暦は14日より清明の末候「虹始見(にじはじめてあらわる)」となります。
雨上がりの後、チリも払われ澄み渡った空に架かる虹は気持ち良いものです。
身も心も晴々と「虹」が見られるような日々が少しずつですが、戻ってきそうです。
さらに11日(旧暦3月3日)は沖縄や奄美地方では「浜下り」、そして16日より春土用となります。
虹始見(にじはじめてあらわる)
七十二候は2024年は14日より清明の末候「虹始見(にじはじめてあらわる)」となり、冬には見かけなかった虹が現われ始める頃です。
春が進むとともに、冬の間、乾燥していた空気もだんだんと潤ってきますので、この時期から雨上がりに虹を見かけることが多くなってきます。
しかしながら、春は陽光はまだ弱く、夏の虹に比べると淡くはかない虹です。
虹には太陽の光の強さが必要で、虹が見えるということは冬の光が確実に春に変わったということとも言えるでしょう。。
そして陽光が強くなるのと比例して、くっきりとした綺麗な虹が見られるようになっていきます。
この七十二候も初冬の小雪の初候「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」と春秋で対をなす七十二候です。
虹について
「虹」は夏の季語ともなっていますが、立春を過ぎて初めて見られる虹のことを「初虹」と言うそうです。
また英語では「レインボー」と言うのは皆さんご存じだと思いますが、このレインボーは「雨(レイン)の弓(ボー)」という意味です。
フランス語では「アルカンシェル」、空に架かるアーチと表現しています。
自転車競技も日本人選手の参戦、そして活躍もあって依然と比べて徐々に良く知られるスポーツとなってきつつありますが、その世界チャンピオンがその証として着用するジャージのストライプとして採用されているのが「アルクアンシェル」です。
さて「虹」という漢字が虫偏であるのは、古代中国では、大空にかかる虹の姿は、天に住む大蛇や龍であると考えられていたからです。「虫」は蛇をかたどった象形文字で、蛇(虫)が大空を貫く(工)という意味だそうです。
虹と蛇については中国のみならず、世界各地に巨大な虹の姿の蛇が存在していて、大地の地形にその足跡を残していたり、創造や雨を降らせる力があるという神話・伝説もあり、主にオーストラリア、西アフリカ、北アメリカで伝えられてきています。
虹はどうして見える?
虹が見える条件は雨上がりなど空気中の水分が多いことと、止んだ後または降っている最中でも晴れ間が出ることが条件です。
虹は学校の理科の時間に実験で使われた記憶がある方もおられると思いますが、空気中の水滴が、あの三角柱のガラスと同じ原理で同様の働きをして、太陽の光を屈折・反射されることによって太陽光が分解されて、複数色の帯状懸け橋のように現れるものです。
虹は七色?
さて、皆さんにお聞きしますが虹は何色ありますか?
この質問に対してほとんどの方が「7色」と答えられると思いますが、昔は3色とか4色と言われた時代もありました。
この「7色」というと主張し始めたのは、あのリンゴから万有引力を見つけ出したアイザック・ニュートンです。
実際はその色と色の境はグラデーションとなっているため7つの色が独立して重なり合っているわけではないのですが、ニュートンが音楽のドからシの7つの音階の周波数が同じ幅であることに準えて「紫、藍色、青、緑、黄、橙、赤」の7色と提唱したものです。
ただニュートンの出身地であるイギリスやアメリカなどでは一般的に「6色」と言われています。
ちなみに前述の自転車の世界チャンピオンが着用するジャージのストライプは「5色」で、虹と同時に5大陸も表しているそうです。
ダブルレインボー
時折、二重に架かる虹を見たことはありませんか。
実は虹は本来すべてがこの二重なのをご存じでしたでしょうか。
はっきり見える内側の虹を「主虹」、うっすらと見える外側の虹を「副虹」と呼んでいます。
ただこのダブルレインボーの副虹は光が弱くて薄いため、空の色や空気中の水滴の大きさ、見える角度など様々な条件が満たされた時にしか確認できません。
ですから、ダブルレインボーはラッキーの前兆と言われる所以なのです。
さらにこのダブルレインボー、ラッキーの前兆ということで喜び騒いで終わりにしてしまってはいけなせん。ダブルレインボーが出たら落ち着いてじっくり見てみてください。色の並びが主虹と反対に並んでいることに気づかれると思います。
