
今日12月29日は清水トンネル貫通記念日です。
1929年(昭和4年)のこの日、上越線の土合(どあい 群馬県)~土樽(つちたる 新潟県)の清水トンネルが貫通しました。
全長9702mの当時日本最長のトンネルで、7年の歳月と延べ240万人の工事動員を費して完成しました。
川端康成の小説『雪国』の冒頭「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」は清水トンネルのことです。

清水トンネルができる前の関東地区と新潟を結ぶ鉄道は、高崎から碓氷峠を越えて長野・直江津経由となっていました。
このルートがが長野県(信濃)・新潟県(越後)へ行くメインルートで、信越本線と呼ばれていました。
距離が長く、途中に難所の碓氷峠もあり、関東と新潟の往来は非常に不便でした。
1914年(大正3年)には磐越西線が全通し、東北本線と同線を使用して向かうこともできるようになりましたが、いずれにしろ遠回りであることに変わりはありませんでした。

清水トンネル(しみずトンネル)は、上越線の群馬県と新潟県の間にあるトンネルで、その名称は付近にある清水峠に因んでいます。
在来線である上越線はおのおの単線の清水トンネル、新清水トンネル(しんしみずトンネル)の2本があり、上越新幹線用の複線の大清水トンネル(だいしみずトンネル)と合わせて合計3本が並行しています。
清水トンネル 1922年着工 1931年 9月 1日開通 全長9702m 上り線専用
新清水トンネル 1963年着工 1967年 9月28日開通 全長13500m 下り線専用
大清水トンネル 1979年完成 1982年11月15日開通 全長22221m 上越新幹線用

余談ですが、清水トンネルがある湯檜曽駅~土樽駅間を複線にする際、新清水トンネルが切削され、1967年(昭和42年)より下り線用として供用を開始したため、旧来の清水トンネルは上り線用となりました。そのため現在、川端が執筆した当時の清水トンネルを抜けて「雪国」を訪れることはできません。
また上越新幹線用の大清水トンネルの工事中に偶然発見されたのが大量の湧き水で、当時の国鉄社員が飲んで美味しいと評判でした。
その後、社員自らがトンネルの外までパイプを通す苦労などもあり、名水「大清水(おおしみず)」の名称で、ミネラルウォーターとして発売されました。
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