九州八十八ヶ所百八霊場 第二十五番札所 洗心山 金剛頂寺

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九州八十八ヶ所百八霊場
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別府北浜の温泉街の程近くにある寺院で、元高野山管長の津田実雄和尚のもとで修行した松本覚陞和尚が四国八十八ヶ所霊場を遍路した後、大正年間にこの地に創建されました。
別府西国三十三ヵ所観音霊場も覚陞和尚の開創で、金剛頂寺が一番札所となっています。
全国に薬師の湯がたくさんあるように、古来より薬師如来も温泉も人々の病を癒してきました。
有名な別府の地のお薬師様です。
九州八十八か所百八霊場~九州を周る「心巡り」の旅~より

『概略』

洗心山 金剛頂寺
(御朱印)

創建

大正年間 松本 覚陞 和尚

宗派

高野山真言宗

ご本尊

薬師如来坐像(九州八十八ヶ所百八霊場ご本尊)
(お御影)

ご真言

おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

薬師如来について

病の苦しみを救う、寿命を延ばす、そして貧困からの救済等々十二の大願を成就して如来となられた仏様です。
尊像は病気平癒や延命を願って作られたものが多いため、左手に万病に効く薬が入っている薬壺(やっこ)をお持ちになっておられます。
また薬師像は三尊像としてお祀りされることも多く、その際は脇侍に日光・月光菩薩の二尊が従われることが多く、さらに眷属として十二神将も従えることもあります。

薬師の十二大願

1.光明普照
 自らの光で三千世界を照らし、あまねく衆生を悟りに導く
2.随意成弁
 仏教七宝の一つである瑠璃の光を通じて仏性を目覚めさせる
3.施無尽物
 仏性を持つ者たちが悟りを得るために欲する、あらゆる物品を施す
4.安立大乗 
 世の外道を正し、衆生を仏道へと導く
5.具戒清浄
 戒律を破ってしまった者をも戒律を守れるよう援ける
6.諸根具足
 生まれつきの障碍・病気・身体的苦痛を癒やす
7.除病安楽 
 困窮や苦悩を除き払えるよう援ける
8.転女得仏
 成仏するために男性への転生を望む女性を援ける
9.安立正見
 一切の精神的苦痛や煩悩を浄化できるよう援ける
10.苦悩解脱
 重圧に苦しむ衆生が解き放たれるべく援ける
11.飽食安楽
 著しい餓えと渇きに晒された衆生の苦しみを取り除く
12.美衣満足
 困窮して寒さや虫刺されに悩まされる衆生に衣類を施す

日光菩薩・月光菩薩

この二尊はそれぞれ単独で信仰されることはありません。
常にペアで薬師如来様をお護りされています。
通常は向かって右側(左脇侍)に日光菩薩、左側(右脇侍)に月光菩薩が左右対称に配されています。
日光菩薩は日光遍照とも呼ばれ、千の光を放ち天下を照らし衆生を救済するお役目があります。一方、月光菩薩は月光遍照とも呼ばれ、薬師如来様の正しい教えを守るお役目を担っておられます。
両菩薩ともに衆生の不安や苦しみ、謂わば闇の部分に昼夜分かたずひかりを照らしておられます。
その象徴として、日光菩薩は太陽・日輪、月光菩薩は月・月輪を手にした蓮華にのせられています。(宝冠に太陽、月を表す場合もあります)

日光菩薩 ご真言

おん そりや はらばや そわか

月光菩薩 ご真言

おん せんだら はらばや そわか

十二神将

薬師如来様に付き従うガードマン的存在の一団です。
と同時に経典を読む人々を守るという役目も担われています。
十二神将は、薬師如来の十二の大願に応じて、それぞれが昼夜の十二の時、十二の月、または十二の方角を守るといわれています。そのため中国や日本では十二支が充てられています。その割り当てには解釈の違いによって諸説ありますのでご注意ください。当ブログでは混乱を避ける意味から、敢えて割り当てられた十二支は省かせていただいております。
平安時代以降、頭上に標識として干支の動物を掲げている像が一般化され、十二支の彫刻がないものを古様、あるものを新様といいます。
さらに十二神将にはそれぞれ如来・菩薩・明王が化身されたものと言われています。

十二神将とご真言

宮毘羅大将(金毘羅童子、宮比羅)(くびらたいしょう)
   おん くびら そわか

伐折羅伐折羅大将(金剛力士)(ばさらたいしょう)
   おん ばさら そわか

迷企羅迷企羅大将(めきらたいしょう)
   おん めきら そわか

安底羅安底羅大将(あんてらたいしょう)
   おん あんて(ち)ら そわか

頞儞羅頞儞羅大将(あんにらたいしょう)
   おん あんにら そわか

珊底羅珊底羅大将(さんていらたいしょう)
   おん さんて(ち)ら そわか

因達羅因達羅大将(帝釈天)(いんだらたいしょう)
   おん いんだら そわか

波夷羅波夷羅大将 (はいらたいしょう)
   おん はいら そわか

摩虎羅摩虎羅大将(まこらたいしょう)
   おん まこら そわか

真達羅真達羅大将(緊那羅)(しんだらたいしょう)
   おん しんだら そわか

招杜羅招杜羅大将 (しょうとらたいしょう)
   おん しょうとら そわか

毘羯羅毘羯羅大将(びからたいしょう)
   おん びから そわか

住所・連絡先

大分県別府市北的ケ浜町5-3 TEL 0977-22-5489
(地図)

アクセス

JR日豊本線別府駅下車。徒歩10分
車巡礼の場合は、国道10号線沿いの「的ヶ浜有料駐車場」の利用が便利。駐車場より徒歩5分

ご詠歌

ひんがしの 海より昇る 瑠璃光の 光遍く 西方の寺

泉都別府の真只中に(第二十五番 金剛頂寺)

我が国屈指の温泉地・別府の玄関口JR別府駅から歩いても10分、民家と軒を並べるように山門が建っています。

切妻造の山門をくぐると、左手に大きな宝篋印塔、そして右手にはさらに大きく本堂の屋根にも届かんばかりの巨大な石燈籠
本堂は、入母屋造で、中に入ると思いの外の広さと内陣の荘厳に、ここが一大観光都市のど真ん中であることを忘れさせてくれます。

本堂内陣には、ご本尊の「薬師如来坐像」をはじめとする諸像が安置されていますが、特に注目していただきたいのが「毘沙門天立像」。細かな縁起は不明とのことですが、万歳しているようなそのお姿は珍しくおもしろいです。

南無大師遍照金剛

なお、町のど真ん中にあるため、車巡礼の場合は、一方通行等辿り着くの難儀な上、駐車も大変なので近くの公営有料駐車場を利用した方が手っ取り早いです。駐車場近くの海浜公園の散策やお寺に着くまでの道すがらの公民館に併設されている地区の公衆浴場など、湯の町「別府」の一端に触れることが出来るも一興です。

次回は第二十六番札所「摩尼山 福寿院」をお伝えしていきます。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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