麦秋至|むぎのときいたる|2023年|小麦粉|麦茶|ビール

歳時記
麦秋至 むぎのときいたる

早いもので、まもなく5月もお終いです。月も変わり6月1日より七十二候は小満の末候「麦秋至(むぎのときいたる)」と移っていきます。
米が主食の日本でも昔から続く食文化や食の欧米化に伴う食生活の変化などにより、小麦の需要が年々増加しています。
天候不良のため小麦の生産に影響が出ていたところに、ロシアのウクライナへの軍事侵攻でせっかく収穫した小麦が輸出できずに停留してしまっています。

このような悪条件下ですが、気持ちを奮い立たせて、小麦に関するお話を中心にビールの酒税改正などお届けしてまいります。

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麦秋至(むぎのときいたる)

麦秋至 むぎのときいたる

七十二候は6月1日より麦秋至(むぎのときいたる)と移ります。これから季節は夏に向かおうとしているのに何故「秋?」と感じられる方も多いと思います。
ここでいう「麦秋(ばくしゅう・むぎあき)」とはまるで稲が実りのシーズンを迎えた時のように黄金色に色づき収穫の時期を表していて、夏の季語ともなっています。
本土では梅雨入り前の晴天が続き、たわわに実った麦の刈り入れ時期を迎えたという意味です。

麦

冒頭にも書きましたが、麦は日本でも近年、需要が伸びていて、その消費量は世界各国の中では第22位です。
しかしその約9割を輸入に頼っているのが現状です。

その麦は大きく分けて「大麦」と「小麦」があります。

さらに大麦は、その皮と実の剥がれやすさから「皮麦」と「はだか麦」に分かれます。
皮麦は主に飲料に、そしてはだか麦は主に主食用に利用されています。

また花(実)の付き方によって「六条」「二条」と区別されています。
二条は六条より幾分実が大きく、ビールや麦焼酎に使われ、六条は麦茶に利用されます。

一方小麦はそのほとんどが製粉され、いわゆる「小麦粉」として流通されますが、一部胚芽(麦芽)部分をウィスキーなどの原料としても使われています。

麦は越年性の一年草で秋に種を撒き、春に発芽し初夏に収穫するというのが基本的なサイクルです。
発芽するためにはある程度の低温期間が必要なのがその理由です。

その低温期間である冬を乗り越えるために発芽したばかりの麦を踏み固めていく「麦踏み」という日本独自の栽培法が確立されていて、苗を踏み固めるという刺激によって苗の枝分かれを良くし、しっかり根を張らせ、霜で苗が浮き上がるのを防ぐ効果があるそうです。

小麦粉

小麦粉

新型コロナウィルスの感染防止のため「ステイホーム」が呼びかけられた頃、外出自粛や学校の休校などに伴い自宅で過ごすことが多くなった「新しい生活様式」のため、一時はスーパーなどから小麦粉の売り切れ続出という珍現象も発生していましたが、製粉協会によれば需要分の2、3か月分が備蓄されていて供給に不足をきたすようなことはないそうでした。まるで一昔前のオイルショック時のトイレットペーパー騒動のようでした。
ここで再度、フェイク情報や群集心理に惑わされることの恐ろしさを学習させられました。
しかし、今度は世界的な天候不順による不作や、それに追い打ちをかけるようにロシアのウクライナへの軍事侵攻により、供給不足→値上げという悪循環に入ってしまっています。

話は逸れましたが、その小麦粉には大きく分けて強力粉中力粉薄力粉の三種類あり、その他にも全粒粉・グラハム粉・セモリナ粉・うき粉など用途による種類もあります。さらには他の穀粉や調味料などを調合したてんぷら粉、からあげ粉、ケーキミックスなども出回っています。

そこで強力粉・中力粉・薄力粉はどんな違いがあるのかをまとめてみました。
一言で言えば、含まれる蛋白質(グリアジンやグルテニン)の割合とそれらが水を含んだ時に形成されるグルテンの性質によって決まります。

