九州八十八ヶ所百八霊場第六十五番札所 医王山 延命寺

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九州八十八ヶ所百八霊場第六十五番札所 医王山 延命寺 九州三十三観音霊場
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九州八十八ヶ所百八霊場第六十五番札所 医王山 延命寺

延命寺は1616年(元和2年)岡山より丁度、訪れていた龍宣和尚が当時流行していた新種の疫病平癒の為、祈願を行った処 御利益があったという事で長崎奉行の依頼で常駐するようになり、当地で寺院を構えたのが始まりだそうです。

九州八十八か所百八霊場~九州を周る「心巡り」の旅~より

『概略』

医王山 延命寺
(御朱印)

創建

元和2年(1616年) 龍宣和尚 開創

宗派

真言宗 御室派

ご本尊

薬師如来座像(秘仏)
(お御影)

ご真言

おんころころ せんだり まとうぎ そわか

薬師如来について

薬師如来は、正しくは薬師瑠璃光如来といいます。
日光菩薩、月光菩薩の脇士と十二神将が一体となって、仏の心「慈悲の心」を表しています。即ち、私たちの病気の苦しみを除いて、安楽を与えてくださる現世利益の「ほとけさま」です。
薬師如来が説法している時の手の相(印相)、右手は施無畏印で、わたしたちの色々と恐れおじる心を取り除き、安心させてくれるサインです。
痛いところへすぐ右手が飛びます。これが「手当て」です。手の指には仏の世界でいう仏の名があり、薬指が薬師如来です。施無畏印で薬指を少し前に出すことで薬師如来を象徴しています。

左手は与願印で、平安時代以後の薬師如来は薬壷を持っておられます。
くすりつぼは、人の寿命を延ばす意味をもつといいます。現代人は薬によって病気が治ると頼りがちでありますが、病気を治すのは、私たちの体内にある自然治癒力が最も肝心です。

医療や薬品は、その自然治癒力を高め、援助する役割を持つのであります。「病は気から」とも言います。この治すという「気力」をバックアップしてくれるのが、お薬師様です。
私たちが病気になったとき、その病気をおそれず、医薬の効果を高め、強く生きる力を与えてくださいます。その上に、「病気の善用」も諭していただけるのです。
お薬師信仰を深めることは、健康で、病気を苦にすることなく、安楽で、幸せな日暮らしが期待できるのです。

病の苦しみを救う、寿命を延ばす、そして貧困からの救済等々十二の大願を成就して如来となられた仏様です。
尊像は病気平癒や延命を願って作られたものが多いため、左手に万病に効く薬が入っている薬壺(やっこ)をお持ちになっておられます。
また薬師像は三尊像としてお祀りされることも多く、その際は脇侍に日光・月光菩薩の二尊が従われることが多く、さらに眷属として十二神将も従えることもあります。

薬師の十二大願

1.光明普照
 自らの光で三千世界を照らし、あまねく衆生を悟りに導く
2.随意成弁
 仏教七宝の一つである瑠璃の光を通じて仏性を目覚めさせる
3.施無尽物
 仏性を持つ者たちが悟りを得るために欲する、あらゆる物品を施す
4.安立大乗 
世の外道を正し、衆生を仏道へと導く
5.具戒清浄
 戒律を破ってしまった者をも戒律を守れるよう援ける
6.諸根具足
 生まれつきの障碍・病気・身体的苦痛を癒やす
7.除病安楽 
困窮や苦悩を除き払えるよう援ける
8.転女得仏
 成仏するために男性への転生を望む女性を援ける
9.安立正見
 一切の精神的苦痛や煩悩を浄化できるよう援ける
10.苦悩解脱
 重圧に苦しむ衆生が解き放たれるべく援ける
11.飽食安楽
 著しい餓えと渇きに晒された衆生の苦しみを取り除く
12.美衣満足
 困窮して寒さや虫刺されに悩まされる衆生に衣類を施す

日光菩薩・月光菩薩

この二尊はそれぞれ単独で信仰されることはありません。
常にペアで薬師如来様をお護りされています。
通常は向かって右側(左脇侍)に日光菩薩、左側(右脇侍)に月光菩薩が左右対称に配されています
日光菩薩は日光遍照とも呼ばれ、千の光を放ち天下を照らし衆生を救済するお役目があります。一方、月光菩薩は月光遍照とも呼ばれ、薬師如来様の正しい教えを守るお役目を担っておられます。
両菩薩ともに衆生の不安や苦しみ、謂わば闇の部分に昼夜分かたずひかりを照らしておられます。
その象徴として、日光菩薩は太陽・日輪月光菩薩は月・月輪を手にした蓮華にのせられています。(宝冠に太陽、月を表す場合もあります)

