九州八十八ヶ所百八霊場第百四番札所 黒髪山 大智院

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九州八十八ヶ所百八霊場第百四番札所 黒髪山 大智院

黒髪山大智院は大同元年(806年)弘法大師により現在の武雄山内にそびえる霊峰黒髪山上に肥前地方としては最初に開創されました。明治11年に大火災により伽藍を消失してしまいましたが、法灯は護持され明治39年に佐世保の地に移転し復興が始まりました。

『概略』

黒髪山 大智院

創建

大同元年(806年)弘法大師空海

宗派

真言宗大覚寺派

ご本尊

爪刻(つまぼり)不動明王立像

ご真言

のうまく さんまんだ ばだらだん せんだ まかろしやだ そわたや うんたらた かんまん

不動明王について

不動明王は、密教の教主、大日如来が衆生教化のため変身した明王の中では最高位の仏様です。
普段は柔和な大日如来が、優しさだけでは通用しない人々を救済するために、あえて怒りの形相をしています。
邪悪な相手には徹底的に厳しく、人が間違った道へ進もうとした時には、正しい道へと戻れるように諭してくれる存在です。
迷いの世界から煩悩を絶ちきり、仏の道を教えてくれる尊い存在なのです。

空海が日本にもたらした最初のお姿は両目を見開く恐ろしい形相で、おさげ髪のお姿でした。その後19世紀になると、「不動十九観」が定められ左目をやや閉じ、右目を開ける天地眼、上唇を下歯で噛み下唇を上歯で噛むといった特徴となりました。
そして倶利伽羅剣という宝剣と悪い心を縛り上げることにより、善き心を呼び起こさせるための羂索と呼ばれる網をもっておられます。
さらに背後には炎が立ち上げる火焔光背があります。

不動十九観とは

不動明王を心に浮かべる時、その見た目の特徴を表すもので、これを満たしたものを心に描くと理想的な不動明王の姿が描ける考えられます。

1.大日如来の化身であること。
2.真言中に「ア」・「ロ」・「カン」・「マン」の四字があること。
3.常に火生三昧に住していること。
4.童子の姿を現わし、その身容が卑しく肥満であること。
5.髪の毛の上に七沙髻があること。
6.左に一弁髪を垂らすこと。
7.額に水波のようなしわがあること。
8.左の目を閉じ右の目を開くこと。
9.下の歯で右上の唇を噛み、左下の唇の外へ出すこと。
10.口を固く閉じること。
11.右手に剣をとること。
12.左手に羂索を持つこと。
13.行者の残食を食べること。
14.大磐石の上に安座すること。
15.色が醜く、青黒であること。
16.奮迅して忿怒であること。
17.光背に迦楼羅炎かるらえんがあること。
18.倶力迦羅竜くりからりゅうが剣にまとわりついていること。
19.矜羯羅童子と制多迦童子の二童子が侍していること。

住所・連絡先

長崎県佐世保市戸尾町9番8号 TEL 0956-22-5721
(地図)

アクセス

佐世保市営バス「黒髪山上」バス停下車徒歩2分
佐世保市営バス・西肥バス「戸尾町」バス停下車徒歩3分
佐世保市営バス・西肥バス「佐世保駅前」バス停下車徒歩5分
JR佐世保駅・松浦鉄道「佐世保駅」より徒歩7分
境内に駐車場あり

ご詠歌

黒髪の お山で大師 お爪にて 不動の姿 お刻(ほ)りたまえり

爪刻不動明王(第百四番 大智院)

佐世保駅にも程近い市街地の高台に大伽藍を構える大智院の山号の「黒髪山」は昔、弘法大師が登拝し、自ら爪で刻まれた不動明王を祀っておられた霊山です。
また寺号は江戸期(正保年間)に当山第11世尊覚(そんがく)住持は京都大覚寺第37世門跡(もんぜき)尊性法親王(そんしょうほっしんのう)の書講として招かれ、その功績により尊性法親王の住房である大覚寺塔頭の「大智院」を下賜されたことによるものです。

明治時代の大火により隆盛を極めた80を超えたといわれる末寺のほとんどが焼失し、当地に移転しました。その後戦災により衰退した時期もありましたが、世情の安定に伴い次第に寺勢も回復し、平成18年には開創200年を迎えられたそうです。

境内に入ると正面に本堂があり、黒髪山三所権現の本地仏である薬師如来、阿弥陀如来、千手観世音菩薩を本尊に脇に不動明王、愛染明王がお祀りされています。

九州八十八ヶ所百八霊場第百四番札所 黒髪山 大智院

また圧巻なのは正面に鎮座される等身大の弘法大師のご尊像で、数年に一度お衣替えの儀式を行うことから「生身大師」「御衣大師」と呼ばれているそうです。

本堂の右手には不動護摩堂があり、移転とともに移されたご本尊の「爪刻不動明王」があり、平素は秘仏となっていて、毎年の節分星まつりの日にご開帳になるそうです。

お堂の右手に回り込むと「曼荼羅庭園」があり、明治期には九州最大であった大日如来石像をはじめ、多くの石仏群とともに多くの季節の花々や樹々が植栽され、参詣者の癒しの場となっていて、素晴らしい空間を醸し出しています。

折りしも私が伺った時はシャクナゲの花が咲き誇っていました。

南無大師遍照金剛

山号ともなっている「黒髪山」には、九州八十八所百八霊場第六十九番札所 黒髪山 西光密寺(参拝済み)があり、 黒髪三所権現の本地仏といわれる、薬師如来、 阿弥陀如来、千手観音の三体の掛け仏さま(秘仏)がお祀りされています。

次回は九州八十八ヶ所百八霊場第百五番札所「鎮西高野山 金剛寺」をお伝えしてまいります。

願わくは
この功徳をもってあまねく一切に及およぼし
われらと衆生と皆共に仏道を成ぜんことを 合掌

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