熊蟄穴|くまあなにこもる|2023年|正月事始め|大掃除

歳時記
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熊蟄穴 くまあなにこもる

朝晩の冷え込みも増し、北日本や日本海沿岸地域では暖冬とは言うものの雪の降り方も増してきました。
暦は12日より七十二候は大雪の次候「熊蟄穴(くまあなにこもる)」となります。
新型コロナウィルス禍では「巣ごもり」などという言葉も流行りましたが、今年も全国的に「行動制限」が無い年末年始を迎えることとなります。
一方、巷のニュースでは平素から行動制限などない鹿や猪、とりわけ今年はアーバンベアなどという言葉が流行るほど熊が人里の出没し、人的被害も出ています。
動物たちの目線で見れば、動物たちも餌の乏しくなる冬に備えて、冬支度に余念がないようです。

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熊蟄穴(くまあなにこもる)

熊蟄穴 くまあなにこもる

七十二候も「熊蟄穴(くまあなにこもる)」に移り、熊など動物たちが冬ごもりの時期に入り、寒い季節を乗り越えるために、春になるまで、穴の中で過ごします。熊だけではなく、シマリスや蛙、こうもりなども冬ごもりを始めます。

妊娠したメスの熊さん達は、分娩授乳を冬篭り中にしますが、それ以外はドングリをお腹いっぱい食べてその脂肪分をエネルギーにして途中で目覚めることなくひたすら冬眠するそうです。

穴の中では、ほとんど身動きせず、脈拍や呼吸数も減少します。
そのため、クマの場合は「冬眠」ではなく、「冬篭(ごも)り」という言い方をするそうです。
冬篭りの穴として、ツキノワグマは樹の根の近くの洞(ほら)を利用し、ヒグマは斜面の土を掘って穴を作るそうです。

クマの冬は、この時期食料が不足する事と、体力温存の保身の習性だと考えられています。

そこで冬ごもり前の 実りの秋に高カロリー・高タンパクの山のドングリ・小桑・ヤマブドウなどの木の実をお腹いっぱい食べまくります。たくさん食べれば、フンもいっぱい排泄されますが、この時期のフンは、ブドウや小桑のジャムに似てワインのようないい匂いがするのだそうです。こうして毛皮の下には、7〜8センチもの脂肪が蓄えられるそうです。

この状態のまま冬篭りに入ると、残った食べ物が醗酵して毒素が体内に溜まってしまいますので、同時に人間の便秘薬としても知られているクマザサも大量に食べることで、クマの血液は浄化され、腸内の毒素や悪臭の発生を防ぐのだそうです。眠る前にちゃんとお腹をきれいにしておく知恵を熊さん達はもっていたのです。
さらに、こもる直前はもう食事をとらず、なんと松脂を食べて肛門をふさいでしまいます。これで寝床を汚すことなく4ヶ月間過ごせるのです。

一方、妊娠した熊さんは寝たまま1~2月頃に平均二頭の子を産み、授乳しながら育てて、春には穴から出てきます。
生まれたての赤ちゃんは、人間の両手にすっぽり入る大きさ(約450g、25㎝)で、目も耳も閉じていて、ネズミそっくりだそうです。
その後、4ヶ月間、お乳を飲んでは眠っていたチビクマさん達も、3月には穴の中をハイハイしたりするようになるようです。
熊さん達の出産は、このように天敵に襲われない安全な場所で「冬篭り」の間に行われることが多いのは、寒さからチビクマさん達を守る目的もあるそうです。

さて、春になり穴から出てきた熊さんは、皮下の脂肪がすっかりなくなって、体重が4分の3くらいになっているといいます。
そして冬眠明けには、吐き気・下痢の作用があるミズバショウの根茎や大量のクマザサを食べ、 体内の毒素をすっかり出し終わってから 地上生活を再開するそうです。

日本の熊

そんな熊さん、世界には「ヒグマ」「ホッキョクグマ」「ツキノワグマ」「マレーグマ」「ナマケグマ」「メガネグマ」「アメリカクロクマ」「ジャイアントパンダ」という8種類の熊さんがいますが、日本に生息するのはツキノワグマヒグマ二種類です。

