
暦は25日より大寒の次候「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」になりました。大気の冷えがまさに底となるこの時期、池や沼の水面の氷は、溶けたり凍ったりを繰り返しながら厚みを増し、沢の水さえも凍る頃という意味です。七十二候もあと「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」を残すばかりとなります。
水沢腹堅(さわみずこおりつめる)
「水沢(さわみず)」とは、水のある沢のこと。「腹(あつ)く」とは厚くという意味で、流れる沢までも氷が厚く堅く張りつめるほど寒い時候といった意味合いです。
小寒・大寒の候では、芹や蕗の薹、雉や鶏と動植物が登場して、春の兆しや微かな気配に意識を向かわせてくれますが、この候だけは厳冬の極みを象徴しています。地中や雪の下では春の兆しが始まっているとはいえ、地上は真冬そのもの、全国的に「寒波」も襲来し、寒さの極致を迎え、寒さに対しては正念場の時季が到来したことを人々に伝えています。
この時期は寒さが極まり池や湖沼などの動かない水はもとより、ゆるやかに流れる堰の水まで凍りつく頃です。
強い寒気が日本列島に流れ込みやすい時期でもあり、朝晩に氷点下に達する地域も広がって、各地で暴風雪や大雪を伴い、今年一番の冷え込みを観測しています。
ちなみに、寒さの日本記録は−41℃で、明治35年1月25日に北海道の旭川市で観測されました。
長野県諏訪湖では、大寒の20日、御神渡(おみわた)り拝観に向けた諏訪湖(長野県)の湖面観察が中日を迎えた。湖は岸辺にしぶきの氷片が若干残った程度で、御神渡りの第一条件となる「全面結氷」にも程遠く、関係者は後半の寒波に期待をかけています。湖面観察は1月5日に始まり、2月3日の立春過ぎまで行われます。
この日の午前6時半、諏訪湖畔(同市豊田の舟渡川河口)の観察現地は気温0度、水温3.2度。八剱(やつるぎ)神社の宮坂宮司は「全然寒くない大寒の朝を迎えました。『いったいどうなったのかな』と正直思いました。傾向は去年と似ている」と。
1年で最も寒いころとされる大寒ですが、暖冬傾向で諏訪湖が凍らない年が続いているようです。湖の氷が割れて山脈のようにせり上がる御神渡りは、2018年を最後に6季続けて出現していません。
氷には、様々な呼び方があり、地上にできた氷としては、「霜」や「氷柱(つらら)」が一般的ですが、樹木に付いた場合は「霧氷」や「樹氷」と呼ばれています。
沢の水など河川の水は凍ると「河氷」、湖の水は凍ると「湖氷」、海の水は凍ると「海氷」と呼ばれ、北海道のオホーツク海沿岸でこの時季から観測され始める「流氷」は「海氷」の一種です。
九州福岡では冬の絶景である宝満山から三郡山の稜線直下にある通称「難所が滝(河原谷の大つらら)」の氷の芸術、大つらら・小つららも気になるところですが、2026年の氷瀑は見事だそうです。
滝の水が凍ると「氷瀑(ひょうばく)」と呼ばれ、引力で勢いよく落下していた水が凍りついて、辺りの情景は動から静へと一転します。

また寒中においては、昔から僧俗を問わず「寒行」または「寒修行」が行われ、各地で武道や音曲などの「寒稽古」や「寒中水泳」が実施されてきました。
一年で最も寒いこの時季に、寒さから逃避するのではなく、寒さに積極的に向き合って、寒さに耐えて打ち克って、精神を鍛練しようという習わしです。
結詞
ちなみに25日(福岡の太宰府天満宮は7日)には初天神・鷽(うそ)替え神事・鬼すべ神事など新春のイベントがありますが、風物詩のカテゴリーにアップしておりますので、併せてご一読ください。


さて新年明けて早いもので1月も終わりを迎えようとしていますが、七十二候は30日より最後の候の「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」と進んでいきます。次節はいよいよ春の始まりで暦では「立春」です。
また、29日は、未だに旧暦での行事が行われている沖縄では、3大イベントの一つ「旧正月」を迎えます。こちらも2024年版ではありますが、風物詩のカテゴリーに公開してありますので、ご覧ください。

ところで、2025年の立春は2月3日ですので、「節分」は2月2日になりますので、恵方巻や豆まきなどご注意ください。ちなみに2025年の恵方は「西南西」です。
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