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端午の節句 こどもの日 5月5日 風物詩
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端午の節句 こどもの日 5月5日

5月5日はこどもの日、五節句の一つの端午の節句(菖蒲の節句)です。
新型コロナウィルス禍で「ステイホーム」を余儀なくされている方も多いかと思われますが、こんな時こそお菓子を手作りしたり、ご家族でしっかりとお祝いしてみるのはいかがでしょうか。

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端午の節句

五月飾り

端午の節句は、もともとは古代中国発祥厄祓い行事です。
「端」は始め・最初という意味で、旧暦では午の月は5月にあたり、その5月の最初の午の日を節句として祝っていました。
後に「午(ご)の日」が「五の日」に通じることや、奇数が重なっておめでたい「重五(ちょうご)」の日でもあるため、5月5日が「端午の節句」の日となりました。
中国では、この時期は雨季を迎えることから、病気や災厄の祓いは大事な行事でした。
そしてこの頃に盛りを迎える香り高い菖蒲蓬(よもぎ)が邪気を祓うとされていて、蓬で作った人形(ひとがた)を軒に飾ったり、菖蒲を刻み込んだ菖蒲酒を飲んだり、菖蒲湯に浸かって邪気祓いをしていました。

その風習が遣唐使とともに日本に伝わり、端午の節会(せちえ)という宮中行事となりました。

古来より日本には、田植え月の五月に「五月(さつき)忌み」という行事をしていました。
神聖な行事である田植えは早乙女(若い清らかな女性)がするものとされ、田植えをひかえて物忌みをしていました。

そこに端午の節句が結びつき、早乙女は菖蒲や蓬で屋根を葺いた小屋に前夜からこもっては菖蒲酒などで不浄を避けて心身を清めることをして、神聖な存在になってから田植えに臨むようになりました。
ですから、本来は女性のためのお祭りでした。

時代は進み、武士の力が強くなると、「菖蒲」が「尚武(武をたっとぶ)」や「勝負」に通じることや、葉の形が刀剣に似ていることなどにより、兜に菖蒲を飾ったりするようになり、男の子のおまつりに変わっていきました。
そして江戸幕府によって五節句のひとつに定められ、幕府の公式の祝日となると、男の子が強く逞しく成長して立身出世することを願う行事として定着していきました。

こどもの日

端午の節句 こどもの日 5月5日

端午の節句=「こどもの日」ですが、実は戦後生まれの国民の祝日です。
昭和23年に公布・施行された「国民の祝日に関する法律」には「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」とその趣旨には書かれています。もちろん男女分け隔てなくこども全般であり、母だけではなく父親も含めてであることはもちろんです。

それがなぜ端午の節句と同じ日になったのかというと、その候補には3月3日(桃の節句)・4月1日・5月5日・11月15日(七五三の日)など、いろいろありましたが、「新しく祝日を制定する際に日付を押しつけるのではなく、国民の感情に深くつながった、文化的な日を祝日にすべき」という意見が出て、食文化や時期的問題が検討され、最終的に5月5日になりました。

ちなみにこどもの日は、世界中の国々にあります。
そのルーツは、1925年にジュネーブで制定された6月1日の「国際こどもの日」です。その後、第2次大戦をはさんで、1954年に国連は改めて11月20日を「世界こどもの日」となりました。

ということで、こどもの日という子どもの権利を尊重し、地位向上をはかる、公的なキャンペーンの日と伝統行事の日が結びついたというわけです。

五月飾り・五月人形

端午の節句 こどもの日 5月5日

ひな祭りのように、端午の節句も同様に定番に飾りつけや人形があります。その代表的なものを挙げておきたいと思います。

鯉のぼり

鯉のぼり

五月の薫風に靡き泳ぐ「鯉のぼり」は端午の節句の風物詩となっています。
日本の風習は江戸時代に武士が玄関に幟(のぼり)や旗指物(はたさしもの)を飾っていたことが始まりと言われています。
その風習が次第に民衆にも広まっていき、武家は旗指物、庶民は現在のような「鯉のぼり」が揚げられるようになりました。

鯉のぼりには、人生という流れの中で遭遇する難関を鯉のように突破して立身出世して欲しい、という願いが込められており、古代中国の「登竜門」という故事に由来しています。
その内容は『中国の黄河上流に竜門という激流が連なる滝があり、そこを登り切った魚は霊力が宿って龍になるといわれていました。ある時、一匹の鯉が激しい滝水に逆らいながら竜門を登りきったところ、鯉は龍へと変身し天に昇っていった』といったものです。

また鯉のぼりとともに五色の吹き流しを揚げますが、その五色の意味は、古代中国の陰陽五行説に由来しています。
陰陽五行説とは、万物は「陰・陽」の二気、「木・火・土・金・水」の五行で成り立ち、これら陰陽五行の要素で世の中は回っているという思想で、日本の文化に深く関わっています。
この五行を色で表したものが五色で、「青・赤・黄・白・黒(または紫)」の5色となっており、「木=青、火=赤、土=黄、金=白、水=黒」です。

