九州八十八ヶ所百八霊場第八十九番札所 太祖山 金剛頂院

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九州八十八ヶ所百八霊場第八十九番札所 太祖山 金剛頂院

金剛頂院は、大同元年(西暦806年)唐より帰朝した弘法大師が、博多の地に留まられていた時、当若杉山に登られ鎮護国家・救世利民の祈願を施された時に庵を結ばれた地に建つお寺です。戦乱がより焦土となってしまいましたが昭和17年に再建されたました。

九州八十八か所百八霊場~九州を周る「心巡り」の旅~より

『概略』

太祖山 金剛頂院

創建

大同元年(西暦806年) 弘法大師 空海

宗派

真言宗九州教団

ご本尊

金剛界大日如来坐像

ご真言

おん あびら うんけん ばさら だどばん

大日如来について

大日如来は、真言密教において一切諸仏諸尊の根本仏として帰依し観想されている本尊です。

大日とは「大いなる日輪」という意味で、密教では大日如来は宇宙の真理を現し、宇宙そのものを指します。
そしてすべての命あるものは大日如来から生まれたとされ、釈迦如来も含めて他の仏は大日如来の化身と考えられています。
諸尊は大日如来の徳をそれぞれが分担し、衆生救済にあてられているその働きも大日如来の徳の顕現であると説かれています。

大日如来には悟りを得る為に必要な智慧を象徴する金剛界大日如来と、無限の慈悲の広がりを象徴する胎蔵界大日如来という2つの捉え方があります。
金剛とはダイヤモンドのことを指し、智慧がとても堅く絶対に傷がつくことがないことを意味しています。
そして胎蔵とは母親の母胎のようにすべての森羅万象が大日如来の中に包み込まれている様を意味しています。
この智慧と慈悲が揃って大日如来を本尊とする密教の世界観が出来上がっています。

さらには、未・申年生まれ守り本尊でもあります。

住所・連絡先

福岡県粕屋郡篠栗町若杉4-2 TEL 092-947-6348
(地図)

アクセス

JR篠栗線篠栗駅よりタクシーで25分
車の場合、明王院から、さらに山道を1.5キロ(入り口に駐車場あり)

ご詠歌

金剛の 峰に澄みにし 月影に 迷いも今は 消え果つるなり

澄みわたる山の気の中で(第八十九番 金剛頂院)

山と渓谷の「篠栗」に向かいます。篠栗のシンボル的存在なのが、標高681メートルの若杉山
弘法大師修行の地として伝えられて修験道の盛んなところです。
そして、ここ篠栗は「篠栗四国八十八か所」として開創されていて日本三大新四国のひとつとして、篤い信仰にささえられている土地柄です。

険しい山道を右に左にカーブしながら2キロほど山道を登っていくと駐車場があります。
そこには「岳城観音堂」があり、様々な戦乱で犠牲となった御霊を供養するための白衣観音立像が祀られていました。

駐車場の向かいの木々に囲まれた参道を進むと、入母屋造で妻入、唐破風の向拝がつく本堂に着きます。

九州八十八ヶ所百八霊場第八十九番札所 太祖山 金剛頂院

ここ金剛頂院は、大同元年(西暦806年)唐より帰朝した弘法大師が、博多の地に留まられていた時、当若杉山に登られ鎮護国家・救世利民の祈願を施された時に庵を結ばれた地に建つお寺です。

ご本尊は金剛界大日如来で、未・申年生まれ守り本尊で、そのご本尊を中心に右脇に不動明王(文化財)・弘法大師、左脇に毘沙門天・薬師如来・千手観音がお祀りされています。
ただ、その金剛界大日如来坐像は秘仏で、7月20日から22日まで執り行われる夏祈祷秘法護摩の折にのみ開扉されるそうです。

本堂手前には淡島堂(淡島さま・豊受さまの二神を祀りご婦人の守り神と五穀豊穣の守り神)や観音堂(十一面観音を安置)、また、裏手には八大龍王を祀る滝場を経て、聖天堂(歓喜天を祀り家庭円満・商売繁盛の神様)と山間のそんなに広くはない境内に様々なお堂が巧みに配置されていました。

昔、若杉高野山と呼ばれたこの地、凛とした空気に包まれて、自然と身が引き締まるこの日最初の巡拝でした。

南無大師遍照金剛

境内には、鯖をぶら下げている「鯖大師」という、あまり見かけないお大師様がおられます。
弘法大師が塩サバを加持祈祷で生き返らせたという以下のような言い伝えがあります。

「1200年程昔のことです。平安時代初期の弘仁年間(810年~823年)に弘法大師空海が四国巡錫の折、阿波の国の八坂八浜を訪れた際に、行基菩薩手植えの松の下で野宿し行基菩薩の夢を見ました。そこを塩鯖を馬に背負わせた馬子が通りがかりました。
空海が塩鯖を所望したところ、馬子は口汚くののしり断ってしまいました。
その後、坂にさしかかったところで馬が急に苦しみ動かなくなってしまいました。
慌てた馬子は先ほどの僧は巡錫中の空海に違いないと思い、空海に鯖を差し出し馬を治して欲しいと懇願しました。
空海が加持水を馬に与えたところ、馬はたちまち元気になりました。
また、空海が法生島(ほけじま)で先ほどの塩鯖に加持祈祷を行い、海に放ったところ塩鯖は生き返り泳いで行きました。
それを目の当たりにし、仏の心を起こした馬子は、この地に庵をたて古今来世まで人々の救いの霊場としたそうです。

九州八十八ヶ所百八霊場第九十番札所 常住金剛山 浄心院

次回は九州八十八ヶ所百八霊場第九十番札所「常住金剛山 浄心院」をお伝えしてまいります。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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