九州八十八ヶ所百八霊場 第三十番札所 東光山 大日寺

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九州八十八ヶ所百八霊場
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慶長十三年(1608)四国土佐の長曾我部元親公の血を引く秀乗律師が、佐伯藩初代藩主毛利高政公の願を受け、藩内の武運長久、五穀豊穣、万民豊楽を祈願する寺院として開創しました。天保三年(1832)には中興の祖第十三世孤貫僧正の遺徳に依り、下馬札、五本筋の灰筋塀、御紋付幕、翠簾三間が下賜せられ、これより門前に下馬札を立て、塀に五本の筋を入れ、本堂内陣に紫縮緬の御紋付幕(旧三月二十一日の正御影供に使用)を張ることを許されました。
本堂、山門などの丸瓦も菊の御紋を戴いています。
またその御勝縁で連合艦隊司令長官山本五十六大将の参拝記録が残されています。
境内には護摩堂、大師堂、稲荷堂、弁天堂、観音堂などがあり、高さ約7メートルの厄除大師像が檀信徒・参拝者を見守っています。
九州八十八か所百八霊場~九州を周る「心巡り」の旅~より

『概略』

東光山 大日寺
(御朱印)

H3 創建

慶長13年(1608年)秀乗律師(長宗我部元親の三男)

宗派

高野山真言宗

ご本尊

金剛界大日如来坐像(九州八十八ヶ所百八霊場ご本尊)
(お御影)

ご真言

おん あびら うんけん ばざら だとばん

大日如来について

大日如来は、真言密教において一切諸仏諸尊の根本仏として帰依し観想されている本尊です。

大日とは「大いなる日輪」という意味で、密教では大日如来は宇宙の真理を現し、宇宙そのものを指します
そしてすべての命あるものは大日如来から生まれたとされ、釈迦如来も含めて他の仏は大日如来の化身と考えられています
諸尊は大日如来の徳をそれぞれが分担し、衆生救済にあてられているその働きも大日如来の徳の顕現であると説かれています。

大日如来には悟りを得る為に必要な智慧を象徴する金剛界大日如来と、無限の慈悲の広がりを象徴する胎蔵界大日如来という2つの捉え方があります。
金剛とはダイヤモンドのことを指し、智慧がとても堅く絶対に傷がつくことがないことを意味しています。
そして胎蔵とは母親の母胎のようにすべての森羅万象が大日如来の中に包み込まれている様を意味しています。
この智慧と慈悲が揃って大日如来を本尊とする密教の世界観が出来上がっています。

さらには、未・申年生まれ守り本尊でもあります。

住所・連絡先

大分県佐伯市船頭町2-37 TEL 0972-22-0420
(地図)

アクセス

JR日豊本線佐伯駅より大分バス大手前下車、徒歩3分
車の場合、津久見より彦岳バイパスを通って佐伯へ。国道217号線が左に曲がる所を、川に沿って直進して二本目を左折する。
境内裏に駐車場あり。

ご詠歌

大日の 恵みを受けし 旅人の 弘誓(ぐぜい)の み舟 とよのあまべに

佐伯藩の祈願所(第三十番 大日寺)

さて、訪れた大分県東部は石仏・磨崖仏の点在する地域。そんな野の仏様もお参りしながらの巡拝です。

まずは東九州道を使って一気に佐伯市を目指します。
佐伯は国木田独歩が下宿し「源おぢ」や「春の鳥」の舞台ともなった趣のある古い城下町です。

そんな町の中心部に大日寺はあります。
商店が軒を連ねる町中にどれも立派な諸堂が整備され、如何にも篤く信仰されていたかが偲ばれます。
荘厳な正面楼門から境内に入ると、右手に「ふれあい観音」を祀るお堂や宝形造の大師堂があり、左手には、これが本堂化と見紛うほどの護摩堂が建っています。

境内中央には、左手に鉢、右手に錫杖を持った「厄除大師」が修行僧のお姿で出迎えてくれます。
なお、このお大師様の周りには四国八十八か所の霊砂が埋められていて、ご尊像を一周すれば八十八か所を巡ったのと同じ功徳が得られるそうです。

ちなみに大日寺の創建は秀乗律師という方だそうですが、この秀乗律師というお方は、長曽我部元親の三男で武将だったのですが、世の無常を悟り出家して佐伯に移り住んで創建されたそうです。

南無大師遍照金剛

菊姫物語」という話が大分に伝わる伝説として残っているそうです。
その伝説の内容は、以下のようなものです。

およそ二百年前、佐伯藩家老の家に、十八になる菊姫という、城下の若侍たちの誰もが嫁に欲しがるほど美しい娘がいました。
ところが或る日、菊姫の顔に吹き出物が出始めました。
菊姫は大日寺の弁財天に願をかけ、お堂に籠り一心に祈り続けたそうです。
結願の夜の丑三つ時、蝋燭だけの暗いお堂の中で目も眩むような強い光が煌き弁財天の後から大蛇が躍り出てきました。
気を失った菊姫が目覚めた翌朝、不思議なことに菊姫は元の美しい顔に戻っていたそうです。
この話が城下に伝わり弁財天のご利益を受けて美しくなりたいと願う女達のお参りがひきもきりませんでした。

次回は第三十一番札所「大圓(だいえん)山 龍仙寺」をお伝えしていきます。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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