ツキノワグマ

ツキノワグマ

本州や四国の森林に生息し、かつては九州にも生息していましたが現在では絶滅した可能性が高いとされています。
数年前、福岡、佐賀県境にある脊振山の登山道で山系での目撃情報が伝わりましたが、事実はどうも「あなぐま」と見間違えたようだとその後の糞などの調査により判明しています。

大きさは100cm~130cmで体重はオスが80kg、メスが50kgくらいと世界の熊さんの中では小型か中型の部類に入ります。
そのツキノワグマが平素何を食べているかというと、基本的には何でも食べる雑食性ですが、植物を主食としています。

ヒグマ

ヒグマ

ヒグマは北半球に広く生息する熊さんで日本では北海道のみに分布しています。以前は本州にも生息していましたが、最後の氷河期の後、その植生の変化やツキノワグマとの生存競争の結果絶滅したとされています。

そして日本に生息する陸上動物では最大級の動物です。
そのサイズは200cm~230cm、体重も150kg~250kgと言われています。食べ物はヒグマも基本的には雑食性で意外にも植物を主食としています。

ところで北海道の定番お土産である「サケを咥えた木彫りの熊」ですが、実際のところ北海道のクマさんはあまりサケを食べていないようです。
ある調査によれば食性の中でサケへの依存度は5%程度だそうです。

くまのぬいぐるみ

テディベア

余談になりますが、本物の熊に出くわしたら怖いですが、ぬいぐるみの熊なら抱きしめたくなります。
熊のぬいぐるみは、最初「テディベア」と呼ばれていました。その後、「熊のプーさん」「熊のパディントン」などのキャラクターも出てきました。
その「テディベア」の名前の由来第26代アメリカ合衆国大統領セオドア・ルーズベルトの愛称「テディ」にちなんでということだそうです。

1902年秋、大統領は趣味の熊狩りに出かけましたがその日は獲物がありませんでした。
帰り際、最後に出くわしたのが瀕死の熊だったそうで、大統領は「瀕死の熊を撃つのはスポーツマン精神にもとる」として撃たなかったそうです。
この逸話がワシントン・ポスト紙に挿絵入りで載り、これをもとにアメリカで熊のぬいぐるみが作られたそうです。

さらに昨年注目を浴びた熊さんといえば「パディントン」ではないでしょうか。
くまのパディントンは、イギリスの作家マイケル・ボンドの児童文学作品に登場する架空のクマのキャラクターですが、英王室で最長在位のエリザベス女王の在位70周年を記念する式典(プラチナ・ジュビリー)の時の記念コンサートの冒頭で、女王がパディントンと共に映像でサプライズ登場し、2人でお茶を楽しむ姿がイギリス王室の公式You Tubeチャンネルで動画が公開されたことによるものでしょう。

その動画の内容は、
『バッキンガム宮殿でのお茶会に招かれたパディントンがエリザベス女王と談笑しています。
ところがパディントンはティーポットで直にお茶を一気飲みしたり、用意されていたお菓子を潰してしまったりと失敗の連続。
それでも女王は「気にしないで」とフォローしてくれます。

ここでパディントンは「もしもの時のために持っているんですよ」と、帽子からマーマレードサンドイッチを取り出します。
すると女王も「私も。ここに持っているんですよ」と、ハンドバッグからサンドイッチを取り出します。

執事からパーティーがもうすぐ始まる旨が女王に伝えられると、パディントンはプラチナ・ジュビリーを迎えた女王に次のような祝福と感謝の言葉を述べます。

「ジュビリーおめでとうございます、陛下。そして全てのことに、感謝します」

宮殿の外からはクイーンの名曲「ウィ・ウィル・ロック・ユー」のリズムが聴こえてきます。
女王とパディントンも食器を鳴らしノリノリに……。』

そんなプラチナ・ジュビリーにまつわるユニークな動画です。

英王室が公開している動画はこちら音が出ます)から

そして9月8日の女王の訃報に接したパディントンは、その共演動画のセリフに因んで、
女王、全てのことに、感謝します(Thank you Ma’am, for everything.)
と、ツイッターでつぶやいています。

