弘法大師空海は、瀬戸内の各所に立ち寄りながら九州に至り、最後に日本を離れたのが、田ノ浦です。ここは札所として「開元寺」なっていますが、寺院があるわけではなく、あるのは『弘法大師入唐解纜之地』と刻された一基の石碑と拝所があるだけです。寺号の由来は、嵐など苦労の末、弘法大師が十二月の終わりに唐に上陸後、一ヵ月の間とどまった福州の寺院が開元寺で、近年にその寺号を称したものです。
『概略』
入唐(にっとう)山 開元寺
(御朱印は第七十七番札所最教寺でいただく))
別称
田ノ浦霊場
宗派
真言宗智山派
ご本尊
弘法大師坐像(石碑前 石造厨子内 九州八十八ヶ所百八霊場ご本尊)
ご宝号
南無大師遍照金剛
住所・連絡先
長崎県平戸市大久保町田ノ浦 TEL 0950-22-2469(最教寺)
(地図)
アクセス
平戸バスターミナルから西肥バス田ノ浦行、田ノ浦別道下車徒歩30分
車の場合、平戸市内から田ノ浦方面へ北上、弘法大師解纜の地の道標にしたがう
境内に駐車場あり
ご詠歌
唐土(もろこし)の み法(のり)伝えて 今ここに 弘誓(ぐぜい)の船に 乗るぞうれしき
霊場中の霊場(第七十八番 開元寺)
最教寺を後にして、平戸島の北端の田ノ浦に向かいます。
「弘法大師解纜(かいらん)之地」の案内を頼りに車を走らせ、人家も疎らになってきたころ海の方へ下り切ったところが「田ノ浦霊場」です。
ここは札所として「開元寺」なっていますが、寺院があるわけではなく、あるのは『弘法大師入唐解纜之地』と刻された一基の石碑と拝所があるだけです。
石碑には、石造りの厨子があり、その中にご本尊の弘法大師の石像が安置されています。
弘法大師空海は、密教の奥義を学ぶため留学生(るがくしょう)として遣唐使船で唐に渡りましたが、最後に日本を離れたのがここ田ノ浦だそうです。
周りに人家は無く、目の前に大海が広がる草原に佇むと「同行二人」をひしひしと感じさせてくれる素晴らしい霊場です。
ちなみに弘法大師は、土佐の室戸岬の海と空に臨んで「空海」と名乗るようになったと言われています。
草原を吹き渡る風に時を忘れそうになりながら、ふと左手に目をやると岬の上に大きな石像があるのに気付きます。
「渡唐大師(もちろん弘法大師のこと)」といい、長崎御影石製で日本一の大きさの石像です。
単に像の大きさからだけではなく、海から内陸に向かって指を指し示し凛として立っておられるお姿は、初冬の澄んだ青空のもとわが身に迫る力を感じざるを得ませんでした。
南無大師遍照金剛
次回は九州八十八ヶ所百八霊場第七十九番札所「松豊山 善福寺」をお伝えします。
願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌
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