秋分も過ぎいよいよ季節は秋に向けて深まっていきます。
七十二候も28日より「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」となります。虫たちも秋の気配を感じ冬籠りの準備のため来春の啓蟄まで土の中や蓑の中に入り、しばしのお休みに入ります。
そして29日は旧暦8月15日でもあり、中秋の名月です。
秋の名月(十五夜・十六夜・十三夜・十日夜)については、風物詩のカテゴリーに別記事として公開してありますのでご参照ください。
ちなみに、2023年のお月見カレンダーは以下のようになっています。
この記事では「秋の名月」の2023年の日取りのみお伝えしておきます。
十五夜(中秋の名月) 9月29日 旧暦8月15日
十六夜(十六夜の月) 9月30日 旧暦8月16日
十三夜(後の月) 10月27日 旧暦9月13日
十日夜(とうかんや) 11月22日 旧暦10月10日
この内、十五夜、十三夜、十日夜の3日間が晴れてお月見ができると昔から縁起が良いとされています。
蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)
七十二候は28日より秋分の次候「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」と移っていきます。
この候は、啓蟄の初候「蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)」と対をなす七十二候です。
もうお気づきになった方もおられると思いますが、つばめ(玄鳥)、雷、虫と春と対をなしている七十二候が続き、季節の移り変わりのシンボルとなっています。その他にも雁、霜、虹なども春と対をなしています。
虫たちが寒さを感じ始め、冬ごもりの準備を始める頃です。成虫やサナギあるいは幼虫と様々な形態で地中や木の根元、積もった落ち葉の中などで冬を越していきます。そして春の啓蟄の頃に再び地上に現れます。
ここで言う「虫」とは昆虫はもちろんのこと、蛇、トカゲ、カエルなどの爬虫類や両生類まで含んでいます。
また「とをふさぐ」とは越冬場所に入る際の入り口を塞ぐという意味です。
何故、厳しい冬の間、土の中で過ごすのでしょうか?
それは地上の外気温は1日の中で10℃以上も変化する日もありますが、土の中では、地面からゆっくりと時間をかけて伝わっていきます。
そのため、土の中の温度はほぼ一定に保たれ、深さ10cmのところでは、1日の間に3℃程度、さらに地下30cmでは1℃程度で収まるようです。
この温度がほぼ一定に保たれているということが冬眠中の体に負担がかかりにくいということなのだそうです。
コスモス
秋が深まりゆくなか、コスモスの花が色とりどりに咲いています。秋に咲き、桜の花に似ていることから、和名は「秋桜(あきざくら)」と書きます。
コスモスはキク科コスモス属の一年草で、その名前は「秩序」「美しい」という意味で、ギリシャ語の宇宙を指す「Kosmos/Cosmos」に由来しています。
花びらが整然と並ぶ美しい形からそう呼ばれるようになったそうです。
原産地はメキシコの高原地帯で明治初期に日本に持ちこまれた外来種ではありますが、秋の季語になるほど広く親しまれています。
最近では、早生の種類も多く6月頃から咲いている品種も見受けられますが、9月から10月頃がポピュラーな品種「コスモス・ビピンナツス(Cosmos bipinnatus)」という種類の開花のピークです。
細い茎がゆらゆらとして一見弱そうに見えますが、実はとても生命力が強い花で、日当たりや風通し、水はけが良ければ土質を選ばないので、育てやすく日本各地に群生地があり、名所といわれるところもたくさんあります。
コスモスの花言葉は、その姿かたちに相応しく「乙女の真心」「乙女の愛情」。
最近では品種改良によって花の色も、ピンクや白に加えて濃赤、黄やオレンジ色、チョコレート色などが登場して、その色によって意味が加わり、ピンクは「乙女の純潔」、白は「美麗」「失われた愛」、赤は「調和」だそうです。
九州地域でコスモスが咲く時期は、秋の季節の10月上旬~11月上旬です。
また沖縄は秋でも日がまだ長いため、コスモスの生育に適した季節とはいえません。
そのため沖縄でのコスモスの開花時期は1月~3月です。春の桜と秋のコスモスのコラボレーションを楽しめるのも沖縄ならではの特徴でしょう。
さて九州地域の秋の風物詩として「コスモス」は欠かせないものです。そのためコスモス園もたくさんあります。
ほんの一部ですが、九州・沖縄の名所をご紹介します。
福岡県
水巻コスモス園(水巻町)
西郷川花園(福津市)
平原歴史公園(糸島市)
北野町コスモス街道(久留米市)
おおとう桜街道 花公園(大任町)
佐賀県
三瀬ルベール牧場 どんぐり村(佐賀市)
佐賀空港コスモス園(佐賀市)
祐徳稲荷神社外苑山上(鹿島市)
長崎県
展海峰(佐世保市)
長崎市いこいの里 あぐりの丘(長崎市)
しまばら火張山花公園(島原市)
熊本県
道の駅 旭志(菊池市)
七城町コスモブリッジ周辺(菊池市)
俵山交流館 萌の里(西原村)
らくのうマザーズ阿蘇ミルク牧場(西原村)
大分県
三光コスモス園(中津市)
大在コスモス広場(大分市)
宮崎県
特別史跡公園 西都原古墳群(西都市)
花の駅 生駒高原(小林市)
高千穂牧場(都城市)
鹿児島県
鹿屋市霧島ヶ丘公園(鹿屋市)
沖縄県
ローソン田井等(たいら)店付近(名護市)
老人ホーム瑞穂の郷付近(名護市)
内間御殿前(うちまうどぅんまえ)(西原町)
伊芸区集会所付近(金武町)
結詞
さて、虫は冬ごもりですが、人間界は、衣替えのシーズンです。
コロナウィルス禍第7波も感染者の数は収束傾向で、ワクチン接種者の割合は増加など、少しずつではありますが光が差してきたような気もします。
そのような状況の中、虫は戸を閉ざし始めますが、人間の方は、深まる秋に、装いを改めて暖かいものを身にまとって出かけるなど、少し秋のおしゃれを愉しむ余裕をもって暮したいものです。
そして少しずつ「日常」を取り戻していければと・・・
朝晩の気温も下がり始め、実感的に秋に近づいてきているんだなぁと感じられるようになってきました。
暦は秋分の末候「水始涸(みずはじめてかるる)」と進んでいきます。
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