九州八十八ヶ所百八霊場 第十二番札所 穂波山 金倉寺

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九州八十八ヶ所百八霊場
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金倉寺が鎮まる飯塚市堀池の集落は、遠賀川の支流である嘉麻川と穂波川に挟まれた平野地帯で、昔は豊穣の土地から穫れる穀物の積出しが三角州の辺りで行われていました。
また近世における石炭繁昌期もこの河川が主な要路となり、川船が寄り合う賑わいがあったそうです。
こうした穂波川の堤を東に下ったところに貴船神社の森が在り、その奥に金倉寺が鎮まっています。
貴船神社は水を司る神として農耕民や船人の信仰を集めていましたが、時代の変遷に信仰も萎えて昔日の隆盛は偲ばれません。

『概略』

穂波山 金倉(きんそう)寺
(御朱印)

別称

ちり切り不動

創建

大正3年(1914年) 渡辺龍真師
昭和57年(1982年)本堂を新築・建立

宗派

真言宗 醍醐派

ご本尊

不動明王立像(九州八十八ヶ所百八霊場ご本尊)
(お御影)

ご真言

のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろ しやだ そわたや うんたらた かんまん

不動明王について

不動明王は、密教の教主、大日如来が衆生教化のため変身した明王の中では最高位の仏様です。
普段は柔和な大日如来が、優しさだけでは通用しない人々を救済するために、あえて怒りの形相をしています。
邪悪な相手には徹底的に厳しく、人が間違った道へ進もうとした時には、正しい道へと戻れるように諭してくれる存在です。
迷いの世界から煩悩を絶ちきり、仏の道を教えてくれる尊い存在なのです。

空海が日本にもたらした最初のお姿は両目を見開く恐ろしい形相で、おさげ髪のお姿でした。その後19世紀になると、「不動十九観」が定められ左目をやや閉じ、右目を開ける天地眼、上唇を下歯で噛み下唇を上歯で噛むといった特徴となりました。
そして倶利伽羅剣という宝剣と悪い心を縛り上げることにより、善き心を呼び起こさせるための羂索と呼ばれる網をもっておられます。
さらに背後には炎が立ち上げる火焔光背があります。

住所・連絡先

福岡県飯塚市堀池423 TEL 0948-24-2984
(地図)

アクセス

JR福北ゆたか線・筑豊本線「飯塚駅」下車、徒歩15分
車の場合、八木山バイパス穂波東インターより国道200号線、秋松交差点を左折。穂波川を渡ってすぐ左折し堤防上の道を進む。
「中村運輸」様のところを右折して、貴船神社の境内に沿って進む。
駐車 可

ご詠歌

あらたかな 真言加持の 金倉寺 ちり切り不動は 不思議なりけり

貴船神社の鎮守の森に守られて

金倉寺は堀池の集落の貴船神社の裏手に伽藍を構えています。
そのすぐ東側は長崎街道で、街道沿いの表示板と貴船神社の間の道を入ります。

本堂前の不動明王様は怖いお顔はされていますが、どこか優しさと親しみを感じさせるお顔をされています。

このお寺は四国八十八ヵ所、第七十六番札所「金倉寺(こんぞうじ)」と縁の深いお寺だそうです。
開祖の渡辺龍真師はそちらで修行をされていました。

渡辺龍真師は、高野山開創1100年を契機にして、真言聖となって諸国行脚の旅に出ました。
その途上、一夜を貴船神社にて投宿した時、村里に疫病が流行っているのを知り、神社に籠って加持祈祷したところ疫病は収束したそうです。
このご縁により貴船神社の近くに観音堂を建立、多くの村人の帰依を集めるようになりました。

その後、四国金倉寺から薬師如来を勧請し、筑豊金倉寺と称し、穂波新四国霊場が創設された時には、薬師如来を霊場の本尊として七十六番の札所を掲げました。
しかし早い時期から加持祈祷の本尊だった不動明王の霊力が有名になり、「ちり切り不動」の愛称で呼ばれるようになったそうです。

龍真師が亡くなったあとは甥の佐伯慈教が嗣ぎ、現在はその嫡男の慈照がお寺を護っておられるそうです。
そして昭和五十七年に本堂を新築され、現在に至っておられます。

貴船神社の鎮守の森の裏手にひっそりとたたずんではいるものの、入母屋造二階建ての本堂の二階部分に本山醍醐寺の定紋が輝いていて、寺院としての威厳が保たれています。

堂内の須弥壇は荘厳に飾られており、中央の高台にご本尊の不動明王(ちり切り不動尊)が祀られています。
ご本尊の「ちり切り」とは、勘の虫封じのことで、子供の病に霊験あらたかということです。
また家出人の足止めにもご利益があると言われています。

境内には狭い敷地ながら躍動感溢れる不動石仏や十三仏が祀られていました。

南無大師遍照金剛

金倉寺のご住職は勤めに出ておられ、不在がちだという話でしたが、折りしも週末ということもあって、この日は在寺で、納経印なども手書き押印していただけました。
しかしご不在時でも本堂の玄関を開けると「ご自由にお上がりお参り下さい」の表示もあり、 いつでも安心してお参りできるそうです。

次回は第十三番札所「香林山法善寺」」をお伝えしていきます。

願ねがわくは
この功徳(くどく)をもってあまねく一切(いっさい)に及およぼし
われらと衆生(しゅうじょう)と
みなともに仏道(ぶつどう)を成(じょうぜん)ことを 合掌

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