九州八十八ヶ所百八霊場 第六十六番札所 亀井山 東前寺

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九州八十八ヶ所百八霊場第六十六番札所 亀井山 東前寺 九州二十四地蔵尊霊場
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九州八十八ヶ所百八霊場第六十六番札所 亀井山 東前寺

東前寺は和銅4年(711年)に行基菩薩を開祖として建立された寺院です。本尊薬師如来は、厄除薬師といわれ、戦国時代寺が焼かれた際には自ら飛んで火中を出でたと伝えられます。本堂の裏手には、亀井山」の名前の由来となった亀石と呼ばれる岩があります。

九州八十八か所百八霊場~九州を周る「心巡り」の旅~より

『概略』

亀井山 東前寺
(御朱印)

創建

和銅4年(711年)行基菩薩

宗派

高野山真言宗

ご本尊

薬師如来座像(九州八十八ヶ所百八霊場ご本尊)
(お御影)

ご真言

おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

薬師如来について

薬師如来は、正しくは薬師瑠璃光如来といいます。
日光菩薩、月光菩薩の脇士と十二神将が一体となって、仏の心「慈悲の心」を表しています。即ち、私たちの病気の苦しみを除いて、安楽を与えてくださる現世利益の「ほとけさま」です。
薬師如来が説法している時の手の相(印相)、右手は施無畏印で、わたしたちの色々と恐れおじる心を取り除き、安心させてくれるサインです。
痛いところへすぐ右手が飛びます。これが「手当て」です。手の指には仏の世界でいう仏の名があり、薬指が薬師如来です。施無畏印で薬指を少し前に出すことで薬師如来を象徴しています。

左手は与願印で、平安時代以後の薬師如来は薬壷を持っておられます。
くすりつぼは、人の寿命を延ばす意味をもつといいます。現代人は薬によって病気が治ると頼りがちでありますが、病気を治すのは、私たちの体内にある自然治癒力が最も肝心です。

医療や薬品は、その自然治癒力を高め、援助する役割を持つのであります。「病は気から」とも言います。この治すという「気力」をバックアップしてくれるのが、お薬師様です。
私たちが病気になったとき、その病気をおそれず、医薬の効果を高め、強く生きる力を与えてくださいます。その上に、「病気の善用」も諭していただけるのです。
お薬師信仰を深めることは、健康で、病気を苦にすることなく、安楽で、幸せな日暮らしが期待できるのです。

病の苦しみを救う、寿命を延ばす、そして貧困からの救済等々十二の大願を成就して如来となられた仏様です。
尊像は病気平癒や延命を願って作られたものが多いため、左手に万病に効く薬が入っている薬壺(やっこ)をお持ちになっておられます。
また薬師像は三尊像としてお祀りされることも多く、その際は脇侍に日光・月光菩薩の二尊が従われることが多く、さらに眷属として十二神将も従えることもあります。

薬師の十二大願

1.光明普照
 自らの光で三千世界を照らし、あまねく衆生を悟りに導く
2.随意成弁
 仏教七宝の一つである瑠璃の光を通じて仏性を目覚めさせる
3.施無尽物
 仏性を持つ者たちが悟りを得るために欲する、あらゆる物品を施す
4.安立大乗 
世の外道を正し、衆生を仏道へと導く
5.具戒清浄
 戒律を破ってしまった者をも戒律を守れるよう援ける
6.諸根具足
 生まれつきの障碍・病気・身体的苦痛を癒やす
7.除病安楽 
困窮や苦悩を除き払えるよう援ける
8.転女得仏
 成仏するために男性への転生を望む女性を援ける
9.安立正見
 一切の精神的苦痛や煩悩を浄化できるよう援ける
10.苦悩解脱
 重圧に苦しむ衆生が解き放たれるべく援ける
11.飽食安楽
 著しい餓えと渇きに晒された衆生の苦しみを取り除く
12.美衣満足
 困窮して寒さや虫刺されに悩まされる衆生に衣類を施す

日光菩薩・月光菩薩

この二尊はそれぞれ単独で信仰されることはありません。
常にペアで薬師如来様をお護りされています。
通常は向かって右側(左脇侍)に日光菩薩、左側(右脇侍)に月光菩薩が左右対称に配されています。
日光菩薩は日光遍照とも呼ばれ、千の光を放ち天下を照らし衆生を救済するお役目があります。一方、月光菩薩は月光遍照とも呼ばれ、薬師如来様の正しい教えを守るお役目を担っておられます。
両菩薩ともに衆生の不安や苦しみ、謂わば闇の部分に昼夜分かたずひかりを照らしておられます。
その象徴として、日光菩薩は太陽・日輪、月光菩薩は月・月輪を手にした蓮華にのせられています。(宝冠に太陽、月を表す場合もあります)

