寒露|鴻雁来|こうがんきたる|2023年|紅葉の見ごろ予想

歳時記
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寒露 朝露

気候温暖化のためか季節が遅くずれてきている昨今ですが、そんな中でも朝晩は秋の気配も感じられる日が少しずつ増えてきました。
暦も二十四節気は「寒露(かんろ)」そして七十二候は寒露の初候「鴻雁来(こうがんきたる)」と移っていきます。季節も「晩秋(ばんしゅう)」に入ってきました。
行楽などに最適なシーズンになります。

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寒露(かんろ)

寒露 朝露

いつの間にか、朝晩は幾分涼しくなり、少し秋に向かって季節が進んでいるのを感じられるようになってきました。
二十四節気は10月8日より「寒露(かんろ)」と移っていきます。
「寒露(かんろ)」とは、暦便覧によれば、「陰寒の気に合って、露むすび凝らんとすればなり」とあり、晩夏から初秋にかけて野の草に降る冷たい露のことを言います。
二十四節気では「寒露」は草木にその冷たい露が降りる頃という意味です。
青かった山はこれから少しずつ色づき始め、朝晩の冷え込みで地表や水面では水蒸気が凝結し細かな水滴となり大気中を漂う「霧(きり)」となります。
これは春の霞(かすみ)と同じ現象ですが、平安時代以降、春は「霞(かすみ)」秋は「霧(きり)」と呼び分けるようになりました。
さらに時間帯や降りる場所ににより「朝霧」「夕霧」「夜霧」「山霧」「川霧」と、その情景が目に浮かぶような言葉で表し、昔の人たちの季節やそれに伴う自然現象に対する繊細な感受性には感心するばかりです。
そして天候も、大気の状態が安定してきて、空気が澄んだ秋晴れの日が多くなってきます。
少しずつ秋の気配が深まり、稲刈りが終わり、他の農作物の収穫も最盛期を迎え、北の方からは紅葉の便りが届きはじめます。
日本気象協会からは今年(2023年)も「紅葉の見ごろ情報」が発表され始めました。

ウェザーニュースより

九州では、2023年の紅葉は平年並の見頃となるところが多い予想だそうです。ただ、一部では高温の影響を受けて平年よりも見頃が遅れるところがある見込みです。

11月にかけて気温は平年よりも高い傾向ですが、天気が周期変化し、特に10月から11月にかけて晴れる日が多くなる予想です。晴れた日の放射冷却によって葉の色付きが進む可能性が高いとみていて、雲仙(仁田峠)では11月1日頃から見頃の紅葉が楽しめますようです。

葉の色付きに関しては、葉が鮮やかに色付くために必要な日差しと雨が見込めるため、多くの名所で鮮やかな紅葉が期待できそうです。~ウェザーニュース・九州の見頃予想より~

秋の深まりはふと気づくと一気に進んでいるものです。
いつもの散歩道にも9月とは違う気配を感じることはありませんか?
肌に触れる朝の空気、夕方の風の匂いにあなたの感覚を研ぎ澄ませてみてください。身のまわりにあるあなただけの小さな秋がきっとみつかるはずです。
このように秋は気温などの体感だけではなく五官で感じるものかもしれません。
五感を少し研ぎ澄ましながら深まりゆく秋を見つけてみたいものです。

鴻雁来(こうがんきたる)

鴻雁来 こうがんきたる

この頃は、露が冷たい空気と接し、霜に変わる直前であり、もう少しすると紅葉が濃くなり、ツバメなどの夏鳥と雁などの冬鳥が交代する時期となります。
七十二候は寒露の初候「鴻雁来(こうがんきたる)」と移ります。
「鴻雁来」とは雁が北から渡ってくる頃という意味です。
清明の次候「鴻雁北 (こうがんかえる)」と対になった候で、つばめ(玄鳥)などの夏鳥が南へ帰るのと入れ違いに、春に北へ帰って行った冬鳥が再び日本へやってきます。

