冬至|とうじ|乃東生|なつかれくさしょうず|2023年|靭草

歳時記
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冬至 とうじ

暦は22日より二十四節気は「冬至(とうじ)」、七十二候は、その初候「乃東生(なつかれくさしょうず)」と変わります。
一年で一番昼間の時間が短くなる頃であると同時に、冬至を境に少しずつ昼間の時間が長くなっていく頃でもあります。
しかしながら初冬・仲冬・晩冬の三冬に区別した場合、冬至の日は正に仲冬の真ん中に位置し、昔から「冬至・冬中・冬始め」とも言われているように、寒さはこれからが本番です。

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冬至(とうじ)

冬至 とうじ

22日より二十四節気も今年最後の「冬至(とうじ)」となります。
お馴染みの「暦便覧」では「南の日限りを行きて、日の短きの至りなればなり」と書かれていて、北半球では夜が一番長い日です。
そして太陽は一年で最も低い位置にきて、その強さも一番弱まる日でもあります。
昔は冬至の日は「命が終わる日」、「死に一番近い日」とも言われていて、その厄(やく)を払うために体を温め、無病息災を祈っていました。
ゆず湯などの慣わしは現在も続いています。

また冬至は「日短きこと至る(きわまる)」という意味で、中国では、この日から新年の始まる日とされ、先祖を祀る習俗がありました。
そのためこの日を境にその力は再び蘇ってくることから、日本のみならず世界中でお祝いのお祭りが盛大に催されます。

沖縄でも「トンジー」といって、本土の習わしとは少し違いますが、全国的には「一陽来復(いちようらいふく)」とし、お祝いをしているのと同様に、冬至を境に「生まれ変わる」と捉える文化もあり、沖縄では「トゥンジーショーグァッチ(冬至正月)」といって大切な日です。
この日を境に日が長くなるため、「明日からは運気が日に日に上がって来る(運気上昇)」の日です。

ただ、以下の記事は本土の習わしを中心に書いてありますので、かぼちゃの煮物を家族でいただく…、柚子風呂も入る…ことが大切な行事ですが、沖縄の習わしでは、沖縄では用意した「トゥンジージューシー」を神様にお供えします。
そのトゥンジージューシーも時代とともに変化してきていて、昔は豚の三枚肉の煮付けに、ターンム(田芋)や里芋などのイモ類を混ぜた雑炊でしたが、現代では豚の三枚肉の煮付けや、ニンジン、かまぼこ、昆布などをそれぞれ賽の目状にして、炊き込んだ沖縄の家庭料理「ジューシー」の炊き込みご飯に「ンムニー」(田芋のきんとん)などの副菜に供えています。

一陽来復(いちようらいふく)

一陽来復 アマビエ

冬至のことを、中国や日本ではこの日は「陰の極み」で、翌日から再び陽にかえると考えられてきたので、「一陽来復」とも言います。
「一陽来復」は中国の「易経」に出てくる言葉で、昔の暦では10月はすべて陰の気で覆われ、11月になると陽の気が復活し、冬至を境に長くなっていくとされています。
つまり、衰えていた太陽の力が再び勢いを増し、冬至の翌日から昼間の長さも再び延びてくることから、新しい年が来るという意味の他に、悪いことが続いた後に冬至を境にみんなが上昇運に転じ、幸運に向かうという意味も込められています。
良くないことが続いている人も、冬至が来たら「さあ、これからは良いことがどんどんやって来る」と気持ちを切り替えるきっかけを与えてくれる日でもあります。
ちなみにこの「一陽来復」になぞらえて、悪い事が続いた後に「福」がやってくるという「一陽来福」という熟語もあります。

冬至の七種(とうじななくさ)

冬至には「冬至の七種(とうじななくさ)」といって「」の付くものを「運盛り」ともいい、それを食べると縁起が良いと言われています。
また、「いろはにほへと」が「ん」で終わることから、「ん」を食べることによって新しく生まれ変わる自覚のもと、一陽来復の願いが込められています。

