イエス・キリストの降誕祭「クリスマス」

赤い鼻のトナカイ 風物詩
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クリスマス

七十二候にある「麋角解(さわしかのつのおつる)」の「麋(なれしか・さわしか)」は、トナカイの一種で、実はトナカイの和名です。
その「トナカイ」が大活躍のクリスマスが今年も巡ってきます。そこでクリスマスの起源や由来、飾りつけなどをお伝えしていきます。
街にはイルミネーションが輝きだし、クリスマスソングが流れてきて、ワクワクした雰囲気になってきます。
新型コロナウィルス禍が下火とはいえ、第8波やインフルエンザとの同時流行の懸念もあり、くすぶり続ける今年も家族や恋人と静かに過ごすという方も、多いのではないでしょうか。
そこで意外と知らない「クリスマス」についておさらいをしておきたいと思います。

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クリスマスとは何の日?

大多数のキリスト教の教派が行う、イエス・キリストの降誕を記念する祭の日であり、「キリスト(Christ)のミサ(Mass)」という意味に由来しています。
そこで重要なのは、あくまでキリストの降誕を記念する日であり、聖書などではイエス・キリストの正確な誕生日についての記述は、残されていないので、イエス・キリストの誕生日というわけではないということです。
仏教のように4月8日「花まつり」・ 「降誕会」・「仏誕会」・「灌仏会」のお釈迦さまの生まれた日とは違います。

では、なぜ12月25日になったかというと、諸説ありますが、有力な説として古代共和政ローマ時代の「ローマ暦」において「冬至の日」とされていた12月25日を、「降誕を祝う日」として次第に定着していきました。12月25日に降誕祭を行う風習は、遅くとも354年には西方教会で始まり、4世紀末には東方教会の多くにも広まっていきました。

また、その古代ローマの宗教のひとつにミトラ教というのがありますが、12月25日は「不滅の太陽が生まれる日」とされていて、太陽神ミトラスを祝う冬至の祭でもあり、これから派生してローマ神話の太陽神「ソル・インウィクトゥス」の祭ともされていました。
これが降誕祭の日付決定に影響したのではないかともいわれています。

日本のクリスマス

日本でも12月に入ると街は当たり前のようにクリスマス・ムード一色になりますが、いつから外国の宗教行事が始まったのでしょうか。

それは以外にも早く、戦国時代真っ只中の天文21年(1552年)、現在の山口県にて信者を集めて、ミサが行なわれたことが始まりとされています。
当時は、クリスマスではなく「ナタラ」と呼んでいたそうですが、そのミサも江戸時代に入り徳川幕府により、キリスト教禁止令が発令され、明治時代に入るまでの間クリスマスは、日本では途絶えることになりました。

明治時代に入り、しばらくは一般的ではなかったクリスマスが注目されたのは、「明治屋」の銀座進出でした。
1900年(明治33年)に進出した明治屋銀座店で、クリスマスの飾りつけを始めました
当時は、珍しかったクリスマスツリーが店頭に飾られたことが、話題になり、あまり馴染のなかったクリスマスが、この明治屋銀座店をきっかけとしてクリスマス商戦が始まりました。
それに追随するかのように、他のお店でもクリスマスに関連した商品が販売されたり、飾り付けがされるようになり、徐々に日本でもクリスマスが認知されていきました。

日本のクリスマス風景

その後、大正天皇の崩御、第二次世界大戦など紆余曲折はありましたが、現在のようにデパートなどでは、クリスマス商品の販売やセールが行われ、日本でもクリスマスが1つの大きな季節イベントとして定着していきました。

赤い鼻のトナカイ

赤い鼻のトナカイ

ここでクリスマスに因んだちょっといいお話を一つ。
皆さんはサンタさんのソリを引くトナカイの中でも「赤い鼻のトナカイ」をご存じの方は多くいらっしゃると思います。

もともとサンタクロースは8頭立てのソリに乗っていました。
しかし、有名な赤鼻のトナカイはこの中にはいませんでした。

赤鼻のトナカイは、サンタクロースが急遽特別にお願いした9頭目のトナカイでした。
そのトナカイは名を「ルドルフ」といい生まれつき真っ赤な鼻をしていました。

あるクリスマス・イブのこと、8頭のトナカイがサンタクロースを乗せて出発しようとしたところ、突然深い霧が立ち込めてきました。

「こんなに暗くては煙突を探すこともできない……」
サンタクロースは暗闇の中で出発することもできず、困り果ててしまいます。

その時、8頭のトナカイを一目見ようと集まっていたギャラリーが、なにやら騒いでいるのに気付きました。
注目の的はギャラリーの中に居たルドルフでした。
なぜ注目されていたかというと、その赤い鼻がピカピカ光っていたからです。

これだ!と思ったサンタクロースがルドルフに近づいていくと、赤鼻を笑われていると思ったルドルフは泣いていたそうです。
そこでサンタはルドルフにお願いします。 

君はみんなとは違う。でも、だからすごいんだ。君のピカピカの赤鼻はみんなとは違うけれど、暗い夜道を照らすことができる。だから役に立つんだよ!

