夏至|げし|乃東枯|なつかれくさかるる|2023年|防災情報

歳時記
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夏至 げし

沖縄地方は平年より遅く「梅雨入り」しましたが、そろそろ「梅雨明け」の気配が漂ってきています。そのような中、暦は21日より二十四節気は「夏至(げし)」となり、七十二候も夏至の初候「乃東枯(なつかれくさかるる)」に移ります。そして18日は「父の日」です。

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夏至(げし)

夏至 げし

梅雨が無いと言われている北海道と梅雨明け間近の沖縄を除き、本土は「梅雨」真っ只中ですが、季節はもう本格的な夏の入り口の「夏至(げし)」と変わります。

夏至は皆さんもご存じのように北半球では一年で昼間の長さが一番長くなる日です。
太陽が真南にきて、最も高くあがった時(概ね正午ぐらい)の太陽と地平線との間の角度を「南中高度」といいます。
この角度が一年で一番高くなるので、太陽が出ている時間も長くなるというわけです。
ちなみにその時間帯には太陽が真上に近いところを通るため作られる影も短くなります。

熱中症警戒アラート

熱中症 熱中症警戒アラート

熱中症警戒アラート」は熱中症予防のために、気象庁環境省が発表している情報です。
2020年に全国に先駆けて関東甲信地方を対象に実施していましたが、2021年4月28日より、全国での運用を開始しました。
それ以前は、2011年から気象庁より「高温注意情報」が発表されていましたが、その基準が気温のみで、湿度が加味されておらず、課題も多く含んでいたため、2020年3月13日、気象庁と環境省とが連携して、暑さ指数(WBGT)を基準とする新たな情報「熱中症警戒アラート」の発表を開始しました。

その暑さ指数(WBGT)とは、湿球黒球温度(しっきゅうこっきゅうおんど)のことで、酷暑環境下での行動に伴うリスクの度合を判断するために用いられる指標です。
1954年にアメリカ海兵隊新兵訓練所で熱中症のリスクを事前に判断するために開発されました。
その指数には、人体の熱収支に影響の大きい気温、湿度、日射量、輻射熱、風速が反映されています。

暑さ指数(WBGT)湿球黒球温度とは

暑さ指数(WBGT)は、Wet-Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略称で、下記の測定装置の3種類に測定値(黒球温度、湿球温度及び乾球温度)をもとに算出されています。

黒球温度

黒球温度は、黒色に塗装された薄い銅板の球(中は空洞、直径約15cm)の中心に温度計を入れて観測します。黒球の表面はほとんど反射しない塗料が塗られています。この黒球温度は、直射日光にさらされた状態での球の中の平衡温度を観測しており、弱風時に日なたにおける体感温度と良い相関があります。

湿球温度

湿球温度は、水で湿らせたガーゼを温度計の球部に巻いて観測します。温度計の表面にある水分が蒸発した時の冷却熱と平衡した時の温度で、空気が乾いたときほど、気温(乾球温度)との差が大きくなり、皮膚の汗が蒸発する時に感じる涼しさ度合いを表すものです。

乾球温度

乾球温度は、通常の温度計を用いて、そのまま気温を観測します。

暑さ指数(WBGT)の算出式

屋外での算出式

WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度

屋内での算出式

WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度

暑さ指数の活用

熱中症はさまざまな環境条件によって発生します。熱中症を予防するには、自分のいる環境の熱中症リスクを常に気にする習慣をつけることが大切です。暑さ指数(WBGT)に対応する指針を活用して、日常生活や運動時の熱中症対策を心がけてください。

日常生活に関する指針

運動に関する指針

乃東枯(なつかれくさかるる)

七十二候は「乃東枯(なつかれくさかるる)」に変わります。この七十二候は冬の12月21日ごろの「乃東生(なつかれくさしょうず)」と対をなす七十二候です。
この「乃東」については乃東生(なつかれくさしょうず)の記事に詳しく書いてありますのでご参照ください。

乃東枯 なつかれくさかるる

乃東は「だいとう」と読み、「夏枯草・靭(うつぼ)草」の古名です。
乃東枯はその夏枯草 (かこそう)の紫色の花が枯れて茶色く変色する頃という意味です。
正に冬至の頃、花を咲かせ夏至の頃に枯れていくという季節を象徴する植物と言えましょう。

夏至南風・カーチーベー

夏至南風 カーチーベー

梅雨明け間近の沖縄は、天気の良い日は日差しもだんだん強くなり、多少湿度が高いため本格的な夏に比べれば、若干蒸し暑さが残りますが、いよいよ夏の到来を感じさせてくれます。
この時期、沖縄地方の天気予報では「風は南寄りの風がやや強く・・・」という言葉が聞かれることが多くなります。
その多少湿気を帯びた南風のことを沖縄では「カーチーベー(カーチーバイ)」といい、季節の移り変わりを示す季節風を素敵な言葉で表しています。

