九州八十八ヶ所百八霊場第五十五番札所 最栄山 本蔵院

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九州八十八ヶ所百八霊場第五十五番札所 最栄山 本蔵院 九州八十八ヶ所百八霊場
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九州八十八ヶ所百八霊場第五十五番札所 最栄山 本蔵院

本蔵院の歴史は、阿蘇山から始まります。阿蘇山は本来、阿蘇神社の別当所として隆盛した西巌殿寺(天台宗・最栄読師開創)に総括された修験の山です。 有名な草千里には、かつて西巌殿寺の子院三十七坊が並び、修験の拠点となっていました。
しかし、明治の廃仏毀釈と修験道禁止令で、阿蘇修験は壊滅状態になりました。 西巌殿寺は山麓と山上にそれぞれ本堂を存続させていますが、子院三十七坊はいずれも廃されてしまいました。 後に、三十七坊の一院が熊本市迎町に移転し、真言宗に改宗したのが、満念寺本蔵院です。
さらに、昭和2年(1927年)現在の本荘に移りました。 本尊は珍しい北向き不動明王。また、同じく本堂に祀られている弘法大師像は、人形師安本亀八の作です。

九州八十八か所百八霊場~九州を周る「心巡り」の旅~より

『概略』

最栄山 本蔵院
(御朱印)

創建

天養元年(1144年)最栄読師(比叡山) 西巌殿寺

宗派

真言宗 醍醐派

ご本尊

不動明王立像
(お御影)

ご真言

のうまく さんまんだ ばだらだん せんだ まかろしやだ そわたや うんたらた かんまん

不動明王について

不動明王は、密教の教主、大日如来が衆生教化のため変身した明王の中では最高位の仏様です。
普段は柔和な大日如来が、優しさだけでは通用しない人々を救済するために、あえて怒りの形相をしています。
邪悪な相手には徹底的に厳しく、人が間違った道へ進もうとした時には、正しい道へと戻れるように諭してくれる存在です。
迷いの世界から煩悩を絶ちきり、仏の道を教えてくれる尊い存在なのです。

空海が日本にもたらした最初のお姿は両目を見開く恐ろしい形相で、おさげ髪のお姿でした。その後19世紀になると、「不動十九観」が定められ左目をやや閉じ、右目を開ける天地眼、上唇を下歯で噛み下唇を上歯で噛むといった特徴となりました。
そして倶利伽羅剣という宝剣と悪い心を縛り上げることにより、善き心を呼び起こさせるための羂索と呼ばれる網をもっておられます。
さらに背後には炎が立ち上げる火焔光背があります。

不動十九観とは

不動明王を心に浮かべる時、その見た目の特徴を表すもので、これを満たしたものを心に描くと理想的な不動明王の姿が描ける考えられます。

1.大日如来の化身であること。
2.真言中に「ア」・「ロ」・「カン」・「マン」の四字があること。
3.常に火生三昧に住していること。
4.童子の姿を現わし、その身容が卑しく肥満であること。
5.髪の毛の上に七沙髻があること。
6.左に一弁髪を垂らすこと。
7.額に水波のようなしわがあること。
8.左の目を閉じ右の目を開くこと。
9.下の歯で右上の唇を噛み、左下の唇の外へ出すこと。
10.口を固く閉じること。
11.右手に剣をとること。
12.左手に羂索を持つこと。
13.行者の残食を食べること。
14.大磐石の上に安座すること。
15.色が醜く、青黒であること。
16.奮迅して忿怒であること。
17.光背に迦楼羅炎かるらえんがあること。
18.倶力迦羅竜くりからりゅうが剣にまとわりついていること。
19.矜羯羅童子と制多迦童子の二童子が侍していること。

住所・連絡先

熊本県熊本市本荘6-15-50 TEL 096-364-4848
(地図)