冬至の七種

冬至の七種は

1.なんきん・カボチャ(南京)
2.れんこん(蓮根)
3.にんじん(人参)
4.ぎんなん(銀杏)
5.きんかん(金柑)
6.かんてん(寒天)
7.うんどん・うどん(饂飩)

この中でも代表格は「かぼちゃ(南京・なんきん)」ではないでしょうか。
かぼちゃは漢字では「南瓜」と書きますが、冬至は陰が極まり再び陽にかえる日なので、陰(北)から陽(南)へ向かうことを意味しており、さらに中身が鮮やかな黄色で、太陽の色を連想させることから陽の力を助けるという意味もあるそうで、冬至に最もふさわしい食べものになりました。
本来かぼちゃの旬は夏ですが、長期保存が効くことから、冬に栄養をとるための昔の人の知恵でもありました。
そしてただの語呂合わせや縁起担ぎだけではなく、かぼちゃにはビタミンAカロチンが豊富に含まれているので抵抗力がつき、風邪や中風(脳血管疾患)の予防に効果的だと言われています。

冬至の行事食

いとこ煮

一般的によく食卓に上るのは「いとこ煮」ですが、全国的には「いとこ煮」のレシピはその地方々々で様々でおかず風のものもあれば汁物もあり、さらにはスイーツ風のものあります。
同じ名前でもこれほど地方色の出る食べ物は雑煮と肩を並べるのではないでしょうか。

いとこ煮

さらには、この「いとこ煮」という言葉自体、材料をそれぞれ(銘々)に煮ることから「姪姪」からきたという説や様々な野菜が煮られ、種類は違えど野菜であることには変わらないので「近親関係」の「いとこ」になぞえて付いたという説などいろいろありますが、堅いものから順々に煮ていく調理法から「追い追い(甥々)煮る」という洒落から名付けられたという説が定説となっているようです。
ここで一般的な「いとこ煮」のレシピ、作り方をご紹介しておきます。

レシピ(4人分)

・小豆    75g(カップ1/2)
・かぼちゃ 150g 
・だし汁  400ml(カップ2)
・砂糖    大さじ3
・しょうゆ  大さじ1

作り方

①小豆は4~5時間ではあまり吸水しないので、一晩水につけておきます。
②アク抜きのため①の小豆をなべに入れ、小豆がつかる程度の水を入れて沸騰させます。沸騰したら火を消し、ざるにあげ、ゆで汁を捨てます。そして再び、鍋にもどし、水を入れ、小豆が柔らかくなるまで気長に煮ます。小豆が煮えたら汁気をきっておく。
③鍋にだし汁を入れ、3センチ角程度に切り、面取りしたかぼちゃを入れ、かぼちゃが柔らかくなるまで煮ます(10分くらい)。そこに小豆と砂糖を加え弱火でコトコト煮ます。両方が柔らかくなったら、最後にしょうゆを加えて、汁気がなくなるまでさらにゆっくり煮ます。これで完成です。

冬至粥(小豆粥)

冬至粥小豆粥と呼んでいるところもありますが、小豆のように赤い色の食べものは邪気を払うと考えられていて無病息災を祈ります。
また小豆は「餡(あん)」に通じ冬至の縁起物だと言われる方もいます。
こちらも無糖のゆであずきを使うと簡単に出来ますので、忘年会などで弱った胃を労わるのにもってこいですし、小豆粥を食べて厄払いにもなりますので、是非お試しください。

冬至粥 小豆粥
レシピ(4人分)

①米 1カップ
②市販のゆで小豆缶(無糖) 1缶
③水 6カップ
④塩 小さじ1

作り方

1.米を研いでザルに上げ、水気をきります。
2.研いだ米と小豆と水を鍋に入れ、30分ほど浸水させておきます。
3.鍋にフタをして強火にかけ、沸騰したら弱火にし、吹きこぼれないように1時間ほど炊きあげます。
4.塩を加え、フタをして5分ほど蒸らして完成です!!