ムーンボー(ボウ)
虹に関するお話をもうひとつ。
皆さんはムーンボー(ボウ)とい虹をご存じでしょうか。
先ほども書きましたが、一般的に「虹」は太陽光が空気中の水滴などを通して屈折・反射・分解されて現れたものですが、ムーンボーはその光源が夜間の「月の光」に代わります。そのため日本では月虹(げっこう)、月光虹とも呼ばれています。
ただ、光が弱いために色彩が淡く、肉眼では虹が七色ではなく白く見えることから、白虹(はっこう)とも呼ばれます。
本場、ハワイのマウイ島ではムーンボーは月からの光は光量が弱いため、昼間の虹に比べても多くの条件が必要なので滅多に見ることが出来ないため「ムーンボーを見ると幸せになれる」と言われています。
ムーンボーが出現する条件としては、都会などの光害が無い場所で、月が出ている方向と反対の空が真っ暗なこと、そして月の光量が一番明るい満月の頃(スーパームーンが重なれば尚更いいです)で、霧雨のような小雨が降った後の空気中に小さな水滴がたくさんある時に見られる可能性が高いそうです。
もちろん日本でも見ることは出来ます。
春土用
2024年は16日より土用に入り、立夏の前日の5月4日までが春土用の期間です。
ところで皆さんは「鰻」のイメージが強いせいか、土用=夏というイメージを持っておられるのではないでしょうか。
実はこの「土用」春夏秋冬の年4回訪れる雑節なのです。
中国の陰陽五行説では万物の根源として「木火土金水」が挙げられ、それぞれ春=木、夏=火、秋=金、冬=水の四季が充てられています。
そこで余ったと言っては申し訳ないのですが、残った「土」は立春・立夏・立秋・立冬前の約18日間を季節の変わり目の「土用」として充てました。
昔は土を司る神様が支配する土の気が強くなり、土を動かしてはいけないとされてきました。
今でも、家などを建築する際の土を掘り起こしたりする基礎工事の開始や井戸掘りやその清掃作業などは土用の期間を避けることが多いようです。
しかしながら18日間も作業を中断していては支障が生じるために「土用の間日」という土の神様が文殊菩薩に招待されて天上に帰られる日が設けられていて、その日は作業をしてもかまわないとしました。
2024年の春土用の間日は4月23日、4月24日、4月27日です。
これも季節の変わり目で過度な労働を戒め、体調を整えましょうという知恵から出たものかもしれません。
春土用の食べ物
春土用のおすすめの食べ物は戌の日(2024年は4月16日、4月28日です)に『い』の付く食べ物とか、『白い』食べ物が良いと言われています。
『い』の付く食べ物
・いんげん
・いわし
・いも
・いちご
・いなり寿司
・イカ
・いくら
・いよかん
・いせえび
・いちじく など
『白い』食べ物
・ご飯
・食パン
・牛乳
・ヨーグルト
・大根
・かぶ
・ホワイトアスパラ
土用期間にやってはいけないと言われていること
土動かし
土用期間中は、土公神(どくしん・どこうしん)という陰陽道の土をつかさどる神様が支配するとか、土の中にいらっしゃると言われています。
この期間は土を動かしてはいけないとされています。
土を動かすというのは、土いじり、草むしり、柱立て、基礎工事、壁塗り、井戸掘りなどを含む穴掘り、増改築などです。
なお、土用前に着手した農作業や増改築についてはやってもよいと言われています。
新しいこと
土用期間中は、諸説ありますが、転職、就職、結婚、結納、開業、開店、新居購入などの新しいこともしてはいけないと言われています。
土用はそれぞれの季節の変わり目にあたります。この時季は体調を崩しやすいものです。
昔は医学が発達していなかったため、体調の変化が生活に大きな変化を与えたり、病気が重くなったりしました。
そのために土用の期間中は新しいことは始めず、養生して過ごすようになったため、前述のことをしないという風習ができたのかもしれません。
結詞
2024年は昨年より桜の開花は少々遅めでしたが、あっという間に「満開」となっています。3年続いた新型コロナウィルス禍も感染症分類も引き下げられ、、行動制限もなくなり、各地で花見が盛況のようです。これから春の大型連休も以前のような賑わいが戻ってきそうです。
暦は19日より二十四節気は「穀雨(こくう)」そして七十二候はその初候「葭始生(あしはじめてしょうず)」と進みます。
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