武者人形

武者人形

「五月人形」は、人形が人の厄を受けてくれるという身代り信仰のひとつで、有名な武者を模したものを「武者人形」と呼び、勇ましい男子に育つよう願いが込められています。その代表選手が金太郎・桃太郎・牛若丸・弁慶・鍾馗などなどです。
最後の「鍾馗」について若い方はご存じない方も多いかもしれませんので、少し解説を加えておきます。

鍾馗

鍾馗は道教系の神であり、日本では、疱瘡除けや学業成就に効があるとされています。
その縁起については諸説りますが、もともとは中国の唐代に実在した人物だとし、以下のような逸話が流布されています。
『唐の6代皇帝玄宗がマラリアにかかり床に伏せていた時に高熱のなかで夢を見る。宮廷内で小鬼が悪戯をしてまわるが、どこからともなく大鬼が現れて、小鬼を難なく捕らえて食べてしまう。玄宗が大鬼に正体を尋ねると、「自分は終南県出身の鍾馗。武徳年間(618年~626年)に官吏になるため科挙を受験したが落第し、そのことを恥じて宮中で自殺した。だが高祖皇帝は自分を手厚く葬ってくれたので、その恩に報いるためにやってきた」と告げた。そして夢から覚めた玄宗は、病気が治っていることに気付く。』

鎧や兜

五月飾り

鎧(よろい)や兜(かぶと)は、様々な災いから身を守る意味があります。武家社会から生まれた風習で、武士の命を守る大切な道具を飾り、様々な災いから子供を守って逞しく成長するよう願います。

粽(ちまき)・柏餅

端午の節句の定番グルメと言えば 粽(ちまき)・柏餅でしょう。一般的には江戸文化を反映して全国に広がった柏餅に対し、伝統を重んじる京文化圏では粽が伝承され、関西では粽関東では柏餅が多いようですが、そこで 粽・柏餅の蘊蓄を少々お話をしておきます。

粽(ちまき)

ちまき 粽

これも以下のような中国の故事に由来しています。

昔、中国に、屈原(くつげん)という詩人がおりました。有能な政治家でもあった屈原は国王の側近として仕え、その正義感と国を思う強さで人々から大変慕われていましたが、陰謀によって失脚させられ、国を追われてしまいました。
国の行く末に失望した屈原は、汨羅(べきら)という川に身を投げてしまったその日が5月5日でした。
人々は屈原の死を悲しみ、命日になると供物を投げて供養しましたが、せっかくの供物も屈原のもとに届く前に悪い龍に盗まれてしまい、そこで、龍が苦手にしている楝樹(れんじゅ)の葉でもち米を包み、邪気を払う五色(赤・青・黄・白・黒)の糸で縛ってから川へ投げたところ、無事に屈原のもとへ届くようになったというお話です。

この5月5日に粽を作って災いを除ける風習が日本にも伝わり、子供が無事に育つようにとの魔よけの意味を込め粽を食べるようになりました。
ちなみに五色の糸は鯉のぼりの吹流しの色に反映されているそうです。

柏餅

柏餅

柏餅は日本独特のもので、江戸時代に江戸で生まれました柏は昔から神聖な木とされていたことはもちろんのこと、新芽が出ないと冬の間も古い葉が落ちないことから「子供が生まれるまでは親は死なない」すなわち「跡継ぎが途絶えない」「子孫繁栄」に結びつき、縁起のいい食べ物となりました。

ちなみに、柏の葉を表外に向けて巻いているものと、裏を外向けに巻いているものがありますが、これは小豆あんのときは外表に、味噌あんなら中表に巻くなど、中身の違いを表しているそうす。

そして包む餅を蓬餅にすることもありますが、蓬は昔から邪気祓いに用いられて、本来邪気祓いをする行事である端午の節句にはうってつけの食材です。

また柏の採れない地方ではサルトリイバラ朴葉といった、別の葉で代用されることもあります。

菖蒲湯

端午の節句は別名「菖蒲の節句」といわれるように、本来は菖蒲が主役の厄祓い行事でした。
菖蒲は葉の部分からの香りが豊かであるばかりでなく、茎の部分はアサロンやオイゲノールといった精油成分が含まれているため血行促進や保温効果、鎮痛作用もあります。そのためこれから迎える暑い夏を健康に乗り切れるとも言われています。

菖蒲湯

ところで花菖蒲を湯船に浮かべても、香りや効能を楽しむことはできません。
お風呂に入れる菖蒲はサトイモ科の植物で、あの紫色の美しい花を咲かせる花菖蒲とは別物です。この菖蒲にも一応花は咲きますが、花菖蒲のような華やかなものではなく、ガマの穂のような地味な花です。

結詞

鯉のぼり

例年ですとゴールデンウィークも最終盤を迎え、五月晴れの空のもと観光やレジャーなどにお出かけになられるご家族も多いと思われますが、今年も長引く新型コロナウィルス禍で外出自粛が呼びかけられ重苦しい中での「こどもの日」となってしまいますが、天気の良い日は近所の公園などの若葉を愛でたり、お家で五月飾りやお料理などを親子で手作りしたりしながら、上手に過ごしていただきたいものです。来年こそは五月晴れの下、思い切り屋外で楽しめる日が戻るように!!

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