6月12日 児童労働反対世界デー

今日は何の日

国連の専門機関である国際労働機関(International Labour Organization:ILO)が2002年に制定した国際デーです。
児童労働は、子どもたちの未来を奪うものであり、深刻な「子どもの権利」の侵害です。
この日は、そんな児童労働を撲滅する必要性を世界に訴えることを目的としています。
国際労働機関では、この日に児童労働に関する声明の発表や、啓発のためのイベントなどを実施しています。

児童労働とは

18歳未満の児童が、経済的・社会的な理由により、有償または無償で労働に従事することを指します。
児童労働は、児童の権利に関する国際的な取り決めである「児童の権利に関する条約」により禁止されています。
なぜならば、子どもたちに身体的、精神的、社会的に有害な影響を与え、児童の発達に悪影響を及ぼす可能性があるからです。
また、子ども自身の未来だけではなく、将来の国の発展の担い手である人材が育たないことにより、その国の経済発展や社会の安定に悪影響を及ぼすことが考えられています。

世界では1億6000万人もの子どもたちが苛酷な労働環境で働いているとされます。
児童労働は、アフリカやアジアなどの開発途上国に多く、世界全体で5歳~14歳の子どもの13%が児童労働に従事しているとされています。
特にサハラ以南のアフリカに代表される後発開発途上国では、その割合は25%にも上っています。

児童労働の4つの特徴

劣悪な環境での長時間労働

劣悪な環境での長時間労働は、工場や鉱山での過酷な労働や、農村部での農作業などが挙げられます。これらの労働場所は安全性が低く、長時間の労働により、児童の学業や身体発達に悪影響を与える可能性もあります。

親の借金のかたに無給で働かせる債務労働

親の借金などによって、児童が無給で働かされることを債務労働と呼びます。債務労働は、貧困や社会的な不平等などが原因となります。このような場合、児童が学校に行くことができなくなることも少なくありません。

人身売買による性産業での強制労働

性産業に従事する児童は、性的な虐待や暴力、病気にかかるなど、深刻なリスクに晒されています。このような児童は、しばしば法律的な保護を受けることができず、社会からの差別や偏見にもさらされることもあります。

子ども兵として軍事行動に参加させること

紛争地域では、児童が軍隊に入隊させられ、戦争や紛争に参加させられることがあります。これらの児童は、身体的な苦痛や精神的な苦悩、生命の危険にさらされています。また、兵士としての任務に責任を負わされてしまいます。児童兵の多くは、拘束や拷問、性的虐待、生活環境の劣悪さなど、違法な扱いを受けていることも少なくありません。

このように、児童労働は、子どもたちの教育の機会を奪うだけでなく、経済的搾取・健康被害・性的搾取に合い、時には危険な労働により命を落とす場合もあります。

児童労働とフェアトレード(公正な貿易・取引)

フェアトレードとは

「言葉を聞いたことがある」という人は多いと思いますが、フェアトレードとは何でしょうか。
フェアトレードとは「発展途上国との貿易において、フェアなトレード(公正な取引)をすることにより、途上国の人々の生活を助ける」しくみのことです。
つまり、「貿易によってお互いの国が豊かになる」という貿易本来の姿を取り戻そうというのが「フェアトレード」です。
フェアトレードの原則の中に「学校で学ぶはずの子どもの労働や望まない人が不当に働かされたりする強制労働例があってはならない」と明言しています。
このように、フェアトレードと児童労働撲滅とは密接に繋がっています。

フェアトレードと児童労働の関係性

ただ、日本ではよく「フェアトレード製品は児童労働が100%ないモノ」と誤解されることがありますが、フェアトレード製品は「児童労働をなくすことを目指した製品」であり、「児童労働がないことを証明した製品」ではありません。
フェアトレードを必要としている地域では、生産者の暮らしが厳しく、児童労働が問題となっていることも多々あります。

児童労働反対世界デーを契機に、児童労働の大きな要因として挙げられている貧困の連鎖を断ち切り、子どもの権利や生産者の暮らしを守り、児童労働から子どもたちを守るために「児童労働がないから安心してフェアトレード商品を選ぶ」のではなく「児童労働のない世界をつくるためにフェアトレード製品を選ぶ」ことから、草の根的に誰でも参加できる取り組みとして始めてみてはいかがでしょうか。

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