日光菩薩 ご真言

おん そりや はらばや そわか

月光菩薩 ご真言

おん せんだら はらばや そわか

十二神将

薬師如来様に付き従うガードマン的存在の一団です。
と同時に経典を読む人々を守るという役目も担われています。
十二神将は、薬師如来の十二の大願に応じて、それぞれが昼夜の十二の時、十二の月、または十二の方角を守るといわれています。そのため中国や日本では十二支が充てられています。その割り当てには解釈の違いによって諸説ありますのでご注意ください。当ブログでは混乱を避ける意味から、敢えて割り当てられた十二支は省かせていただいております。
平安時代以降、頭上に標識として干支の動物を掲げている像が一般化され、十二支の彫刻がないものを古様、あるものを新様といいます。
さらに十二神将にはそれぞれ如来・菩薩・明王が化身されたものと言われています。

十二神将とご真言

宮毘羅大将(金毘羅童子、宮比羅)(くびらたいしょう)
   おん くびら そわか

伐折羅大将(金剛力士)(ばさらたいしょう)
   おん ばさら そわか

迷企羅大将(めきらたいしょう)
   おん めきら そわか

安底羅大将(あんてらたいしょう)
   おん あんて(ち)ら そわか

頞儞羅大将(あんにらたいしょう)
   おん あんにら そわか

珊底羅大将(さんていらたいしょう)
   おん さんて(ち)ら そわか

因達羅大将(帝釈天)(いんだらたいしょう)
   おん いんだら そわか

波夷羅大将 (はいらたいしょう)
   おん はいら そわか

摩虎羅大将(まこらたいしょう)
   おん まこら そわか

真達羅大将(緊那羅)(しんだらたいしょう)
   おん しんだら そわか

招杜羅大将 (しょうとらたいしょう)
   おん しょうとら そわか

毘羯羅大将(びからたいしょう)
   おん びから そわか

H3 住所・連絡先

長崎県長崎市寺町3-1 TEL 095-822-0378
(地図)

アクセス

JR長崎本線長崎駅から市電公会堂前下車、徒歩10分。
雲仙から国道57号線を下り、愛野展望台前を左折して、国道251号線矢上大橋、国道34号線で長崎市内に入る。諏訪神社前市電停留所を左折。
駐車場なし周辺の有料駐車場を利用。市民会館の駐車場(筆者もこちらに車をとめました)が最も近い。徒歩5分

ご詠歌

巡り来て 遍照殿に ぬかづけば 心に響く 南無の一声

他の霊場札所

九州三十三観音霊場第二十四番札所

霊場ご本尊・本堂前 別名・白寿観音
ご詠歌 巡り来て 遍照殿に ぬかづけば 心に響く 南無の一声(九州八十八ヶ所百八霊場と同じ)
ご真言 おん あろりきゃ そわか
(御朱印)

数々の歴史の中に(第六十五番 延命寺)

長崎道を一気に走り長崎市内へ。
寺町は坂の多い長崎市内流れる中島川の東の高台にあり、その通りにはたくさんの中国風建築のお寺が並んでいます。
車遍路の時はお寺まで車で行き、境内または駐車場にとめさせていただくのですが、こちらではそれが叶わず、お寺の近くにある市民会館の駐車場に車を置いてからの参拝になりました。

観光スポットとして有名な「眼鏡橋」を渡り5分ほど坂を登っていくと、入母屋造の山門があります。
この山門、1657年の建立で長崎でも古い建物のひとつとなっています。

山門から石段を上ると今度は趣のあるアーチ形の石組の門が迎えてくれます。

そして境内に入ると横長で入母屋造の立派な建物が本堂です。
この日はご法要が入っていたため本堂へ上がっての参拝は叶いませんでしたが、本堂内には秘仏となっている薬師如来が祀られているということです。

本堂に向き合うように八十八体の弘法大師の坐している石像が、三段でいずれも外を向くように祀られていました。
四国八十八か所を勧請したものだそうです。

この延命寺は、昭和28年二十二世 堤 祐演大僧正の発願により開創された長崎四国八十八か所の第一番と第三十三番の札所ともなっています。
長崎四国八十八か所は戦後初めて開創された新四国であり、それが被爆地で開創されたことは意味深いことでしょう。

南無大師遍照金剛

さて、延命寺の境内にいると猫が多いことに気づきます。
首輪をつけたものやつけていないのもいます。
そう言えば長崎は猫の町だったことが頭をよぎりました。
ここにいる猫たちは、仏様はもとよりお寺の方々の慈悲を受けてのんびりと過ごしていました。
それを眺めている私もどこからかほっこりとした空気に包まれたお参りでした。

九州八十八ヶ所百八霊場第六十六番札所 亀井山 東前寺

次回は九州八十八ヶ所百八霊場第六十六番札所「亀井山 東前寺」をお伝えします。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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