九州四十九院薬師霊場 第七番札所 内尾山 相円寺

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九州四十九院薬師霊場 第七番札所 内尾山 相円寺 九州四十九院薬師霊場
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相円寺の御本尊の薬師如来は、行基作と伝えられている高さ272cmの木造坐像です。山の上の鍾乳洞の中の本堂に安置されています。本堂までは殿川ダム脇の参道を歩き、250余段の石段を登らなければならず、九州四十九院薬師霊場の中で最も難所だと言われています。

九州四十九院薬師巡礼より

霊場本尊・薬師如来について

薬師如来は、正しくは薬師瑠璃光如来といいます。
日光菩薩、月光菩薩の脇士と十二神将が一体となって、仏の心「慈悲の心」を表しています。即ち、私たちの病気の苦しみを除いて、安楽を与えてくださる現世利益の「ほとけさま」です。
薬師如来が説法している時の手の相(印相)、右手は施無畏印で、わたしたちの色々と恐れおじる心を取り除き、安心させてくれるサインです。
痛いところへすぐ右手が飛びます。これが「手当て」です。手の指には仏の世界でいう仏の名があり、薬指が薬師如来です。施無畏印で薬指を少し前に出すことで薬師如来を象徴しています。

左手は与願印で、平安時代以後の薬師如来は薬壷を持っておられます
くすりつぼは、人の寿命を延ばす意味をもつといいます。現代人は薬によって病気が治ると頼りがちでありますが、病気を治すのは、私たちの体内にある自然治癒力が最も肝心です。

医療や薬品は、その自然治癒力を高め、援助する役割を持つのであります。「病は気から」とも言います。この治すという「気力」をバックアップしてくれるのが、お薬師様です。
私たちが病気になったとき、その病気をおそれず、医薬の効果を高め、強く生きる力を与えてくださいます。その上に、「病気の善用」も諭していただけるのです。
お薬師信仰を深めることは、健康で、病気を苦にすることなく、安楽で、幸せな日暮らしが期待できるのです。

病の苦しみを救う、寿命を延ばす、そして貧困からの救済等々十二の大願を成就して如来となられた仏様です。
尊像は病気平癒や延命を願って作られたものが多いため、左手に万病に効く薬が入っている薬壺(やっこ)をお持ちになっておられます。
また薬師像は三尊像としてお祀りされることも多く、その際は脇侍に日光・月光菩薩の二尊が従われることが多く、さらに眷属として十二神将も従えることもあります。

薬師の十二大願

1.光明普照
 自らの光で三千世界を照らし、あまねく衆生を悟りに導く
2.随意成弁
 仏教七宝の一つである瑠璃の光を通じて仏性を目覚めさせる
3.施無尽物
 仏性を持つ者たちが悟りを得るために欲する、あらゆる物品を施す
4.安立大乗 
世の外道を正し、衆生を仏道へと導く
5.具戒清浄
 戒律を破ってしまった者をも戒律を守れるよう援ける
6.諸根具足
 生まれつきの障碍・病気・身体的苦痛を癒やす
7.除病安楽 
困窮や苦悩を除き払えるよう援ける
8.転女得仏
 成仏するために男性への転生を望む女性を援ける
9.安立正見
 一切の精神的苦痛や煩悩を浄化できるよう援ける
10.苦悩解脱
 重圧に苦しむ衆生が解き放たれるべく援ける
11.飽食安楽
 著しい餓えと渇きに晒された衆生の苦しみを取り除く
12.美衣満足
 困窮して寒さや虫刺されに悩まされる衆生に衣類を施す

ご真言

おん ころころせんだり まとうぎ そわか

『概略』

内尾山 相円寺
(霊場御朱印)

別称

内尾薬師

創建

聖武天皇の勅命により下向した光林坊の開基

宗派

天台系単立

ご本尊

薬師如来坐像(寺ご本尊) 行基菩薩 作

行基作と伝えられている高さ272cmの木造坐像

ご真言

おん ころころせんだり まとうぎ そわか

住所・連絡先

福岡県京都郡苅田町馬場268 TEL 093-436-2110(九州四十九院薬師巡礼HPより)1443(九州四十九院薬師巡礼書籍より)
(地図)

アクセス

JR日豊本線「苅田」駅よりタクシーにて10分
殿川ダム堤防で降車、徒歩5分
自家用車の場合、九州自動車道「小倉東」インターチェンジより30分
お寺の駐車場はありませんが、殿川ダム堤防に駐車可

日本一の巨像・内尾薬師(第七番札所 相円寺 )

通称、内尾のお薬師さんと呼ばれ親しまれている相円寺殿川ダムのダム湖を見下ろす断崖絶壁の岩窟にあります。
車はそのダム湖の堤防に止めさせていただいてからの参拝となります。

相円寺は小倉藩主小笠原氏の祈願所であり、「内尾山宝蔵院相円寺」由緒記によれば聖武天皇の勅命により下向した光林坊の開基だそうです。
その寺院、法相宗より天台修験、そして真言宗の時代もあり、現在は天台系に属しています。

参道入り口と書かれているところの正面には押し込められるように納められた石仏や木仏。

参道沿いには石室に納められた先代住職開創の内尾八十八ヶ所の石仏が安置されています。いずれも手作り感満載の仏様たちです。

「相円寺」、「内尾薬師」と書かれた石柱の間の自然石を積み上げた石段を登って行きます。

この石段全部で250段余りあるようです。

中腹まで登ったところに、寺務所であり庫裡でもある宝蔵院常行堂があり住職の姿勢を表す佇まいです。

その少し上にふたつある洞窟の内のひとつの下洞窟があります。

洞窟にはラッパ型で奥に行くにしたがい狭まり俗にいう「針の耳戸」と言われる人がやっと通れるほどの貫通部があるようです。

洞入り口には淡島大明神

洞内には八大龍王をはじめ

数多くの地蔵尊などの石仏が祀られています。

下洞窟を参拝した後は、石段というより梯子か階と言った方がいいような石段を手すりに掴りながら慎重に上り詰めた上の洞窟に本堂がありました。

堂内はやはり手狭な感じではありましたが、奥には行基作と伝わる3メートル近くの像高の薬師如来坐像が鎮座されています。
作風などから平安時代末期から鎌倉時代に造られたと考えられます。
その薬師如来坐像、楠材の寄木造で江戸時代に大修理を施してはいるものの、もとは藤原末期の作とみられています。

お参りを終え、洞窟内をさらに貫通部の方へ進んでいくと、

そこを抜けると少し開けた感のある草原で、左手には朱色の鳥居が建ち並ぶ「稲荷社」がありました。

南無根本伝教大師福聚金剛

すべての参拝を終え、来た道をさらに慎重に下り、湖畔の参道まで辿りつくと、そこには淡いピンク色の梅の花が見送ってくれました。

次回は九州四十九院薬師霊場第八番札所「金光明山 国分寺」をお伝えしてまいります。

九州四十九院薬師霊場 第八番札所 金光明山 国分寺 豊前国分寺

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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