
今日7月1日は「更生保護の日」です。
1949年のこの日、「犯罪者予防更正法」が施行されたことに由来し、法務省が1962年に制定しました。
日本で犯罪非行を未然に防止すると同時に、罪を犯した人や非行をした少年の更生と円滑な社会復帰を促進するための記念日です。
更生保護とは
刑務所や少年院を出ると、通常の社会生活を営んでいくことになりますが、再び犯罪や非行をしてしまうことも少なくありません。立ち直ろうと決意した人を、地域社会で受け入れてい
くことが重要です。
犯罪や非行をした人を社会の中で適切に処遇し、地域社会の理解・協力を得て、自立し改善、更生することを助けることにより、安全安心な地域社会ををつくることを目指す活動です。
保護観察官(ほごかんさつかん)
保護観察官は、更生保護法により、地方更生保護委員会事務局と保護観察所に置かれる常勤の国家公務員ですが、保護観察官は職名であり、官名は、法務事務官で、行政職の俸給表が適用されます。従事者数は約1000名、内600名が現場における保護観察に従事する者といわれています。
その職務は、医学、心理学、社会学、教育学などの専門知識に基づき、事務に当たるとされ、
地方更生保護委員会事務局に配置された保護観察官は、刑事施設からの仮釈放や少年院からの仮退院審理の準備調査に従事するほか、仮釈放の取消や仮退院中の者の本退院、保護観察付き刑執行猶予中の者の保護観察の仮解除などに関する事務に従事しています。

また、保護観察所に配置された保護観察官は、保護司と協働して、保護観察や、矯正施設に収容中の者の釈放後の帰住先の環境調整の事務に当たります。また、更生保護にかかわるボランティアであるBBS会や更生保護女性会、および協力雇用主との連絡調整、保護司の定例研修の講師、無期刑仮釈放者に対する恩赦(刑の執行の免除)に関する事務、仮釈放期間満了者の対する恩赦(復権)に関する事務、更生保護施設を含む更生保護法人の監督などに従事しています。
保護司(ほごし)
更生保護の活動の重要な担い手であるのが、保護司ですが、最近、更生支援する担当保護司が別の事件で保護観察となった男に刺殺されるという事件が起こり、クローズアップされています。
そこで保護司について少し詳しくお伝えします。

保護司は、保護司法・更生保護法に基づき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員で、犯罪や非行に陥った人の更生を任務としています。
身分は国家公務員ですが、俸給は支払われないため事実上はボランティアです。
更生保護法では「保護観察官で十分でないところを補う」とされてますが、保護観察官の人数が絶対的に不足していることから、更生を支援する活動の担い手は、保護観察官より保護司が主となっているとの指摘もあります。
保護司の任務
保護司は保護観察所の長の承認を得た保護司会の計画の定めるところに従い、以下の事務であって当該保護観察所の所掌に属するものに従事するものとされています。。
・犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図るための啓発及び宣伝の活動
・犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図るための民間団体の活動への協力
・犯罪の予防に寄与する地方公共団体の施策への協力
・犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるために、その者を雇用する事業主の確保その他の雇用の促進を図る活動
・犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるために、教育、医療又は福祉に関する公私の団体又は機関からの協力の促進を図る活動
・犯罪の予防を図るために、公私の団体又は機関からの協力の促進を図る活動
・犯罪の予防に寄与する公私の団体又は機関の施策又は活動への協力
・犯罪の予防に関する事項について、住民からの相談に応じ、必要な助言その他の援助を行う活動
日本で日々発生する犯罪の内、実に約6割が再犯者によるものです。罪を犯してしまった人を再び犯罪者に戻さない工夫や努力をすれば、犯罪率はぐっと減り住みよい社会になります。
再犯を繰り返す大きな理由が、仕事に就けない、住む家がない、地域社会が受け入れてくれないなどのいわゆる「居場所」がないという理由です。
本人の努力と強い意志が大切なことはもちろんですが、彼らに「仕事」と「住む場所」、そして地域社会との絆を保てる「居場所」を作ってあげること、「ここに居てもいいんだ!」という安心感や「人の役に立っているんだ」という自信が、立ち直るための大きなチカラとなります。
そのためにも更生保護には地域社会の理解と協力が不可欠なので、この日をきっかけに日ごろはあまり意識していない「更生保護」ということに関心を向けたいと思います。
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