防災

さて、梅雨明け間近の頃は集中豪雨の発生頻度が増しますし、これから夏、秋にかけては台風の襲来も懸念されます。
そこで今回は「防災」に関する情報を再度確認しておきたいと思います。

顕著な大雨に関する情報(線状降水帯情報)

線状降水帯

気象庁は昨年6月17日から、短時間で集中的な豪雨をもたらす「線状降水帯」の発生を伝える情報の発表を始めました。

1.レーダーによる解析雨量(5キロメッシュ)において前3時間の積算降水量が100ミリ以上の分布域の面積が500平方キロメートル以上
2. 1の形状が線状(長軸・短軸比2.5以上)
3. 1の領域内の最大雨量値が150ミリ以上
4. 大雨警報(土砂災害)の危険度分布において土砂災害警戒情報の基準を実況で超過し、かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上、又は洪水警報の危険度分布において警報基準を大きく超過した基準を実況で超過

上記1~4すべての条件を満たした場合に発表されます。

この情報は、予報ではなく発生情報なので、発表時には土砂災害や河川の氾濫(はんらん)などの危険が迫っている可能性が高く、住民に身を守る行動を促す効果は期待されます。

またこの情報は、警報・注意報と同じく各都道府県を「南部」「北部」など複数の地方に分けた単位で発表されます。
と同時に、警戒レベル相当情報を補足する情報でもあり、警戒レベル4相当以上の状況でもあります。

現在は、線状降水帯発生の予報を出すのは大変難しいですが、海上観測や気象レーダーの強化などで、今年度は半日後の発生確率を出すとのことです。

避難情報と警戒レベル、警戒レベル相当情報

避難情報と警戒レベル、警戒レベル相当情報

内閣府の「避難情報に関するガイドライン」では、住民が「自らの命は自らが守る」意識を持ち、自らの判断で避難行動をとるとする方針が示され、この方針により自治体や気象庁等から発表される防災情報を用いて住民がとるべき行動を直感的に理解しやすくなるよう、5段階の警戒レベルを明記して防災情報が提供されることとなっています。

多くの場合、防災気象情報は、自治体が発令する避難情報よりも先に発表されます。
危険な場所からの避難が必要とされる警戒レベル4や高齢者等の避難が必要とされる警戒レベル3に相当する防災気象情報が発表された際には、避難指示等が発令されていなくても自らの判断で避難をしてください。

その際には、あらかじめ指定された避難場所へ向かうことに拘らず、川や崖から少しでも離れた、近くの頑丈な建物の上層階に避難する(垂直避難)など、自らの判断でその時点で命を守る最善の安全確保行動をとることが重要だとされています。

警戒レベルとは

警戒レベルは住民が取るべき行動を直感的に理解出来るよう、数字でリスクを分類したものです。
その分類は5段階あり、数が大きいほど災害発生リスクが高く、レベル5が最大です。

このうち、レベル1とレベル2は気象庁が発表する大雨・洪水・高潮注意報にあたり、災害への心構えを高め、自らの避難行動を確認する段階とされています。

レベル3からレベル5は市町村が発令する避難指示等をレベル分けしたもので、レベル3は高齢者や体の不自由な方が避難を開始する段階レベル4は全ての人が避難をする段階とされています。

レベル5は災害が切迫しているか既に災害が発生している段階です。ここから避難を開始することが困難となるような段階ですので、レベル4までに必ず避難を行うことが重要です。

その上で、市町村から出される避難情報から「避難勧告」に関する記述が削られ3種類になりました。

緊急安全確保(レベル5) 命の危険 直ちに安全確保!
避難指示(レベル4) 危険な場所から全員避難
高齢者等避難(レベル3) 危険な場所から高齢者等は避難

気象庁が発表する「警戒レベル相当情報」

気象庁では、警戒レベルと気象警報などの防災気象情報との関連を明確にするため、洪水・土砂災害・高潮の各防災気象情報に「警戒レベル相当情報」を設定して周知することになりました。

洪水に関する情報

大雨特別警報(浸水害)と、指定河川洪水予報における氾濫発生情報が「レベル5相当」、洪水警報の危険度分布における「非常に危険(うす紫)」ランクが「レベル4相当」などとなっています。

土砂災害に関する情報

大雨特別警報(土砂災害)が「レベル5相当」、土砂災害警戒情報と、大雨警報の危険度分布における「極めて危険(濃い紫)」「非常に危険(うす紫)」ランクが「レベル4相当」などとなっています。

高潮に関する情報

高潮特別警報と、高潮警報が「レベル4相当」となっています。ほかに、都道府県が発表する高潮氾濫発生情報が「レベル5相当」となっています。

一方で、津波に関する情報の際は避難指示のみが発令され、災害の切迫度が段階的に上がる災害ではないことから警戒レベルは用いられませんし、暴風に関する避難指示等が発令される場合もありますが、この場合も警戒レベルは用いられません。
また、竜巻、雷、急な豪雨といった現象は、短時間で局所的に発生することが特徴で、発生する場所や時刻を予測し避難を呼びかけることが困難なため、警戒レベルの対象となっていません。