ゆず湯

ゆず湯

さて冬至の日に「ゆず湯」に入る方も多いと思います。
そのやり方は、丸ごと浴槽に入れたり、カットして浮かべたり、さらには後始末のことも考えてカットしたものをネットに入れて投入したりと各家庭様々です。
もともとは「一陽来復」の運を呼びこむ前に、厄払いするための禊(みそぎ)として身を清めました。
昔の人は毎日お風呂に入る習慣がなかったので、大切な行事の時にはお風呂に入り、身を清めていました。
冬が旬の柚子は香りも強く、強い香りのもとには邪気がおこらないという考えもありました。ちなみに端午の節供の菖蒲湯も同じ意味合いがあります。
そして柚子(ゆず)=「融通」がきく、冬至=「湯治」に通じて縁起もよいため、冬至には柚子となりました。
また柚子は実るまでに長い年月がかかるので、長年の苦労が実りますようにとの願いも込められていたようです。
もちろん、柚子湯にも語呂合わせや縁起担ぎの外にも、血行を促進して冷え性を緩和したり、体を温めて風邪を予防したり、果皮に含まれるクエン酸ビタミンCによる美肌効果もあります。
さらには、香りによるリラックス効果もありますから、元気に冬を越すためにも大いに役立ちます。
柚子湯に入りながら「一陽来復」と唱えると、さらに効果アップだそうです。

乃東生(なつかれくさしょうず)

22日は七十二候も冬至の初候「乃東至(なつかれくさしょうず)」になります。
少しずつ冬が深まり、あらゆる草花が枯れてゆきますが、乃東は芽を出し、茎を伸ばしはじめる頃です。

乃東生 なつかれぐさしょうず

乃東(だいとう)」というのはシソ科の「夏枯草(かこそう)」を指し、夏枯といっても実際には枯れたのではなく花が終わると花穂が暗褐色に変色して枯れたように見えることから「夏枯草(かこそう)」と呼ばれています。

和名ではその花の形が昔、武士が矢を入れた『靫(うつぼ)』という細長い容れ物に形が似ていることから「靭草(ウツボグサ)」と名付けられています。
靭草は日当たりの良い山野の草地に群生し、春の5月から7月の初め頃に紫の花を咲かせ、そして夏に枯れ、冬に再び芽を出し始めます。

ちなみに「乃東生(なつかれくさしょうず)」は夏至の初候の「乃東枯(なつくさかれかかる)」と対になっています。

薬用としての靭草(ウツボグサ)

夏枯草は主に東アジアに分布していますが、世界のいたるところで生薬(漢方薬や民間薬)として利用されています

枯れかかった花穂を摘み取り乾燥させたものはウルソール酸、プルネン、塩化カリウム、タンニンなどが含まれていて利尿薬消炎薬として用いられます。ただし禁忌もありますので使用の際は必ず医師や薬剤師にご相談の上お使いください

主な生産地の一つである中国では夏の暑気払いのためのお茶代わりで、水分補給や疲労回復を促すと考えられているため飲用されています。
また煎じた液体で一日数回うがいをすることにより口内炎やのどの痛み、扁桃炎などにも使用され、腫れや痛みを和らげる作用もあるとも言われています。

日本ではハーブティとして用いられることも多く、また止血作用や傷が治ることを促進させる外用薬としても古くから利用されてきています。

結詞

冬至の日はゆっくり柚子風呂に入って、かぼちゃや小豆などをいただいて、「一陽来復」を願って静かに過ごしたいものです。

麋角解 さわしかのつのおつる

年末に向けて日増しに慌ただしくなってきますが、七十二候は冬至の次候「麋角解(さわしかのつのおつる)」と進んでいきます。
「麋(さわしか)」は、トナカイの一種で、実はトナカイの和名なんです。
トナカイといえば「クリスマス」ですね。
そのクリスマスも「冬至」と深い関わりがあります。
クリスマスについては風物詩のカテゴリーに別記事としてアップいたしますのでご参照ください。

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