九州西国霊場 第十番札所 九六位(くろくい)山 圓通(えんつう)寺

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九州西国霊場
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九州西国霊場 第十番札所 九六位山 圓通寺

百済の僧、日羅により開山されたと伝えられ、険しい山道に難渋する日羅を、九頭の鹿と猪が霊地に案内したことから「九鹿猪山」と名づけられたとされています。
九六位山(452メートル)の山頂近くに圓通(えんつう)寺からは、大分市や別府湾、臼杵市、臼杵湾が遠望できる。

九州西国霊場~より

『概略』

九六位(くろくい)山 圓通(えんつう)寺
(御朱印)

創建

崇峻天皇4年(591年)百済の僧・日羅上人

宗派

天台宗

ご詠歌

くらいやま のぼるにつけて むらさきの くものむかえを いつかとぞまつ

ご本尊

千手観世音菩薩立像(九州西国霊場ご本尊)

ご真言

おん ばざら だるま きりく

十一面千手観音菩薩について

別名 千手千眼観自在菩薩(せんじゅせんげんかんじざいぼさつ)とも言い、生きとし生けるものすべてを漏らさず救う、大いなる慈悲を表現する菩薩です。千の手と手のひらの千の眼によってどんな願いも見落とさず、悩み苦しむ衆生を見つけては手を差し伸べる広大無限な功徳と慈悲から「大悲観音」、または観音の王を意味する「蓮華王」とも称されます。
蓮華王とは泰三界曼荼羅で観音が配される場所である「蓮華部」の中で、最高位となっています。
阿修羅や金剛力士などが属する二十八部衆を配下とします。

千手観音は、人々を救うための手が多い分、得られるご利益も多いと考えられています。そのため、災難除け、病気平癒などあらゆる現世利益を網羅しているのです。
そのご利益です。
厄災厄除・苦難除去・病魔退散・悪疫守護・諸願成就・平穏無事・頭痛平癒・病気(難病)平癒・奇病快癒

さらに、夫婦円満や恋愛成就、安産や子宝成就にも功徳があるとされていて、後生善処(ごしょうぜんしょと読みます。亡くなったあと来世でも幸せに過ごせることを言います。)などのご利益もあります。

また六観音(聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・准胝観音または不空羂索観音・如意輪観音)の一つに数えられ餓鬼道に迷う人々を救うといわれています。
餓鬼道に生まれ変わる人は、生前に自己中心的な生活を送っていたり、欲望のままに生きていた人々で、ノドの渇きも潤せず、食べることが叶わないため渇きと餓えに苦しみ続けると言われています。

住所・連絡先

大分県大分市広内442 TEL 097-528-1360
(地図)

アクセス

西鉄大牟田線三沢駅下車、徒歩15分
大分自動車道筑後小郡インターから北へ、千潟か四三島交差点を左折し宝満川を渡って寺標にしたがう
門前に駐車場あり

銀杏の大樹中に観音の霊像あり(第十番札所 九六位山 圓通寺)

大分市と臼杵市の境にある九六位山(452m)の頂上近くにひっそりとたたずむ円通寺。

寺伝によると、百済から来朝した日羅上人が、591年(崇峻天皇4年)に現在の大分市古国府に岩屋寺(後の円寿寺)を開いた折に、毎朝、太陽を礼拝していたところ、東方の山に慶雲がかかっていました。
「この瑞雲の下には、必ず神仙遊化の聖地あり」と確信し、登山を試みました。
日羅上人はその山に登ろうとしたものの険しい山道に難渋し立往生していると、9頭の鹿猪(しし)鹿や猪が現れ、多くの鹿や猪を引き連れて道案内をしたそうです。


上人が山頂に至ると、猪にまたがった異形の人(摩利支天の垂迹・すいしゃく、すいじゃく)が現れ、この地に円通尊観世音菩薩の別称)を安置して衆生を済度するよう伝えたといわれています。
そこで、上人は千手観音を刻んでこの地に安置し、堂を建立して九鹿猪山円通寺と名づけたそうです。

建久年間には大友氏・初代大友能直から寺領の寄付を受け、第5代大友貞親の治世には堂宇を再建し、十二坊を建立するなどして100人の僧徒を擁する修行、祈願道場に発展・繁栄しましたが、第22代大友義統治世の1586年(天正14年)に起きた島津氏の豊後侵攻(豊薩合戦)の際に伽藍を焼失し、荒廃しました。

1632年(寛永9年)に量海法印が「銀杏の大樹の中に観音の霊像あり」との霊夢に従い、九鹿猪山中のイチョウの大木の洞から千手観音を見出して草堂を建てて祀り、寺院を中興しました。
1662年(寛文2年)3月にはその子、清雄法印が観音堂を瓦葺きに改築。
同年12月には梵鐘が完成し、それを機に九鹿猪山から九六位山へと文字を改めたといわれています。

ご本尊「千手観音菩薩立像」脇侍に毘沙門天不動明王が配された、本堂内の厨子に奉安されていて秘仏となっていますが、33年に一度御開帳されるそうです。
通常は本堂内陣と外陣を仕切る欄間に安置されている金色の千手観音菩薩立像を拝することになります。

境内には、創建の際に植えられ、「法灯永く龍華の暁に至らば、この樹年を歴(へ)て、ますます栄よ」祈念したと伝えられる樹齢1300年、樹高22m、幹周7.5mのイチョウの大木があり、乳根の大きさは全国有数の大分県の特別保護樹木、大分市の名木に指定されています。

南無根本伝教大師福聚金剛

門前に植えられたイチョウが現在でも、大きく枝を広げています。
九六位山(452メートル)の山頂近くに建つ寺からは、大分市や別府湾、臼杵市、臼杵湾が遠望できる。

九州西国霊場 第十二番札所 金剛山 青龍(しょうりゅう)寺

次回は九州西国霊場「第十二番札所 金剛山 青龍(しょうりゅう)寺」をお伝えしてまいります。
なお、九州西国霊場「第十一番札所 有智山 蓮城寺」は九州八十八所百八霊場第二十七番札所、並びに九州四十九院薬師霊場第十七番札所と重複しておりますので、九州八十八所百八霊場第二十七番札所の記事をご覧ください。

また九州西国霊場「特別札所 高野山 興山寺」は九州八十八所百八霊場第二十八番札所と重複しておりますので、九州八十八所百八霊場第二十八番札所の記事をご覧ください。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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