水泉動|しみずあたたかをふくむ|2024年|名水百選|十日恵比須

水泉動 しみずあたたかをふくむ 歳時記
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水泉動 みずあたたかをふくむ

松もとれて11日より七十二候は小寒の次候「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」となります。

さて歳時記を書いていてふと感じることがあるのですが、二十四節気も七十二候も旧暦を基準としているせいか実際の季節感と食い違うことも多いようです。

しかしこの食い違いの中にも季節を先取りするというか、微かな兆しを感じ取る昔の人たちの感性の豊かさを常に感じさせてくれるようにも思います。
まさに「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」はそんな候の一つではないでしょうか。

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水泉動(しみずあたたかをふくむ)

ここで言う水泉とは「湧き出る泉」を指しています。これから大寒へと寒さが増してくる季節ですが、地中では徐々に春に向けての準備が進んで少しずつではありますが動き出してくる時節です。

小寒の氷、大寒に解く」という諺があるように、小寒よりも大寒の方がかえって暖かいことがよくあり、実際には物事が必ずしも順序どおりにはいかないことの例えとされています。
大寒より前、この小寒の時季に実際には寒さのピークを迎えている可能性もあるわけで、昔から人々は、極寒の中に泉の胎動を見い出して、遠い春の微かな兆しを感じて、希望としたと思われます。
また「動」という一文字に氷から水へ、水から気体へと熱を帯びるにつれ運動量が活発になる分子運動の次元まで込められているのではないでしょうか。

未だに冷え込みが厳しいこの季節まだまだ水はキリリと引き締まった感じが続いています。

小寒から4日目(2024年は9日)のことを「寒四朗(かんしろう)」と呼び、この日の天候が一年の麦の収穫に影響があるということで、麦の厄日とされていて、晴れれば豊作、雨や雪が降れば凶作と占っていたようです。

また、小寒から9日目(2024年は14日)のことを「寒九(かんく)」と呼び、この日の雨は「寒九の雨」と言われて、こちらの方は暖かい春の到来を告げるものとして、豊作の吉兆とされていたようです。

寒九の水 寒の水

そしてその寒九の日に山から湧き出でる清水は「寒九の水」と呼ばれ、寒気と乾燥で雑菌などの繁殖が抑えられて水質が良いことから、一年で一番腐りにくくて澄んでいる水とされ、名酒を仕込んだり、薬を飲むのに適していると言われ、皆さんもお聞きのこともあると思いますが、「寒造り」「寒仕込み」などお酒や味噌を仕込むのに温度も安定し最初はゆっくりと発酵が進む「寒の水」は大切な要素の一つとなっています。

寒仕込み

このように水は昔から私たち日本人にとって大きな役割を果たしてくれています。

さて、九州は「火の国」のイメージが強いのですが、それは九州には、国内に111ある活火山のうち17もが集まる火山密集域であることが影響しています。そんな火山、ひとたび噴火すれば甚大な被害をもたらすこともありますが、その反面「湧水」という恵みも与えてくれています

火山

火山での降水量を比べるてみると、火山の中腹から上の方がその麓より多いのですが、火山の中腹より高いところに登ると水が流れているところはみあたりません。何故ならば、火山に降った雨が全部地面にしみこんでしまうからなのです。

火山は隙間の多い溶岩でできているため、砂場につくった山と同じぐらい水がしみ込みやすいため、しみ込んだ水が地下で麓めがけて流れてきます。
その水は麓の溶岩の切れ目から流れ出します。これが火山のふもとに多い湧水です。湧水は豊富で余程のことがない限り枯れることがなく、温度もほぼ一定です。
麓で暮らす人々にとって、その恩恵はこの上ないものです。

その故、九州には名水百選にも選ばれている水源が18ヶ所もあります。

清水 湧水

福岡  不老水
    清水湧水
佐賀  竜門の清水
    清水川
大分  白山川
    男池湧水群
    竹田湧水群
長崎  島原湧水群
    轟渓流
宮崎  出の山湧水
    綾川湧水群
熊本  白川水源 
    菊池水源
    轟水源
    池山水源
鹿児島 清水の湧水 
    屋久島宮之浦岳流水
    霧島山麓丸池湧水

白川水源

結詞

さて11日は鏡開きです。風物詩の方に「鏡開き・十日恵比須」の記事もございますので、よろしければご一読ください。

鏡開き

元日早々、北陸では大きな地震に見舞われ多くの死傷者が出てしまっています。また2日には羽田空港にて民間機と海保機との事故が起き、お屠蘇気分も吹き飛んでしまいました。今年は久しぶりに行動制限の無いお正月を迎えましたが、重苦しい空気の中の一年の幕開けとなってしまいました。被災された方々には謹んでお見舞い、お悔やみを申し上げたいと思います。

新たな年を迎えるにあたり、もう一度心を引き締めて生きていきなさいという先人からの戒めかもしれません。幸いにも被災しなかった私などは、こんな時こそ、心静かに移りゆく自然の音や色などに五感を研ぎ澄ませて、穏やかな気持ちをもって一年を送りたいと改めて思いを強くした次第です。

雉始雊 きじはじめてなく

このような空気の中でも、七十二候は16日より小寒の末候「雉始雊(きじはじめてなく)」に移ります。
その前日の15日は「小正月」にあたります。

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