11月7日は二十四節気はの「立冬(りっとう)」。
暦の上では立冬から立春までが冬とされていて、立冬は冬の始まりを告げる頃です。
北日本では、すでに初雪、初冠雪など雪のニュースも届き出し、目前に迫った冬の訪れを伝えています。
本格的な冬がやって来る前に、冬支度をしておくとよいでしょう。
そして七十二候は「山茶始開(つばきはじめてひらく)」となります。
立冬(りっとう)
ニュースや気象情報では「今シーズン一番の冷え込み」というフレーズが使われることが多くなってきます。
おなじみの暦便覧にも「冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆればなり」と記されているように朝晩はだいぶ冷え込んで冬の兆しが見え始める頃となります。
一方でこの冷え込みは紅葉の色を鮮やかに染め上げてくれる妙薬でもあります。九州各地の平野部でも今月下旬には見頃となっていきます。
「立」には新しい季節になるという意味があり、立春、立夏、立秋(立冬を含め、これらを四立(しりゅう)と呼んでいます)と並んで季節の大きな節目です。
木枯らし1号
しかし楽しみにしていた紅葉狩りもこの時期に吹く北よりの強めの風によって彩られた葉もあっという間に儚く地面に散らせてしまいます。
その先駆けが音楽などの題材にも多く取り上げられている冬型の気圧配置になった証でもある「木枯らし1号」です。
木枯らし1号の基準
「木枯らし」とは以下の条件に当てはまると「木枯らし1号」として観測される期間などに若干の基準に違いがあるものの、東京と大阪の気象台から発表されます。(その他の地域の気象台からは発表されません)
【期間】 10月半ば~11月末の間・霜降~冬至(近畿地方)
【気圧配置】 西高東低の冬型の気圧配置
【風向】 西北西~北(東京地方)・北よりの風(近畿地方)
【風速】 最大風速が8m/s以上
余談ですが、木枯らしは「凩」という漢字をあてる時もありますが、私自身は風と木、木枯らしのイメージがストレートに伝わってくると感じます。
小春日和(こはるびより)
小春は、旧暦10月の別称で、その際には「しょうしゅん」と読みます。
春を思わせる風は「小春風」、穏やかに晴れた空は「小春空」、海ならば「小春凪」、そしてもっとも私たちが口にするのがそのころの穏やかな好天の「小春日」や「小春日和」です。そのため「小春日和」は冬の季語ともなっています。
低気圧が平地に雨、山に雪を降らせて日本の東に抜けたあと、大陸から高気圧が張り出して、気圧配置は西高東低型となり冷たい北風が強めに吹きますが、翌日はその大陸高気圧は移動性となって、風は弱まり小春日和となります。しかし、日中の日なたは暖かいのですが、日陰はひんやりしていて、夜は放射冷却のよって冷え込みます。
季節が進むと、暖かい好天は「冬暖(ふゆあたたか)」「冬日和」などと呼ばれるようになっていきます。
山茶始開(つばきはじめてひらく)
7日は七十二候では立冬の初候「山茶始開(つばきはじめてひらく)」の候ともなります。
童謡『たきび』の二番の歌詞にも登場する冬の花が、いつもの道にポツン、ポツンと咲き始めています。
巽聖歌 作詞
渡辺茂 作曲
さざんか 山茶花 さいた道
たきびだ 焚火だ 落葉たき
あたろうか あたろうよ
霜やけ おててが もうかゆい
七十二候での読みは「つばき」ですが、山茶花(さざんか)が咲き始める頃です。
冬枯れの景色の中で、大輪の山茶花の花はよりいっそう目立ちながら、綺麗に咲きほこります。
山茶を「つばき」と読ませていますが、中国語でツバキ類の総称が「山茶(さんさ)」であることからきています。
一般的に皆さんがご存知の「山茶花(さざんか)」はこの山茶に由来し「さんさか」が変化して「さざんか」になったと言われています。
しかしサザンカも椿も、ツバキ科ツバキ属で、日本原産の花ですが、古い時代には、ツバキとサザンカは厳密に区別されていませんでした。
山茶花という漢字は「山に生え、花を咲かせる茶の木」という意味も含んでいて、その昔、葉の部分をお茶として飲んでいたことに由来すると言われています。いずれにしても冬の到来を告げる花が、色を失いつつある野山に鮮やかな色の花の存在が寒さに首を竦める時期にはホッとする光景です。
椿と山茶花の見分け方
