福岡県糟屋郡宇美町は太宰府の北に位置し、博多のベッドタウンとして発展を続けています。
地名の語源は、神功皇后が三韓出兵から帰国後、この地で応神天皇を産んだ伝説に由来すると言われています。その場所には、宇美八幡宮が鎮座しており、安産の神として今でも篤く信仰されています。
隆照寺の歴史は弘隆和尚が、昭和43年に建立、お寺は四王寺山の麓にあり、向かいには若杉山・宝満山を望みます。
『概略』
遍照山 隆照寺
(御朱印)
創建
1968年(昭和43年) 弘隆和尚
宗派
高野山真言宗
ご本尊
金剛界大日如来坐像(九州八十八ヶ所百八霊場ご本尊)
(お御影)
ご真言
おん あびら うんけん ばざら だとばん
大日如来について
大日如来は、真言密教において一切諸仏諸尊の根本仏として帰依し観想されている本尊です。
大日とは「大いなる日輪」という意味で、密教では大日如来は宇宙の真理を現し、宇宙そのものを指します。
そしてすべての命あるものは大日如来から生まれたとされ、釈迦如来も含めて他の仏は大日如来の化身と考えられています。
諸尊は大日如来の徳をそれぞれが分担し、衆生救済にあてられているその働きも大日如来の徳の顕現であると説かれています。
大日如来には悟りを得る為に必要な智慧を象徴する金剛界大日如来と、無限の慈悲の広がりを象徴する胎蔵界大日如来という2つの捉え方があります。
金剛とはダイヤモンドのことを指し、智慧がとても堅く絶対に傷がつくことがないことを意味しています。
そして胎蔵とは母親の母胎のようにすべての森羅万象が大日如来の中に包み込まれている様を意味しています。
この智慧と慈悲が揃って大日如来を本尊とする密教の世界観が出来上がっています。
さらには、未・申年生まれ守り本尊でもあります。
住所・連絡先
福岡県糟屋郡宇美町原田1-17-5 TEL 092-932-1859
(地図)
アクセス
JR香椎線宇美駅下車、徒歩15分
博多駅か天神より西鉄バス32番または34番の「原田橋行き」で栄町下車徒歩5分
車の場合国道3号線御笠川4丁目交差点を東へ四王寺坂入り口を右折し寺標を右折
境内下に駐車場あり
ご詠歌
大日の光 遍く法(のり)の山 この世の浄土 隆照の寺
他の霊場札所
九州二十四地蔵尊霊場第二十三番札所
霊場ご本尊・本堂内、立江地蔵尊
ご詠歌 ありがたや 立江の地蔵 慈悲深く み光照らす 法のお山を
ご真言 おん かかかび さんまえ そわか
(御朱印)
この立江地蔵尊は四国八十八ヶ所第十九番札所・立江寺のご本尊です。
四国の立江寺は関所寺と呼ばれ、素行の悪い者は、この寺を打つことが出来ず、遍路を止めなければならないお寺でもありました。
若杉山を望む高台に建つ寺
万葉の昔には、九州を治めた政治の中心地であった大宰府の北に位置する「宇美町」の四王子山南麓の高台に隆照寺はあります。
境内からの眺望は素晴らしく弘法大師ゆかりの霊場である「若杉山」も望め感慨深いものがあります。
栄町というバス停で下車し、寺標を目印に山手の方に登っていくと白壁に囲まれた寺院が目に飛び込んできます。
その白壁からは桜の花が枝垂れるように咲いていて、上り坂の疲れを癒してくれるようです。
切妻造の山門をくぐり、境内に入ると境内は二段に分かれていて、一段目は鹿島明神社があり、そして、ぼけ封じの観音堂、さらには水子地蔵堂があります。
さらに石段途中に切妻造の鐘楼、そして最上段に白く美しい入母屋造の本堂が配されています。
本堂前に立つと弘法大師が修業したと伝わる「若杉山」の奥の院の屋根も見え、お大師様が身近に感じられます。
本堂に入り、私の守り本尊である大日如来様にお参りします。
その本尊大日如来様は、左右に不動尊と聖観音を配しています。
その他に、千手観音・孔雀明王、さらには信者さんより寄進された室町時代の作と推定される薬師如来が奉安されています。さらに、先師・隆昭和尚が病気平癒を祈願し、無事平癒したことから、以降も信仰した立江地蔵尊が祀られていて、九州二十四地蔵尊霊場第二十三番札所ともなっています。
南無大師遍照金剛
ご朱印をいただいて、いとま際、お寺の方から、
「車でおいでになったんですか?」と。
「いえ、バスで参りました」と応えると、
「陽が傾いて少し肌寒くなってきました。バスがすぐ来るといいですね。どうかお風邪など召されませんようにお帰りください」と。
こんなありふれた些細な会話でしたが、お参りの後の清々しさともに、とても暖かいものを感じ、寺を後にしました。
次回は第九番札所「若杉山 明王院」をお伝えしていきます。
願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌
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