白露|草露白|はくろ|くさのつゆしろし|2023年|重陽の節句

歳時記
白露 はくろ

暦は8日に、二十四節気は「白露」と移り、七十二候は白露の初候「草露白(くさのつゆしろし)」となります。そして9日は五節句の一つ「重陽の節句」を迎えます。

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白露(はくろ)

白露 はくろ

白露(はくろ)とは、夜中に大気が冷え、草花や木に朝露が光り、白く煌めき始める頃という意味です。。
暦便覧でも「陰気ようやく重なりて露こごりて白色となればなり」とあるように、そろそろ本格的な秋の到来も近づきつつあります。
ふと空を見上げると、今まで主役であった夏の入道雲から鰯雲鱗雲が顔を見せるようになってきます。

鰯雲 鱗雲

古来中国では、白が秋を表す色です。有名な詩人の「北原白秋」の名前の由来はこの五行説の「白秋」に由来していると言われています。
これも陰陽五行説に基づいたもので、ちなみに春は青、夏は赤、冬は黒、そして季節の変わり目の土用が黄となっています。
太平洋高気圧が退行していっている証でもある秋雨前線も出現し、災害的な猛暑の夏ももう一息といったところでしょうか。

草露白(くさのつゆしろし)

草露白 くさのつゆしろし

朝晩と昼の寒暖差が段々大きくなり、夜の空気が冷やされることで朝に露ができます。
草に降りた露が白く輝いて見え、季節も夏から秋への変わり目で朝夕の涼しさが際立ちはじめる頃です。
「露」は一年中発生しますが、秋に最も多いので単に露といえば秋の季語となっていて、すぐ消えてしまうので、はかないものの象徴として使われています。
そしてさらに気温が下がると「露」は霜となります。

重陽(ちょうよう)の節句

重陽の節句

さて9月9日は五節句の一つの「重陽の節句」を迎えます。旧暦の9月9日(2023年は10月23日)ごろはちょうど菊の最盛期でもあるので「菊の節句」とも呼ばれていました。
現在では五節句の内で一番影の薄い節句ですが、古来中国では、奇数は良いことを表す陽の数であり、陽数の極である「9」が重なることから「重陽」と呼ばれ、陽の極が二つ重なることから五節句の中でも大変おめでたい日とされ、邪気を払いを不老長寿や繁栄を願って、菊の花をかざったり酒(菊酒)を酌み交わしてお祝いしていたそうです。
日本でも平安時代からこの風習は行われ、五節句を締めくくる行事として盛んだったようです。
そして地域ごとに新暦、月遅れあるいは沖縄のように旧暦で「健康祈願行事」として行われてきましたが、高齢化が進み、後継者も居なくなり風習としては廃れてきてしまっています。

重陽の節句の風習で朝露にちなんだ行事としては、「菊酒」や「被せ綿(きせわた)」というものがあります。
前日より菊の花に綿を被せて一晩置き、菊の花に朝露(菊の露)を宿らせます。その朝露とともに菊の香りが浸み込んでいる綿で体を拭いて不老長寿を願うという重陽の節句を象徴する風習です。

被せ綿 きせわた

ちなみに沖縄では「菊酒(きくざけ)菊御酒(チクウジャキー)」という行事が以前は各地で行われたそうです。そういえば沖縄の泡盛の銘柄で「菊の露」というものもあります。

また、重陽の節句は収穫祭として全国に伝統行事が残っています。特に有名なのは九州地方の「くんち」。
「くんち」とは、9日(くにち)や供日が訛ったもので、「長崎くんち」や「唐津くんち」などが新暦の10月や11月に盛大に行われています。重陽の節句が姿を変えて残っている例といえます。

長崎くんち

長崎くんち

長崎くんちは、380年の伝統を持つ、
長崎市民の氏神・鎮西大社諏訪神社の祭礼行事です。
寛永11年(1634年)、二人の遊女が諏訪神社神前に謡曲「小舞」を奉納したことが長崎くんちの始まりと言われています。
この奉納踊は国指定重要無形民俗文化財に指定されています。

令和5年(2023年)の長崎くんちは通常通りの開催が正式に決定しました。踊りを奉納する町を「踊町(おどりちょう)」と言い、7年に1度出番がまわってきます。令和5年(2023年)の当番町(踊町)は本石灰町・船大工町・万屋町・栄町・丸山町・桶屋町の6ヶ町だそうです。
勇壮華麗な演し物にアンコールを意味する「モッテコーイ」のかけ声の響きはまさしく秋の風物詩で、長崎を代表する秋の大祭です。

長崎くんちの日程は曜日に関係なく10月7日~9日で、7日は前日(まえび)・8日は中日(なかび)・9日は後日(あとび)と呼ぶそうです。

2023年は土・日・月(祝日)となっていて曜日に恵まれ、地元の方々はもとより多くの観光客で賑わうことでしょう。

唐津くんち

唐津くんち

唐津くんちは毎年11月2~4日に開催される唐津神社の秋季例大祭で、佐賀県と国の重要有形文化財に指定されています。
こちらも2023年は通常通りに開催されるようです。
唐津くんちの見ものといえば、巨大な鯛や獅子、龍をかたどった曳山(山車)です。
漆の一閑張りという技法で製作され、紅や青、黒や金など豪華絢爛なものです。
昼の「エンヤ、エンヤ」のかけ声とともに町を練り歩く様子は迫力がありますが、夜もまた、提灯明かりのなか浮かび上がる曳山は美しく幻想的です。

結詞

年金世代に入った私もささやかながら、島酒に食用菊を浮かべ、アテは春菊の胡麻和えなんぞで「健康長寿」の願いとともに、独り「重陽の節句」を祝おうと思っています。

菊酒

「露」に関するお話をひとつ。
皆さんは「露が降りると晴れ」という諺をご存知でしょうか。朝露はその日の天気をも知らせてくれます。

雲一つ無く晴れ渡った夜、遮る雲が無いため、地表や物の表面から放射冷却が起こり熱はどんどん宇宙に逃げていきます。そして最低気温が記録される明け方、水蒸気が液体化し草や看板の表面などに付着しびっしょりと濡らします。これが「朝露」です。

このように雲一つなく晴れるような夜は気象条件として大きな高気圧に覆われているので、そのまま昼間も晴れているという天気になります。

このように天候の変化の元となる条件と結論を表した諺のような伝承などや自然現象や生物の行動の様子などから天気の予測を言葉にしたものを「観天望気(かんてんぼうき)」言いますが、現代のAI、データやモデル至上主義の気象予報も、もちろん大切ですが、昔からの体験、経験などが詰まった知恵もその中にもっと活かされると良いのかもしれません。

鶺鴒 鶺鴒鳴 せきれいなく

さて通常ですと少しずつでは秋の気配を感じ始める頃になるのですが、今年は気象庁が敢えて異常気象と宣言するなど残暑が非常に厳しい毎日が続いています。しかしながら暦は白露の次候「鶺鴒鳴(せきれいなく)」と進んでいきます。

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