その夜、先頭を走るルドルフの活躍によって無事にプレゼントが届けられ、一躍みんなが一番憧れるトナカイになりました。

あんなに嫌だった赤い鼻、コンプレックスでしかなかった赤い鼻のお陰で、世界中の人気者になったルドルフ。
この年以来9頭でソリをひくようになり、その先頭で世界中に夢を運ぶお手伝いをしています。

このお話は、娘が2歳の時に最愛の妻が病に倒れ、収入は治療費と薬代に消え、生活は苦しくなるばかりだったシカゴに住むコピーライターのロバートという人が、娘に即興で作ったお話が基になっています。

ある日、4歳になった娘はロバートに
「どうして私のママは、みんなと違うの?」
と尋ねました。

ロバートは、娘を喜ばせたいという一心で、「真っ赤なお鼻のルドルフ」の話を即興で語り始めたのです。

自分自身のコンプレックスを赤鼻のルドルフに託し、神様に創られた生き物はいつかきっと幸せになることを、幼い娘、病と闘う妻、そして自分自身に言い聞かせたかったからだといっています。

実はロバート自身も身にしみて感じていることで、小さい頃から体が小さくていじめられ、貧しくて進学することもでず、良い仕事にもつけませんでした。しかも就けた仕事も安月給で、治療費のために借金だらけ日々を送っていたのでした。

その後、娘にプレゼントを買う余裕もなかったロバートはお手製の本にしてクリスマスプレゼントとしました。
しかしその完成を待たずして妻はこの世を去ってしまいました。

数日後、彼の会社(大手デパート)のパーティーでロバートが「真っ赤なお鼻のルドルフ」を朗読すると、会場から割れんばかりの拍手が起こりました。
その上、会社から240万冊もの本が無料で配られ、この物語が世界中に広がっていきました。
さらには、本が広まった10年後には、義兄弟が今ではクリスマスの定番ソングとなったあのお馴染みの歌が作られ、現在でも世界中のみんなが口ずさんでいます。

思わず目頭が熱くなるような素敵なお話です。
日本の「世界に一つだけの花」に通じるお話かもしれません。

クリスマスの飾りつけ

クリスマスと言えばイルミネーションを思い浮かべる方も多いと思いますが、クリスマスのイルミネーションは、キリスト自身を象徴しているといわれていて、「世を光で照らす灯り」という意味があります。昔はろうそくが使われていましたが、火事の危険があるため電飾が使われるようになり、最近SDG’sの観点からLEDへと変わってきました。
それでも主役であり象徴であるのは、クリスマスカラーに彩られたツリーリースではないでしょうか。
クリスマスにちなんだ意味をそれぞれ持つ、伝統的なオーナメント。一つひとつに込められた意味やそれぞれの色に込められた意味を知ると、クリスマスというしきたりへの理解がより深まり、飾り付けの時間が味わい深いものになります。

クリスマスカラー

クリスマスカラー

クリスマスの飾りや、リース・ツリーなどは赤・グリーン・ホワイト・ゴールドなどが多いです。
先ほども書きましたが、その「クリスマスカラー」には、それぞれ意味が込められています

赤色

キリストの血、神の寛大さ、神の愛

グリーン

生命を表す草木、永遠の命、永遠の愛、力強さ

ホワイト

雪、純粋な気持ち、清らかさ、純潔

ゴールド

星空、希望、豊かさ、気高さ

クリスマスツリー

クリスマスツリー

クリスマスを象徴するもの代表格はクリスマスツリー
人の集まる場所には大きなツリーが飾られていたり、ポスターやメッセージカードでもクリスマスツリーが描かれていたりします。
そんなクリスマスに欠かせないツリーの多くは、常緑樹であり古くから「永遠の象徴」を表現した存在とされています。
他に「神の永遠の愛や神が与える生命を象徴する」といった意味も込められているのだそうです。正しくクリスマスカラーのグリーンを象徴しています。

