二十日正月 | ハチカソーグヮチ | ジュリ馬行列 | 沖縄 | 2022年

ジュリ馬行列 沖縄 那覇 風物詩
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二十日正月 旧正月

2022年は2月20日が旧暦1月20日にあたり、沖縄では「二十日正月(ハチカソーグヮチ)」です。
この二十日正月の行事として那覇市辻町界隈で行われる「ジュリ馬行列」があります。
かつては「那覇大綱挽き」「那覇ハーリー」と並ぶ那覇三大祭りのひとつとなっていましたが諸事情により一時中断されていました。

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二十日正月(ハチカソーグヮチ)

骨正月 頭正月 鰤 骨 頭

本土でも行われる正月行事ですが、その日付は新暦で行われています。
この日は、西日本においては正月納めの日、東日本においては仕事始めの日されていました。
京阪神地方では、正月に用いた鰤の骨や頭を酒粕・野菜・大豆などと一緒に煮て食べることから骨正月・頭正月とも言い、他の地方(近畿以西)でも、乞食正月(石川県)、棚探し(群馬県)、フセ正月(岐阜県)などと言って、正月の御馳走や餅などを食べ尽くす風習があり、この点では旧暦で行われる沖縄とも共通しています。

沖縄でも、「二十日正月」は「正月の祝い納め」の日にあたります。
沖縄では旧暦で行う風習も残っていますので、2022年は2月20日にあたります。
本島地域、離島地域含め、二十日正月が節目の地域が、小正月を節目とする地域よりも多いようです。

スーチカー 豚の塩漬け

さて、旧暦1月1日(2022年は2月1日)から始まった正月が、この日をもって正月行事がすべて終了するとされていて、沖縄では「終わり正月」とも言います。
また正月の間に塩漬けしてあった豚肉を食べ尽くしたので、その豚肉を保存していたカーミ(甕)を洗うので「カーミアレー(甕洗い)正月」とも呼ばれます。

一連の正月行事は別記事「旧正月」がアップしてありますので、ご一読ください。

この日にはスーチカー(豚の塩漬け)を食べ尽くし、ターウムニー田芋煮)などのご馳走を仏前、ヒヌカン(台所にある火の神様)に供えて、正月祝いを締めくくります。
地域によっては、この日に正月飾りを取り外したりします。

ジュリ馬スネー(行列)

冒頭に書きました諸事情というのは、この行列の主人公でもある「ジュリ(尾類)」と呼ばれた女性が琉球王府によって公設された遊郭で働く遊女だったことによります。

琉球時代、とりわけ薩摩侵入(1609年)以降後、貢租の取立が厳しくなり、農村の貧困家庭では家庭の事情からの借金の形に已む無く娘が身売りに出される例が多くなり、私娼が増えたため、1672年、辻・仲島周辺に遊郭が作られました。
尾類売り(辻売り)で遊郭にやってくるのは10歳未満の幼女が多く、行儀作法や芸事を徹底的に仕込まれ、14~15歳頃にハチカラジ(初髪)を結います。初めて客をとること)貧遊郭に売られた娘達は借金を返済するまではもちろんのこと返済を終えた後でさえ実家に戻りたくとも「汚らわしい存在」として扱われ、戻るに戻れなかったのです。

遊郭にいる間は自由に外に出歩くことなどできるはずもないジュリ達が唯一外に出ることが許されたのがこのジュリ馬行列だったのです。

馬の頭の作り物を身につけた馬舞者(ンマメーサー)と呼ばれる舞妓の一団を中心に、華やかに着飾った尾類(ジュリ)たちが郭内を踊り回り、見物客を集めました。

そして見物客に紛れていた家族に元気な姿を見せることができました。
自分の娘の姿を確認した家族たちは皆、目頭を熱くしたことでしょう。

現在のジュリ馬行列は周辺の拝所を参拝しながらドラや三線の音や「ゆいゆい」という掛け声に合わせ、華やかな紅型衣装を身に纏い、春駒(馬の頭を象った飾り)をつけてジュリに扮した女性たちが踊り練り歩きます。

このような悲しい歴史がありながら、時代のウネリか女性団体から「売春を助長する」「遊女や公娼制度を公認する」のはおかしいという声が上がり昭和63年から12年間途絶えてしまいました
その後地域の方たちから「伝統の継承と地域活性化、観光客誘致」という観点から復活を望む声があがり平成12年から復活しました。

ジュリ馬行列 沖縄 那覇

写真提供:沖縄観光コンベンションビューロー

観光客向けのイベント的要素も入ってはいるものの見学の際にはその裏側に潜む悲しい歴史的背景もくみ取りながら見たいものです。

ちなみに2021年は新型コロナウィルスの感染拡大防止の観点から中止を余儀なくされ、2022年のジュリ馬行列も感染拡大の収束の目途がつかないため、 旧二十日正月の神事は斎行されるものの、「じゅり馬まつり」は中止が決定しています。

結詞

二十日正月は無事に新年を迎えられ、日常生活が始められたことに感謝をし、家族と共に日常の大切さを再確認するのに適した日です。
一月は和風月名で「睦月(むつき)」ともいわれますが、「親族一同が集って宴を開く、睦み合う月」という意味があるそうです。
普段ですと年末年始には、普段なかなか会えない親族の元に帰省し顔を合わせますが、昨年、今年と2年連続で新型コロナウィルス禍の中それも出来ずに、過ごされた方も多いのではないでしょうか。
年が明けて二十日正月を機に、ご家族などに連絡を入れて様子を伺ってみては如何でしょうか。

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