す鳴き声で、「ヂュンヂュン」というように鳴きます。笹鳴きと似ていますが、やや地鳴きの方が大きく、濁音が混ざったように聞こえます。

 さえずり

私たち人間も春を感じる鳴き声として魅了される、おなじみ「ホーホケキョ」はオスからメスへの求愛の時に出される鳴き声です。
このさえずりには、縄張り宣言の意味もあると言われているのですが、全く同じさえずりではなく、求愛の時と聴き比べると、もう少し低い「ホーホケキョ」のようです。

冒頭に書きましたが、「梅に鶯」という言葉が使われます。
これは春告鳥と春の訪れを告げる梅とのおめでたい2種の美しく調和する理想的なコラボレーションをイメージしたものです。
他にも「松に鶴」「竹に虎」などがあり、松竹梅をベースに慶事・吉兆の象徴として、古くから絵柄などにも使われてきました。

うぐいすは、声は聞こえるけど実はなかなかその姿を見ることは難しく、めじろと勘違いされ間違えられることも多いです。
うぐいすの普段の暮らしは藪の中を素早く動き回っているので、なかなか見つかりません。梅によって来るのは殆どがメジロだそうです。

梅にメジロ

それはうぐいすとメジロの食性によるもので、メジロは花の蜜を吸いに梅などの花々に寄ってきますが、うぐいすは主にクモなどの昆虫を食べるため中々梅の枝にとまるうぐいすにはお目にかかれないというわけです。

九州沖縄の梅の名所・梅祭り

伊万里梅園

黄鶯睍睆(うぐいすなく)は以前の七十二候では「梅花乃芳(うめのはなかんばし)」と言われていました。

梅に鶯ではないですが、この時期各地から梅の見頃情報が届いてきます。
福岡管区気象台によりますと2024年は、福岡では平年より20日早く、昨年より24日早い1月11日に開花したと報ぜられました。その後九州各県で続々と開花のニュースが入ってきています。

菅原道真公の影響か九州各地に梅の名所があります。
また福岡県や大分県では県の花(大分県では県の木にも)に指定され馴染みの深い花木となっています。

そこで九州・沖縄の主な梅の名所を列挙しておきます。

福岡県

太宰府天満宮
三岳梅林公園
白木谷梅林
宮ノ陣神社
八木山高原花木園
谷川梅林
梅林寺
普光寺

佐賀県

高伝寺
牛尾梅林
伊万里梅園

長崎県

島原城
梅園身代わり天満宮

熊本県

人吉梅園
谷尾崎梅林公園
熊本城飯田丸梅園

大分県

吉野梅園
おおくぼ台梅園

宮崎県

月知梅
かいごん塔
市民の森

鹿児島県

藤川天神(菅原天神社)
仙厳園

沖縄県

屋嘉梅園

結詞

本文にも書きましたが、昨年からは植物や動物の様子を観測する「生物季節観測」が植物の標本木の確保や、気象台周辺の都市化などにより動物を見つけること自体が難しくなるなどの「生態環境の変化」により全国的に大幅に縮小され、残ったのは、ウメ・サクラ・アジサイ・ススキ・カエデ・イチョウの6種目のみとなってしまいました。
この発表は予想外に大きな反響を呼び、その後気象庁から、「生物季節観測」の発展的な活用に向けた試行調査の開始についてと題する以下のような発表がありました。

『概要』生態環境の変化や気候変動の生態系への影響把握、身近な生物の観察を通じた四季の変化や生物への関心を高める活動等、「生物季節観測」の発展的な活用に向けて、気象庁、環境省、国立環境研究所が連携した試行的な調査を開始します。

季節の便りが減り寂しく感じられていましたが、季節の移ろいを感じながら「歳時記」ブログを綴っているものとしては少しホッとした気持ちです。

桜に鶯

さて「梅は咲いたか桜はまだかいな」という江戸端唄の一節をご存じだと思いますが、サクラの開花についての生態季節観測は継続されています。
そこで、日本気象協会から2024年の「桜の開花予想」が発表されていますので拝借して載せておきます。

2024年の桜の開花は、3月19日に福岡・高知からスタートし、全国的には平年より早くなるところが多いようです。

魚上氷 うおこおりをのぼる

七十二候は立春の末候、14日より「魚上氷(うおこおりをのぼる)」と移っていきます。

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