ツバメなどのように、春に日本に帰ってきて子育てをし、秋になると南へ旅立つのが「夏鳥」ですが、雁やオオハクチョウのように、寒さが厳しくなる頃日本にやってきて冬を越し、春には子育てのためまた北の国に戻る渡り鳥を「冬鳥」と言います。

さて、「鴻雁」の「鴻」は大きな雁を、「雁」は小さな雁を指すのだそうです。
その雁は日本で冬を過ごし、暖かい春になるとシベリアの方へ帰っていきます。毎年、初めに訪れる雁を「初雁(はつかり)」と呼びます。
そう言えば、2002年まで上野・青森間(一部函館まで乗り入れ)を走っていた特急に「はつかり」というのがありました。
話が横道にそれましたが、その鳴き声を「初雁が音(初雁金)」といいます。
さらにこの頃に吹きはじめる北風の名が「雁渡(かりわた)し」。
この風が吹き出すと、秋も深まり、空や海の青色が冴えてくるので「青北風(あおきた)」とも呼びます。

余談ですが、手紙のことを「雁の玉章(たまずさ)」というのをご存じですか?
昔、中国の前漢の蘇武という人が使節として北方遊牧民の匈奴に遣わされました。
しかし捕らえられ19年間も抑留されてしまいました。
蘇武は救いを託した手紙を雁の足に結びつけ、その手紙が無事に長安の都に届き、国へ帰ることができたという故事に由来しています。

初雁 落雁

さて日本に来る雁の仲間は6種類くらいで、その中で最も多いのはマガンです。
カモより大きくハクチョウより小さい体長約70センチ程の水鳥です。
そして開発などによる市街化などにより越冬地が徐々に減ったことで、現在ではそのすべてが伊豆沼蕪栗(かぶくり)沼など宮城県北部で冬を越しています。
羽を休める沼と、落ち穂や雑草が食べられる田んぼの両方が隣接する地域が残っているのが宮城県北部の一体しか残っていないのがその理由だそうです。

雁行 隊列

雁はいつも群れで行動します。
雁の仲間は隊列を組んでV字型になったり、あるいは一直線になったりして、長距離を飛来してくることで有名です。
その雁の隊列はカギ状やサオ状になって飛ぶことから「雁の列(つら)」「雁の棹(さお)」「雁行(がんこう)」と呼ばれ、秋の季語となっているものもたくさんあります。

雁行 隊列 Ⅴ字編隊

とりわけV字型の隊列は、雁の繁殖地の北極圏から日本の東北地方までの飛行距離は実に4000キロメートルに及び、そのような長距離を飛んでくる為に必要な知恵と工夫と言われています。V字編隊で飛ぶことで、翼の動きで生まれた上昇気流が斜め後ろに飛ぶ鳥に伝わり、少ないエネルギーで飛ぶことができるのだそうです。
先頭以外の雁たちは気流の流れを利用して飛びやすいわけですが、先頭の雁は体力ある者が担うものの消耗度合いが大きいので、雁たちは、時折先頭を交代することで体力を温存しつつ、隊列全体として遥かな長距離飛行を実現させています。
雁の見事な連帯感と連係プレーで支え合う姿から、私達人間も、改めて社会やチームにおける連帯感の中、力を合わせたり、絆を大切にしてお互いが支えあう「共助」の心を大切にしていきたいものです。

結詞

皆さんも空気の澄んだ日、今が旬の栗でも食べ、秋の夜長に美しく輝く月をのんびりと眺めながら、心を洗うのも一興かと思います。
寒露の頃になったら、空を見上げてみてはいかがでしょう。これまでと違った、秋の清々しさと趣を感じる空に出会えるはずです。

また徐々に昼が短くなり夜が長くなるのを感じる頃です。
井戸から水を汲み上げる滑車を使った桶のことを「釣瓶」と言いますが、その釣瓶が井戸の底へサーッと落ちていくように、夕暮れから急に日没を迎えるという例えで、「秋の日はつるべ落とし」といわれるように、まだ明るいと思っているといつの間にか、まっ暗になってしまいます。

そのような季節の移り変わりの中、暦は寒露の次候「菊花開(きくのはなひらく)」と進んでいきます。

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