みょうが 名荷 茗荷

ここからは、話題を換えて、この時期ならではのお話をします。
この時期、スーパーや青果店の店頭で見かける夏野菜のひとつに「みょうが」があります。私も大好きな夏野菜です。

みょうが 名荷 茗荷

現代ではハウス栽培の技術で通年収穫できるようになりましたが、6月から9月にかけてが旬の時期です。その「みょうが」は、実は花の蕾のような部分の花穂という部分を食べています。

みょうがの保存方法

旬の今の時期には店頭の目玉商品としてお買い得値段で販売されている時もありますので、思わずまとめ買いをしたくなってしまいます。
そんな時の長持ちさせる保存方法は湿らせたキッチンペーパーに包んで野菜室などで保存すれば10日間程は新鮮な状態で保存することができます。また刻んで冷凍して保存する方法もあります。

みょうがの言い伝えのウソ

みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」という話を聞いたことありませんか?
これはまったく嘘の言い伝えですのでご安心ください。
では何故このような言い伝えが実(まこと)しやかに広まったかというと、それは仏教と深い繋がりのある逸話が残っているからなのです。

『仏教の開祖、お釈迦様の弟子の中にスリバンドクという人がおられ、最後は悟りまで開いた優秀なお弟子さんでしたが、彼は自分の名前を覚えられないという不思議な方でした。
そこでお釈迦様はその方の名前を札に書いて首からぶら下げさせましたが、今度はそれすらも忘れてしまいました。
そして終生、自分の名前を覚えることが出来ずこの世を去りました。

その後、葬られた墓の脇に生えてきたのが今で言う「みょうが」でした。
それをご覧になったお釈迦様は終生自分の名前を荷(にな)って苦労した弟子に因んでその植物を「名荷」と名付けたそうです。』

それが現代の「茗荷」となり、物忘れにも繋がっていってしまったのです。

父の日

父の日 黄色いバラ

6月の第3日曜日は「父の日」です。
母の日に比べると何かと印象の薄い(?)「父の日」ですが、単に母の日の後付けではなく、その始まりにはちゃんと由来があります。
ただ母の日とも無関係ではなく、父の日も発祥は母の日と同じくアメリカです。
今日、自分が存在しているのも母があって、父があったからこそです。忘れずにその恩顧に思いを致したいものです。

由来

ソノラ・スマート・ドットさんという女性のお父さんは軍人で南北戦争に招集されました。その間お母さんが一所懸命6人の子供を育てていました。

お父さんが復員してきて安心したのか、その間の過労のため亡くなってしまいました。
その後はお父さんが男手一つで必死に子供たちを育て上げました。そして子供たちが無事成人したのを見届け、お父さんも亡くなられました。

1909年、お父さんの誕生月である6月に娘さんであるソノラさんがお父さんへの敬意と、子供を男手一つで育て上げた偉業をたたえるために教会の牧師さんにお願いして礼拝を始めたのが父の日のきっかけとなったようです。

当時、「母の日」はすでに制定されていましたが、ソノラさんは「父の日」が無いのはおかしいという気持ちになり牧師協会に嘆願をして翌年父の日の祝典が開かれるようになりました。
さらに1916年にはその祝典に大統領(トーマス・ウッドロウ・ウィルソン)も参加し、演説をしたことにより広く全米に認知されるようになっていきました。

時は進み、1966年に時の大統領、リンドン・ベインズ・ジョンソンが父の日を称賛する大統領告示を発して6月の第3日曜日を父の日とすることを定め、そして1972年に国の正式な記念日として制定されました。

父の日のバラ

父の日 黄色いバラ

母の日には赤いカーネーションを贈るのが定番となっていますが、一方、父の日は日本では「黄色いバラ」贈るのが一般的のようです。
バラとなった経緯はソノラさんが父の墓前に白いバラを供えたとか、父の日の祝典に参加したYMCAのメンバーが父が健在の人は赤いバラを、亡くなっている人は白いバラを付けて参加したという説などがあります。
1980年代になって父の日が日本にも伝わると、日本のファーザーズディ委員会が父の日は黄色いリボンを送ろうということを提唱し始めました。この黄色はイギリスでは身を守る色、それがアメリカに伝わり「愛する人の無事を願う黄色いリボン」ということで定着していきました。日本ではその黄色と、始まりであるバラが融合して黄色いバラとなったのではないでしょうか。

結詞

よく梅雨明け間近のころは集中豪雨に注意しましょうと言われますが、やはり地球温暖化に伴う気候変動なのでしょうか、今年も各地とも梅雨入りと同時に大雨に見舞われているようです。
これから梅雨の最盛期を迎える地域の皆さんは、雨による災害にはくれぐれもご注意ください。

花菖蒲 菖蒲華 あやめさく

次回は夏至の次候「菖蒲華(あやめさく)」をお届けします。

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