アクセス

熊本インターから熊本駅方面へ約15分
熊本交通センターから南熊本方面へ約5分
熊本駅正面の産業道路をまっすぐ東に車で約3分
バスの場合
本荘停留所 徒歩約2分
鉄道の場合
JR鹿児島本線「熊本駅」から徒歩約15分
JR豊肥本線「南熊本駅」から徒歩約15分
境内に駐車場あり

ご詠歌

健盤(たついわ)の 立つる誓いの 不動尊 迷う心の 障り除かん

阿蘇山ゆかりの(第五十五番 本蔵院)

九州道を一路南下して、御船ICまでひとっ走りです。ICより熊本市内に入ると、本蔵院に着きます。
交通量の多い産業道路に面して建っていますが、門前には小さな疎水があって、まるでそれが結界のように境内を隔絶しているように感じました。

本蔵院は、火の国熊本の象徴でもあり、九州随一の霊山でもある「阿蘇山」とゆかりの深いお寺です。
阿蘇山は、阿蘇神社の別当所の西巌殿寺(天台宗・最栄読師開創)に統括された修験の山でした。
その子院三十七坊が観光地として有名な「草千里」に並び、修験の拠点となっていたそうです。
しかし、明治の廃仏毀釈や修験道禁止令によって、その子院はいずれも廃されてしまいました。
そのうちのひとつが熊本市内に移転し、真言宗に改宗した満念寺本蔵院として再建され、昭和2年(1927年)に現在の地に移転しました。
その歴史を伝えるため、山号を西巌殿寺開創の最栄阿闍梨にならい「最栄山」としたそうです。

山門脇の道路沿いに延命地蔵尊が立っていますが、 案内板によればその地蔵尊は、このあたりはかつて土葬墓地であり、事故多発地点の為、この地に眠る御霊の冥福を慰め、事故で死亡した人々の冥福を祈る意味から昭和35年(1960年)に「第九町内十日会」によって建立されたものだそうです。。

九州八十八ヶ所百八霊場第五十五番札所 最栄山 本蔵院

山門を入ると、境内はけっして広いとは言えないが、庭木の手入れが大変行き届いていて、大変美しいです。
山門を入ってすぐ左手には修行大師像が参拝者を迎えてくれます。
正面には、ゆったりとした曲線が美しい入母屋造、唐破風の向拝のついた本堂がどっしりと建っています。
ご本尊は珍しい北向き不動明王です。
また、同じく本堂に祀られている弘法大師像は、人形師安本亀八の作と伝わっています。

その本堂左手には、数段の石段の上に「一切経蔵」があります。
この経蔵は、屋根は宝形造、その上に相輪が天に向かって伸びています。
建立は昭和4年で、当時熊本では最初の鉄筋コンクリート造りの建物だったそうです。
現在も丁寧に修理しながら保存されています。

南無大師遍照金剛

本蔵院では以下の日程で古くより伝わる仏教法要の万燈供養が行われています。
万燈供養とは自身の先祖のみならず、縁の有る無いに関わらず、その無限なる命に対し報恩の祈りを込め、あわせて、暗闇を照らす智慧の光である燈明を仏さまにお供えし、その功徳をすべての命に廻らす法要だそうです。

盂蘭盆会万燈供養
2023年8月12日(土) 18:30~20:00

また本蔵院は、令和4年7月より本堂再建事業により解体が始まり、本堂完成は令和5年の冬以降だそうです。
その間は、本蔵院運営霊園「公園墓地 菩提樹苑」内の「屋内霊園 慧日堂」を仮本堂として、すべての参拝、法要、水子供養ならびに行事が執り行われているそうです。
巡拝の際は、念のため下記にご連絡をされた方が良いかと思われます。

住所 熊本市西区島崎5丁目927-6
電話 096-364-4848(本蔵院)

九州八十八ヶ所百八霊場第五十六番札所 白蓮山 金剛寺

次回は九州八十八ヶ所百八霊場第五十六番札所「白蓮山 金剛寺」をお伝えします。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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