正月事始め

さて翌日の12月13日はお正月の準備に取り掛かるには良い日とされる「正月事始め」です。

正月事始め

中国で生まれた天文学・占星術で「二十八宿」というものがあって、旧暦の12月13日は「鬼宿」と名前こそ恐ろしげですが、鬼が辺りをうろつかない日とされ「万事進むに大吉」と、とても縁起の良い日とされています。
江戸時代の江戸城ではそれに因んでかこの日に「煤払い」を行ったことから庶民の間でもこの日に煤払いをするようになったようです。

松迎え

その大掃除が終われば門松にする松や、おせち料理の支度や餅つきに使う為の薪などを採りに山に出かけました。
このことからこの日は「松迎え」とも呼ばれています。

煤払い

煤払い

そもそも、平安時代より12月の宮中で欠かせない行事だった「煤払い(すすはらい)」を由来とする神事です。
鎌倉期以降、掃除が禅宗の修行の一貫としてひろまったのも相まって寺社仏閣に「すす払い」の風習が広まりました。
その後。江戸時代になると一般庶民にも年の瀬の行事としての大掃除が定着したと言われます。

お正月は年神様が訪ねてこられ「五穀豊穣」「子孫繁栄」「無病息災」をもたらせてくれます。
年神様をお迎えするために家中の煤や埃を落とし気持ちよくお迎えするためにこの日から大掃除に精を出しました。
神様はさておき家中をきれいに清掃・整理することは新たな年を迎えるにあたり気持ちまで改まるものです。

大掃除

さて現代社会の大掃除ですが、正月事始めの煤払いにそのルーツを見出すことができます。
一年間の間に積もりに積もった煤を払い、あらためてお正月の神様をお迎えするという行事が原型となっています。
大掃除だけでなくおせちの準備をしたり、年賀状を書いたりと何かと忙しい年末、効率よく大掃除を終えて清々しく新年を迎えたいものです。

大掃除

そこで大掃除のコツのようなものを簡単にお伝えしておきましょう。

まずは大まかな予定を立ててみてはいかがでしょうか。次の順番で進めていくと効率がいいです。

  1. 不用品の整理(分別したごみの収集日に要注意)
  2. 不用品の処分
  3. 掃除場所のリストアップ(完璧を望まず今年の重点個所を決めましょう)
  4. 掃除する箇所の順番を決めましょう
  5. 掃除用具・用品の在庫を確認して、必要な道具や不足しそうなものは補充しておきましょう。
  6. 予定に沿って進めていきましょう
  7. 上から下へ(例:天井→壁→床)
  8. 奥から手前(例:押し入れ→戸棚→テレビや家具の下)
  9. 細かいところや細かい作業は一番最後

掃除用具用品の主なものリスト

洗剤系

・台所用洗剤
・クレンザー
・アルコール除菌スプレー
・塩素系漂白剤
・酸素系漂白剤
・油汚れ用洗剤
・住居用洗剤
・ガラス用洗剤
・金属みがき剤
・お風呂用洗剤
・お風呂のカビ取り剤
・トイレ用洗剤

消耗品系

・掃除機紙パック
・ゴミ袋
・荷造りひも
・ぞうきん
・スポンジ類
・たわし類
・粘着スペアテープ

あると便利なもの

・軍手
・ゴム手袋
・コンロブラシ
・脚立・踏み台

繰り返しになりますが、とにかく完璧を狙わず、重点的にやることがポイントです。
きれいになったお家の中で年賀状書き、お飾りの準備、おせち料理の準備と進めていきましょう。

結詞

市街地など人間の生活圏に出没する野生動物も、好き好んで出てきているわけではありません。
開発による自然破壊に伴う動物たちの生息圏の縮小や地球温暖化による植生変化などが要因として挙げられています。
クマさんたち動物達が、本来の生息域で、冬篭り前に秋の実りを鱈腹食べられて、安心して冬篭りできる自然を大切にしていきたいものです。

鱖魚群 さけのうおむらがる

さて今年も20日余り、何かと気忙しくなる時期ですが、七十二候は大雪の末候「鱖魚群(さけのうおむらがる)」と進んでいきます。

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