強力粉

蛋白質の割合が12パーセント以上のもので、パンや中華麺に主に使われる他、一部の乾燥パスタでは粗挽きのものが使われています。主にアメリカやカナダ産の硬質小麦(パンコムギ)が使用されています。焼くと硬い仕上がりになるのでケーキなどの洋菓子には向いていないと言われています。

中力粉

蛋白質割合が9パーセント前後で、あの「たこ焼き」や「お好み焼き」にはこの中力粉が使われます。またうどんやソーメンなども中力粉が原材料です。こちらは国内産の中間質小麦が使用されています。
強力粉と薄力粉を混ぜれば「中力粉」の代用品としても使えますが、加工特性が少し違うので完全に代用品とはならないそうです。

薄力粉

蛋白質割合が8.5パーセント以下のものを言い、ケーキや菓子類、天ぷらに用いられます。主にアメリカ産の軟質小麦が使われ、繊細な仕上がりになるのが特徴です。

麦茶

麦茶 六条大麦

夏の風物詩のひとつとして「麦茶」を思い浮かべる方もおられると思いますが、原材料は、ほぼ「六条大麦」です。大麦も初夏に収穫されますので夏は新米ならぬ「新麦」が収穫され、初夏は特に新鮮で味が良いと言われています。
また、麦茶には血流を改善したり、体温を下げる効果があり、少量の砂糖や塩を加えることによって、夏に最適なドリンクに変身します。さらにカフェイン成分が含まれていないことから子供や幼児の夏の水分補給にはうってつけです。

麦茶の美味しい作り方

煮出し

やかんや鍋で水を沸騰させ、その中に麦茶を入れて3~5分に出します。火を止めた後1時間ほど置いて麦茶を入れたパックを取り出し粗熱が取れたら容器に移して冷蔵庫で冷やしてください。
また熱いうちの状態でも美味しいです。
さらに沸騰させている時間があるので衛生的にも良く子供さん達に飲ませるには最適な方法かもしれません。

お湯出し

これは、煮出す時間をつい、やり過ぎてしまうという方にお勧めです。
作り方は、沸騰させたお湯を火を止めた状態で麦茶を入れてしまいます。煮出しよりややサッパリした味わいにはなりますがお手軽で便利です。

水出し

最近では「水出し」麦茶が多く出回っていますが、煮出するより抽出に時間は掛かりますが、雑味の少ない麦茶ができます。(注:長い間、水に浸したままでは雑味が出てしまいます
そこでさらにおいしくなる方法としてもう一手間加えると良いそうです。
コーヒーを煎れる時のように、まず麦茶のパックを浅い容器に置いて浸る程度(50cc~100cc)のお湯をかけ、1分程蒸らします。
その麦茶パックを容器に入れ、水も入れて冷蔵庫で冷やしながら約1~2時間たったら取り出してください。この一手間によって香りがいつもより深くなります。
さらに香りの香ばしさを出したい方は、耳かき1杯ほどのインスタントコーヒーを加えてみてもいいそうです。
その上、私は最後に抽出する水は湯冷ましを使用しています。

最後に作った麦茶は早く飲み終える方がいいに越したことはありませんが、少なくとも4日以内を目安に飲み終えると良いそうです。

ビール(麦酒)

ビール 麦酒

ビールを日本語で表記すると「麦酒」と書きますが、ビールの歴史は古く紀元前4000年紀にメソポタミア文明の中、シュメール人によって作られたという資料が残っています
ビールの原材料は麦芽酵母ホップで、とりわけ大麦麦芽が主原料です。
最近では「クラフトビール」と呼ばれる小規模の醸造所で作られた地域密着型の地ビールがブームになりつつありますが、日本酒の地酒と同様、今後裾野が広がってくる予感すら感じます。