オーナメント

そのクリスマスツリーやリース、室内に飾り付ける「オーナメント」にもそれぞれ意味があります。

クリスマスツリーのトップに飾る星

ツリー トップスター ベツレヘムの星

ツリーのてっぺんに飾る星は、イエスの生誕とその場所を知らせたベツレヘムの星を表しています。
ベツヘレムの星はキリスト教にとって宗教的な意味をもつ星で、その家族の中でいちばん年下の子どもが取り付けるという伝統もあるそう。

オーナメントボール

オーナメントボール

ツリーに飾るオーナメントボールは、アダムとイヴが食べた知恵の樹の実であるりんごを表しています。
今ではさまざまなデザインがありますが、定番はクリスマスカラーの4色である赤、緑、白、金のもの。
それぞれに異なる意味があり、前述のクリスマスカラーを参考にしてみてください。

クリスマスソックス

クリスマスソックス

クリスマスイブの夜に大変裕福な家に育ったニコラスがやがて司祭になってお金に困っている家庭を哀れみ、火がついていない煙突から金貨を投げ入れたところ、暖炉に干してあった靴下の中に入ったというお話があるそうです。
そんな物語から靴下を飾るようになったといわれています。
ちなみに「サンタクロース」は聖(セント)ニコラス→サンタニコラス→サンタクロースと変遷したものだそうです。

ベル

クリスマスベル

みんなが寝ている間にそっとサンタクロースが近くを通るとベルがかすかに聴こえることから、サンタクロースの姿をひとめ見ようと飾るようになったそうです。
また、救世主であるキリストの誕生を知らせるための、喜びのベルという意味も込められています。

杖の形のキャンディー

キャンディーケーン

赤と緑、白のトリコロールカラーが可愛いキャンディーケーンですが、その形は、羊飼いが羊を捕まえるときに使っていた杖を模しています。
聖書では、私たち人間は羊、イエスは羊飼いにたとえられていますので、キリストの象徴として飾られるようになりました。
さらには、上下をさかさまにすると「J」の形になることから、「イエス(Jesus)」を表しているともいわれています。

ヒイラギ

ヒイラギ ひいらぎ 柊

ヒイラギ魔除けにもなるといわれています。日本でも節分の時に「ヒイラギと鰯の頭」を門口に飾るのに似ています。
ただ、単に魔除けというだけではなく、棘のように尖った形をしているヒイラギの葉はイエス・キリストが処刑される際に被ったイバラの冠を表しています。
そして中心の赤い実はキリストが流した血を表しているそうです。このオーナメントひとつでも、キリスト教の祭事としての「クリスマス」を認識することができます。

天使

天使 エンゼル

イエス・キリストの母マリアに受胎を知らせ、羊飼いにイエス・キリストの誕生を告げたのが天使であることから、飾られるようになりました。
イギリスなど一部の国では、トップ・スターを飾る代わりに、クリスマスエンジェルという天使を飾ることもあるそうです。

クリスマスリース

クリスマスリース

さてクリスマスのころになると、お部屋にクリスマスツリーを飾るという方も多いと思いますが、リースを飾るという方もおられます。
ドアにかけたり、イーゼルに立てかけたりと、ツリーほど場所を取らない割には、ちょっとおしゃれな感じのクリスマスリースですが、そのリースにも込められた意味は4つあるそうです。

1.豊作を願う

リースにはツリーと同様に常緑の植物が用いられますが、常緑の植物は年間を通して葉を茂らせているため、そのことから農作物の繁栄を意味しているとされています。
そしてリースには、松かさやリンゴを装飾することが多いようです。
これらは収穫の象徴で、特にリンゴは冬の寒い時期にも収穫ができて、栄養のある作物のため、神への供物としても用いられていたそうです。

2.魔除け

リースに用いられる常緑の植物には、モミの木やヒイラギが一般的です。
その中でも、特にヒイラギについてはとがった葉の形状が特徴的で、魔除けの意味があるといわれています。

3.永遠

リースの形は、ドーナツのような輪になっていますが、輪になっていて途切れることがないことから、永遠を意味しています。
キリストの永遠の命を願う意味が、込められています。

4.新年の幸福祈願

日本では「クリスマスリース」は「クリスマスの時だけの飾り」というイメージが強く、クリスマスが終わると片付けられてしまいます。
それは、日本ならではで、次に来るお正月の飾りを飾るために片付けてしまうことがほとんどです。
しかし、キリスト教圏では、新年の幸福を願って年明けも飾られることが一般的です。

結詞

今年もクリスマスはドンチャン騒ぎはせずに、新型コロナウィルス禍の早期収束を願いながら、静かに今年一年に思いを馳せ、一年に一度、惜しげもなく立派な角を落す鹿にあやかり、今年のことはしっかりと今年中に片を付けるように、もうひと頑張りして行きましょう。

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