日光菩薩 ご真言

おん そりや はらばや そわか

月光菩薩 ご真言

おん せんだら はらばや そわか

十二神将

薬師如来様に付き従うガードマン的存在の一団です。
と同時に経典を読む人々を守るという役目も担われています。
十二神将は、薬師如来の十二の大願に応じて、それぞれが昼夜の十二の時、十二の月、または十二の方角を守るといわれています。そのため中国や日本では十二支が充てられています。その割り当てには解釈の違いによって諸説ありますのでご注意ください。当ブログでは混乱を避ける意味から、敢えて割り当てられた十二支は省かせていただいております。
平安時代以降、頭上に標識として干支の動物を掲げている像が一般化され、十二支の彫刻がないものを古様、あるものを新様といいます。
さらに十二神将にはそれぞれ如来・菩薩・明王が化身されたものと言われています。

十二神将とご真言

宮毘羅大将(金毘羅童子、宮比羅)(くびらたいしょう)
   おん くびら そわか

伐折羅大将(金剛力士)(ばさらたいしょう)
   おん ばさら そわか

迷企羅大将(めきらたいしょう)
   おん めきら そわか

安底羅大将(あんてらたいしょう)
   おん あんて(ち)ら そわか

頞儞羅大将(あんにらたいしょう)
   おん あんにら そわか

珊底羅大将(さんていらたいしょう)
   おん さんて(ち)ら そわか

因達羅大将(帝釈天)(いんだらたいしょう)
   おん いんだら そわか

波夷羅大将 (はいらたいしょう)
   おん はいら そわか

摩虎羅大将(まこらたいしょう)
   おん まこら そわか

真達羅大将(緊那羅)(しんだらたいしょう)
   おん しんだら そわか

招杜羅大将 (しょうとらたいしょう)
   おん しょうとら そわか

毘羯羅大将(びからたいしょう)
   おん びから そわか

住所・連絡先

長崎県東彼杵郡波佐見町岳辺田郷1102 TEL 0956-85-3443
(地図)

アクセス

JR大村川棚線またはJR佐世保線有田駅から西肥バス平瀬下車、徒歩5分
長崎自動車道東そのぎインターから国道205号線、川棚駅前交差点を右折、波佐見神社のとなり
境内に駐車場あり

ご詠歌

ほろほろと 鳴く山鳥の 声聞けば 父かとぞ思う 母かとぞ思う

他の霊場札所

九州二十四地蔵尊霊場第十三番札所

霊場ご本尊・本堂左手玄関、開運地蔵尊
 ご詠歌 大慈悲の 救いあまねき 地蔵尊 智慧と福寿を 祈れもろびと
 ご真言 おん かかかび さんまえ そわか
(御朱印)

自ら火中より飛び出した薬師如来(第六十六番 東前寺)

東前寺のある波佐見町は、焼き物の里として、とりわけ普段使いの器の産地として人気を集めています。
氏神様の波佐見神社に隣接した高台に東前寺は建っています。
この東前寺の歴史は古く奈良時代に行基菩薩を開祖として波佐見村金谷山に薬師如来を安置して一寺を建立したのが始まりです。
そして弘法大師も入唐に際して海上安全を祈願されたそうです。

お参りにお伺いした時の本堂は入母屋造で行基作の薬師如来や十一面観音、文殊菩薩などの尊像が安置されています。
そのご本尊の薬師如来は厄除薬師といわれ、戦国時代兵火により寺が焼かれた時自ら火中より飛び出して大樹に留まった伝わります。

その本堂も2016年11月に6年の大改修を終え、落慶法要が行われたそうです。

さて東前寺さんの素晴らしいところは本堂裏手から奥の院に続く空間です。

森林の中に多くの石仏が配され、角の取れた苔むした岩や、心地よい谷川の音の中を奥の院へと向かいます。

小さな石橋を渡ったところに宝形造の奥の院はあり、堂内に自然の岩に坐した弘法大師の石仏が祀られています。

毎年4月21日行われる大師御影供になると、その大師像をみこしに乗せて町中を練り歩き再び奥の院へ奉安します。弘法大師が高野山奥の院に入定された風景を再現しているそうです。

南無大師遍照金剛

九州二十四地蔵尊霊場第十三番札所としての東前寺は先行して公開させていただきましたので、今回は九州八十八ヶ所百八霊場第六十六番札所の方に重きをお伝えいたしました。以前の記事と重複した内容もございますが、ご容赦ください。

九州八十八ヶ所百八霊場第六十七番番札所 三間山 東光寺

次回は九州八十八ヶ所百八霊場第六十七番番札所「三間山 東光寺」をお伝えいます。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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