九州八十八ヶ所百八霊場第百番札所 護国山 金剛乗寺

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九州八十八ヶ所百八霊場第百番札所 護国山 金剛乗寺 九州八十八ヶ所百八霊場
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金剛乗寺は天長2年(825年)弘法大師の開基にて「西の高野」と称され、当時は大伽藍を構えていました。文明5年(1473年)山鹿の温泉涸渇の折、中興宥明法印が、祈祷により温泉を復活させたのを祝って、山鹿の温泉祭が始められたそうです。 また、法印供養法要の際、山鹿庶民の献じた紙灯篭が灯篭祭の始まりとされています。

九州八十八か所百八霊場~九州を周る「心巡り」の旅~より

『概略』

護国山 金剛乗寺

別称

西の高野

創建

天長2年(825年)弘法大師空海

宗派

高野山真言宗

ご本尊

薬師如来坐像

ご真言

おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

薬師如来について

薬師如来は、正しくは薬師瑠璃光如来といいます。
日光菩薩、月光菩薩の脇士と十二神将が一体となって、仏の心「慈悲の心」を表しています。即ち、私たちの病気の苦しみを除いて、安楽を与えてくださる現世利益の「ほとけさま」です。
薬師如来が説法している時の手の相(印相)、右手は施無畏印で、わたしたちの色々と恐れおじる心を取り除き、安心させてくれるサインです。
痛いところへすぐ右手が飛びます。これが「手当て」です。手の指には仏の世界でいう仏の名があり、薬指が薬師如来です。施無畏印で薬指を少し前に出すことで薬師如来を象徴しています。

左手は与願印で、平安時代以後の薬師如来は薬壷を持っておられます。
くすりつぼは、人の寿命を延ばす意味をもつといいます。現代人は薬によって病気が治ると頼りがちでありますが、病気を治すのは、私たちの体内にある自然治癒力が最も肝心です。

医療や薬品は、その自然治癒力を高め、援助する役割を持つのであります。「病は気から」とも言います。この治すという「気力」をバックアップしてくれるのが、お薬師様です。
私たちが病気になったとき、その病気をおそれず、医薬の効果を高め、強く生きる力を与えてくださいます。その上に、「病気の善用」も諭していただけるのです。
お薬師信仰を深めることは、健康で、病気を苦にすることなく、安楽で、幸せな日暮らしが期待できるのです。

病の苦しみを救う、寿命を延ばす、そして貧困からの救済等々十二の大願を成就して如来となられた仏様です。
尊像は病気平癒や延命を願って作られたものが多いため、左手に万病に効く薬が入っている薬壺(やっこ)をお持ちになっておられます。
また薬師像は三尊像としてお祀りされることも多く、その際は脇侍に日光・月光菩薩の二尊が従われることが多く、さらに眷属として十二神将も従えることもあります。

薬師の十二大願

1.光明普照
 自らの光で三千世界を照らし、あまねく衆生を悟りに導く
2.随意成弁
 仏教七宝の一つである瑠璃の光を通じて仏性を目覚めさせる
3.施無尽物
 仏性を持つ者たちが悟りを得るために欲する、あらゆる物品を施す
4.安立大乗 
世の外道を正し、衆生を仏道へと導く
5.具戒清浄
 戒律を破ってしまった者をも戒律を守れるよう援ける
6.諸根具足
 生まれつきの障碍・病気・身体的苦痛を癒やす
7.除病安楽 
困窮や苦悩を除き払えるよう援ける
8.転女得仏
 成仏するために男性への転生を望む女性を援ける
9.安立正見
 一切の精神的苦痛や煩悩を浄化できるよう援ける
10.苦悩解脱
 重圧に苦しむ衆生が解き放たれるべく援ける
11.飽食安楽
 著しい餓えと渇きに晒された衆生の苦しみを取り除く
12.美衣満足
 困窮して寒さや虫刺されに悩まされる衆生に衣類を施す

日光菩薩・月光菩薩

この二尊はそれぞれ単独で信仰されることはありません。
常にペアで薬師如来様をお護りされています。
通常は向かって右側(左脇侍)に日光菩薩、左側(右脇侍)に月光菩薩が左右対称に配されています。
日光菩薩は日光遍照とも呼ばれ、千の光を放ち天下を照らし衆生を救済するお役目があります。一方、月光菩薩は月光遍照とも呼ばれ、薬師如来様の正しい教えを守るお役目を担っておられます。
両菩薩ともに衆生の不安や苦しみ、謂わば闇の部分に昼夜分かたずひかりを照らしておられます。
その象徴として、日光菩薩は太陽・日輪、月光菩薩は月・月輪を手にした蓮華にのせられています。(宝冠に太陽、月を表す場合もあります)

