九州八十八ヶ所百八霊場 第四番札所 瑞光山 不動院 田代不動

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九州八十八ヶ所百八霊場
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不動院は「田代不動」と呼ばれ、町中にあるゆえか日常的に近隣からの参拝者が絶えないお寺です。境内に鎮座する「生目八幡」は平景清をご祭神とする宮崎にある神社で眼病平癒に霊験あらたかというであることから、こちらも信仰をあつめています。

『概略』

瑞光山 不動院
(御朱印)

別称

田代不動

創建

1950年 瑞光尼

宗派

高野山真言宗

ご本尊

不動明王坐像(九州八十八ヶ所百八霊場ご本尊)
(お御影)

ご真言

のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろ しやだ そわたや うんたらた かんまん

不動明王について

不動明王は、密教の教主、大日如来が衆生教化のため変身した明王の中では最高位の仏様です。
普段は柔和な大日如来が、優しさだけでは通用しない人々を救済するために、あえて怒りの形相をしています。
邪悪な相手には徹底的に厳しく、人が間違った道へ進もうとした時には、正しい道へと戻れるように諭してくれる存在です。
迷いの世界から煩悩を絶ちきり、仏の道を教えてくれる尊い存在なのです。

空海が日本にもたらした最初のお姿は両目を見開く恐ろしい形相で、おさげ髪のお姿でした。その後19世紀になると、「不動十九観」が定められ左目をやや閉じ、右目を開ける天地眼、上唇を下歯で噛み下唇を上歯で噛むといった特徴となりました。
そして倶利伽羅剣という宝剣と悪い心を縛り上げることにより、善き心を呼び起こさせるための羂索と呼ばれる網をもっておられます。
さらに背後には炎が立ち上げる火焔光背があります。

住所・連絡先

佐賀県鳥栖市田代大宮町824-1 TEL 0942-82-3353
(地図)

アクセス

JR鹿児島本線 田代駅下車、徒歩15分
長崎インターより国道34号線方面に降り、田代公園入口交差点を左折。
境内に駐車場可

ご詠歌

あらたかな 忿怒の慈悲に 世を救う 瑞光あまねく 田代不動尊

明け方の空に紫雲に導かれ 四番札所・不動院

鳥栖は、九州自動車道、長崎自動車道、大分自動車道と九州地方の各高速道路が交差する現代版交通の要所です。
不動院はかつての長崎街道田代宿の代官所跡に程近い住宅街に伽藍を構えています。
その代官所は田代大宮町がかつて対馬藩の飛地であったことから設置されたものでした。

また鳥栖は江戸時代には薬の行商が盛んで「田代薬」呼ばれ、九州各地に売り歩いていたと言います。

開創の瑞光尼は明治の頃から仏教に帰依していましたが、昭和25年明け方の空に紫雲がたなびくのを見て、この地に移転創建したと言われています。
以来、本尊の不動尊の不思議な霊験によって「田代不動尊」として地域の人たちに篤く信仰され日常から参拝者が絶えません。

本堂は、1976年(昭和51年)に建立されたものですが、14段の階段を昇る二階部分にあります。内陣には不動明王や弘法大師が安置されていますが、左手に穏やかな微笑をたたえた、開山の祖「瑞光尼」が祀られています。
その本堂は北を向いて建っていますが、中に入ると諸尊をお祀りしてある内陣は西向きになっています。

本堂からの眺めは、平地でありながら、少し高台に建っているせいか、遠くまで見渡せ、その展望は市街地のお寺とは思えないものです。

本堂裏手には、水子地蔵や小さな滝場まであり不動尊や八大龍王の石像がお祀りしてあり、霊場の雰囲気をしっかりと醸し出しています。
またその滝場に並んで石の鳥居のある入母屋造の社があり、瑞光尼も信仰していた「眼病平癒」の神、「生目(いくめ)八幡」が祀られています。
現在でも、1月15日と12月15日には生目八幡祭りが盛大に行われているそうです。

さて、この「生目八幡」、瑞光尼が信仰する以前よりこの地に祀られていたかは定かではありませんが、田代薬の行商は目薬の扱いも多かったことにも関係があるかもしれません。

余談になりますが、生目八幡は宮崎市生目に鎮座する神社で、先ほども書きましたが「眼病平癒」の神様で九州一円で信仰されています。
ご祭神は平景清で、「生目」の神社名については諸説ありますが、源平合戦の後に源頼朝に捕らわれた平景清が、源氏が栄えていくことを目にすることを厭い、と同時に源氏への復讐を断念するために自身の両眼を抉りとったところ、その志を賞した源頼朝から日向別当という別当職と日向国の地300町(約3600坪)を与えられました。景清の没後にその(抉った)両眼を祀ったことによると伝えられています。

南無大師遍照金剛

歳を取っていくと、年々眼の衰えを痛感せずにはいられません。
読書をしてもすぐに疲れてしまうし、パソコンやスマホのバックライトなど眼に良くない環境もあります。
避けきれない老化には無理して抗わず、上手にお付き合いしていきたいものです。

次回は第五番札所「新高野山 大師寺」をお伝えしていきます。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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