山茶花と椿は、同じツバキ科の常緑広葉樹の仲間ですが、花の咲く時が違います。そのため、山茶花は冬の季語、椿は春の季語となっています。
最近では品種改良によって園芸品種も数多くなり造園業などプロの方々も判別に迷われることもあるくらい見分けのつきにくい花ですが、簡易な見分け方としては「花びらの形状」と「落花の仕方」の二点のようです。
椿(ツバキ)
花の形状
ロート状で厚みがある
散り方
花が首からポトリと落ちる。「斬首のようで縁起が悪い」と避けられるくらい、潔く凛とした散り様。
葉脈
中心の葉脈が太くはっきりしている
鋸歯
葉のふちのギザギザが浅い
葉の裏側
裏返してもほとんど毛がない
花の時期
例年12月から4月
山茶花(サザンカ)
花の形状
厚みがなく平面的
散り方
花びらが一枚ずつハラハラと涙のように散る
葉脈
中心の葉脈が黒っぽい
鋸歯
葉のふちのギザギザがツバキから比べて深い
葉の裏側
裏返すと葉脈に沿って毛が生えている
花の時期
例年10月から12月。遅咲きの「ハルサザンカ」というものもある
九州管内の山茶花の名所
福岡県
福岡市 大濠公園
北九州市 白野江植物公園
久留米市 耳納連山・石垣山観音寺(ハルサザンカ)
佐賀県
東脊振村 千石山
長崎県
諫早市 山茶花高原
熊本県
天草市 サザンカロード
暖房器具・空気清浄機のシーズン前点検
これから本格的な冬を迎えると暖房器具等も活躍するシーズンとなります。
本格的に使用する前に念のため、一度スイッチを入れて作動させ、トラブルが起きないか、しばらくの間はそばを離れないで様子を見て、異臭や異音など異常がないことを確認してから使用すると安心です。
以下、代表的なものについて書いておきますが、いずれも安易に分解などはせずに、説明書のメンテナンスの仕方や注意事項に従って行っていただくことが最も重要です!!
エアコン
エアコンは、室内機に取り入れた空気を熱交換器で温める仕組みです。暖房効率を上げるには、空気の流れがスムーズなことがポイントになります。
その為にフィルターにホコリなどがついていないか確認し、必要に応じて掃除します。
また、室外機でも空気の流れは重要です。
室外機の周囲に物を置くなどして、空気の吹き出し口を塞いでいないか確認しておきましょう。
ポータブル暖房機
遠赤外線ヒーターやパネルヒーター、電気ストーブ、石油ストーブなどポータブルの暖房機は、コンセントや電源プラグ周辺、フィルター類や熱源近くにホコリが溜まってないか必ず確認しましょう。
しばらく製品を使わずに収納していると、いつの間にか電源コードに亀裂などが入っていることもあります。
特に本体とのつなぎ目、差し込みプラグとのつなぎ目に亀裂が入りやすくなる箇所です。
コードの損傷は接触不良や感電、漏電事故を起こすことがあるので大変危険です。
電源コードに損傷がないか、事前にチェックしておきましょう。
その上でカーテンや観葉植物、ソファの位置など、1年たって多少変わっていることがありますので、説明書などでもう一度、設置基準を確認して、安全な位置で使いましょう。
空気清浄機
加湿機能を搭載した空気清浄機をお使いの場合は、水のタンクや加湿フィルターをチェックしておきましょう。
これらが汚れていると、不快なニオイの原因になる場合もあります。
さらに、冬は暖房を使うこともあり、1日窓を開けないということも多く、室内のホコリも増える傾向にあります。
空気清浄機のセンサー周りにホコリがつくと、センサー感度が鈍くなることもあるので、きれいにしておきましょう
結詞
カレンダーも知らぬうちに残り2ページとなり、朝晩は冷え込む日も多くなっていきます。
冒頭にも書きましたが、その中でも風もなく穏やかに晴れた「小春日」には本格的な冬の到来に備え、その穏やかな陽気にも手伝ってもらいながら、衣類や布団の入れ替えや本文中にも書きましたが、暖房器具の点検や準備などを計画的に進めてみてはいかがでしょうか。
さて、昼間は太陽の日ざしがありがたく感じられますが、やがて冷えこみがすすんで上着の前をかき合わせたり、マフラーをしっかりと首に巻くようになっていきます。
暦は立冬の次候「地始凍(ちはじめてこおる)」と進んでいきます。
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