唐津城、唐津焼、虹の松原で有名な唐津市の中心部、駅より徒歩5分ほどの所に大聖院はあります。周りは寺町の名にふさわしく仏教寺院5ヶ寺、神社1社が立ち並びます。大聖院は元は大法寺と称していましたが、慶安元年に唐津に移転され大聖院と改号しました。
『概略』
中台山 大聖院
創建
安永2年(1773年) 正法院隆盛法印
宗派
高野山真言宗
ご本尊
不動明王立像(九州八十八ヶ所百八霊場ご本尊)
ご真言
のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろしやだ そわたや うんたらた かんまん
不動明王について
不動明王は、密教の教主、大日如来が衆生教化のため変身した明王の中では最高位の仏様です。
普段は柔和な大日如来が、優しさだけでは通用しない人々を救済するために、あえて怒りの形相をしています。
邪悪な相手には徹底的に厳しく、人が間違った道へ進もうとした時には、正しい道へと戻れるように諭してくれる存在です。
迷いの世界から煩悩を絶ちきり、仏の道を教えてくれる尊い存在なのです。
空海が日本にもたらした最初のお姿は両目を見開く恐ろしい形相で、おさげ髪のお姿でした。その後19世紀になると、「不動十九観」が定められ左目をやや閉じ、右目を開ける天地眼、上唇を下歯で噛み下唇を上歯で噛むといった特徴となりました。
そして倶利伽羅剣という宝剣と悪い心を縛り上げることにより、善き心を呼び起こさせるための羂索と呼ばれる網をもっておられます。
さらに背後には炎が立ち上げる火焔光背があります。
不動十九観とは
不動明王を心に浮かべる時、その見た目の特徴を表すもので、これを満たしたものを心に描くと理想的な不動明王の姿が描ける考えられます。
1.大日如来の化身であること。
2.真言中に「ア」・「ロ」・「カン」・「マン」の四字があること。
3.常に火生三昧に住していること。
4.童子の姿を現わし、その身容が卑しく肥満であること。
5.髪の毛の上に七沙髻があること。
6.左に一弁髪を垂らすこと。
7.額に水波のようなしわがあること。
8.左の目を閉じ右の目を開くこと。
9.下の歯で右上の唇を噛み、左下の唇の外へ出すこと。
10.口を固く閉じること。
11.右手に剣をとること。
12.左手に羂索を持つこと。
13.行者の残食を食べること。
14.大磐石の上に安座すること。
15.色が醜く、青黒であること。
16.奮迅して忿怒であること。
17.光背に迦楼羅炎かるらえんがあること。
18.倶力迦羅竜くりからりゅうが剣にまとわりついていること。
19.矜羯羅童子と制多迦童子の二童子が侍していること。
住所・連絡先
佐賀県唐津市西寺町1369 TEL 0955-72-4626
(地図)
アクセス
JR筑肥線唐津駅より徒歩5分
国道204号線の唐津市役所の前を通り、坊主町交差点を左折、近松寺を左折して右折し、寺町に入る
境内裏に駐車場あり
ご詠歌
松浦の 大師の同行 集い来て 法(のり)を讃える 大聖の寺
開運厄除け・道中安全(第八十一番 大聖院)
唐津は海洋交通の要衝であったためわが国の交易の玄関口としても栄えました。
とくに唐津焼は有名な有田焼きよりも百年も早く始まった工芸品で豊臣秀吉の朝鮮出兵の折には、戦場で茶を楽しむ習慣から急速に発展しました。
そのような土地柄か、境内の北側には三体の陶器製の立像が立っています。これは、全身を2あるいは3分割して作成した後、 それぞれの部位をつなげたものだそうです。
大聖院周辺は多くの寺院が集まる寺町を構成していて落ち着いた雰囲気の町並みです。
山門を入った正面の本堂は高さを感じられる入母屋造です。堂内にはご本尊の不動明王さまや肥前国西海七福神の大黒天が奉安されています。
そして堂内の弘法大師像は讃岐の金比羅様の金堂に安置されていたもので、明治の神仏分離令により四国八十八ヶ所第七十五番札所の善通寺に移され、明治7年に大聖院に遷座されたそうです。
本堂左手には聖徳太子をお祀りする「太子堂」があり、大工や左官の守護神として篤く信仰されています。
また堂内には、高野山奥の院に不滅の法灯として灯されている和泉国の貧しい一人の女性から寄進された「貧女の一燈」が燃え続けています。
その屋上に大きな修行大師像があり、その周りに四国八十八ヶ所の石仏を配し「大師信仰」の場となっています。
南無大師遍照金剛
前出の高野山の奥の院に千年近くの間、光輝いている「貧女の一燈」と言われる燈籠があります。お照という少女が、自分の髪を売った金で養父母の菩提を弔うために献じた一燈です。
お照はその後、ここに庵を結び養父母の菩提を弔いつつ生涯を終えたと伝えられています。
九州八十八ヶ所百八霊場第八十二番番札所「雷山 千如寺 大悲王院」はすでに公開してありますので、リンクページをご覧ください。
そこで次回は九州八十八ヶ所百八霊場第八十三番札所「登志山 誓願寺」をお伝えします。
願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌
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