日光菩薩 ご真言

おん そりや はらばや そわか

月光菩薩 ご真言

おん せんだら はらばや そわか

十二神将

薬師如来様に付き従うガードマン的存在の一団です。
と同時に経典を読む人々を守るという役目も担われています。
十二神将は、薬師如来の十二の大願に応じて、それぞれが昼夜の十二の時、十二の月、または十二の方角を守るといわれています。そのため中国や日本では十二支が充てられています。その割り当てには解釈の違いによって諸説ありますのでご注意ください。当ブログでは混乱を避ける意味から、敢えて割り当てられた十二支は省かせていただいております。
平安時代以降、頭上に標識として干支の動物を掲げている像が一般化され、十二支の彫刻がないものを古様、あるものを新様といいます。
さらに十二神将にはそれぞれ如来・菩薩・明王が化身されたものと言われています。

十二神将とご真言

宮毘羅大将(金毘羅童子、宮比羅)(くびらたいしょう)
   おん くびら そわか

伐折羅大将(金剛力士)(ばさらたいしょう)
   おん ばさら そわか

迷企羅大将(めきらたいしょう)
   おん めきら そわか

安底羅大将(あんてらたいしょう)
   おん あんて(ち)ら そわか

頞儞羅大将(あんにらたいしょう)
   おん あんにら そわか

珊底羅大将(さんていらたいしょう)
   おん さんて(ち)ら そわか

因達羅大将(帝釈天)(いんだらたいしょう)
   おん いんだら そわか

波夷羅大将 (はいらたいしょう)
   おん はいら そわか

摩虎羅大将(まこらたいしょう)
   おん まこら そわか

真達羅大将(緊那羅)(しんだらたいしょう)
   おん しんだら そわか

招杜羅大将 (しょうとらたいしょう)
   おん しょうとら そわか

毘羯羅大将(びからたいしょう)
   おん びから そわか

住所・連絡先

熊本県山鹿市山鹿1592 TEL 0968-43-3539
(地図)

アクセス

産交バス「桜町バスターミナル」行、「温泉プラザ前」下車 徒歩3分
九州自動車道・植木インターより国道3号線山鹿方面へ20分
菊水インターより県道6号線山鹿方面へ15分

境内に駐車可 5台

ご詠歌

三昧の 風に薫るや 薬師仏 山鹿 湯の寺 法輪の花

他の霊場札所

九州四十九院薬師霊場 第三十二番札所

霊場ご本尊・本堂

西の高野(第百番 金剛乗寺)

灯籠まつりでも全国的に有名な古い町並みの残る温泉郷の一角に伽藍を構える金剛乗寺は弘法大師創建の寺と伝わり「西の高野」と呼ばれて往時は大伽藍を有していたそうです。

九州八十八ヶ所百八霊場第百番札所 護国山 金剛乗寺

豊前街道から少し入ると、めがね橋築造技術を生かした石門(月輪門・かちりんもん)があり、くぐって境内へと参道が続きます。
この石門は山鹿市の指定文化財ともなっていて、最近ではその円形の形が「縁」を思わせることから、パワースポットとしても親しまれているようです。
また、石門には梵字の「ア」「バン」が刻まれておりそれぞれ胎蔵界・金剛界の大日如来を表していて、ここより仏の心中に入ることを示しています

周囲を民家に囲まれた静かな環境の中、参道を進むと鐘楼門、そして宝形造の本堂を続きます。

境内には他に観音堂(旧紫雲寺・聖観音、如意輪観音、十一面観音を安置、旧山鹿郡三十三観音霊場第一番札所)をはじめ、小さなお堂や社、そして多くの石塔や石仏が点在し往時の隆盛が偲ばれます。

ところで室町時代に山鹿温泉が涸渇した際に、肥後守菊池重朝の温泉復活の依頼により、金剛乗寺の中興・宥明法印が硫礦山浄瑠璃寺(現・薬師堂)を建立し、不惜身命の大祈祷ににより温泉が復活したと伝わっています。
それを祝って「温泉まつり」が始まり、冒頭に触れた「山鹿灯籠まつり」も法印の追善供養の法要の際に山鹿の庶民達が献じた紙灯籠が起源になったとも言われています。
また、法印お手植えの弁財天所縁の「童子椿」は法印の再来を待ち、花を開かず蕾のまま散るので有名です。
なお、薬師堂は、温泉プラザ・さくら湯の西側にあります。

南無大師遍照金剛

金剛乗寺の境内には、梅、桜、楓などが植栽され、四季折々の風情が感じられます。ご参拝の折には、レンタサイクルなどを利用して、山鹿の街めぐりなどされてはいかがでしょうか。

九州八十八ヶ所百八霊場第百一番札所 成田山 大勝寺

次回は九州八十八ヶ所百八霊場第百一番札所「成田山 大勝寺」をお伝えしてまいります。

願わくは
この功徳をもってあまねく一切に及およぼし
われらと衆生と皆共に仏道を成ぜんことを 合掌

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