こちらも新型コロナウィルスの感染拡大に伴「家吞み」習慣のため需要が伸びたアイテムの一つですが、その中でもお値段が手頃な「発泡酒」や「第3のビール」の伸びは目に見張るものもありました。
一方で「ビール」の需要は飲食店などの営業自粛や酒類提供時間の短縮などで売り上げは落ちたようです。

ビールの種類

ビールのスタイルは、発酵方法によって大きく2つに分類されます。
それが「ラガー」と「エール」です。

低温で発酵する下面発酵の「ラガー」は、のどごしの良さと爽快な飲み口が特徴で、日本の大手ビールのほとんどが、このタイプです。
長期間熟成を行うため、貯蔵を意味するドイツ語から「ラガー」と呼ばれています。

一方、常温に近い温度で発酵する上面発酵の「エール」は、豊かな味わいと香りが特徴で、じっくりと味わうビールです。
上面発酵のビアスタイルは、下面発酵に比べて熟成期間が短く効率良くつくれることや、原料の幅が広いことなどから、小規模醸造所のクラフトビールに多いといわれています。

そのラガーとエールをさらに細かく分類したスタイルはなんと100種類以上あります。
とても記事内で全部ご説明するのは無理ですので、ここでは読者の皆さんが一度は耳にしたこともあると思われるスタイルを独断で選んでお話しておきます。

ピルスナー

世界中で最も普及しているラガー系のビールで、日本の多くのビールがこのビアスタイルです。
透明感のある明るい黄金色に、真っ白な泡、ホップがきいた爽快な香味が特徴的です。
気取らない雰囲気で、自宅での食事から、居酒屋、アウトドアまで!ゴクゴクのどごしを楽しむ定番のおいしさで、どんな料理にも合わせやすいビールです。

IPA(アイピーエー)

インディア・ペール・エールの略で、やや高めのアルコール度数と、強いホップの香りと苦味が印象的で、熱狂的なファンが多いビアスタイルです。
18世紀末頃のイギリスで、インドにペールエールを輸送する際、劣化を防ぐ役割のあるホップを大量に使い、アルコール度数を高めにしたといわれています。
ブルワリーによって、個性的なホップの香りや苦さの違いも楽しめます。

ペールエール

イギリス中部のバートン・オン・トレントで生まれた伝統的なビアスタイルです。
当時のビールはほとんどが濃色だったため、それよりも「淡い(ペール)」という意味で、ペールエールと呼ばれています。
エール特有の豊かな香りと、心地よい苦味が特徴的で、あまり冷やし過ぎず、グラスに注いで、じっくりと味わいたいビールです。

ヴァイツェン

小麦麦芽を使ったドイツの伝統的な白ビールです。
小麦と酵母が織りなすバナナのようなフルーティーな香りと、苦味をほとんど感じない、やわらかな口当たりが特徴的です。
酵母入りのヴァイツェンは、グラスに半分注いだ後、缶や瓶を軽く振って酵母を混ぜ、残りをゆっくり注ぐと、より濃厚で深い味わいが楽しめます。

黒ビール

濃色麦芽を原料の一部に使った色の濃いビールを指します。
黒ビールには、エールもラガーもあり、上面発酵(エール)でつくられる黒ビールには、イギリス伝統の「スタウト」や「ポーター」があり、ロースト麦芽の濃厚な味わい。下面発酵(ラガー)の黒ビールには、ドイツ発祥の「シュヴァルツ」があり、すっきりとした飲み口が特徴です。

スタウト

ロースト麦芽によるコーヒーのような香りと苦味が特徴の黒ビールです。
スタウトには「強い」という意味があり、ロンドンで流行したポーターがアイルランドに伝わり、アルコールを強化してつくったことが起源です。
スタウト特有の重厚な味わいや、モルトの香りが際立つように、少しぬるめの温度で飲むのがおすすめです。

ビール・発泡酒・第3のビールの違い

皆さんはビール発泡酒第3のビールの違いをご存じでしょうか。
そこでその違いもまとめておきました。

ビール

ホップ及び水を除いた原料の重量中、麦芽の使用割合が約50パーセント以上(以前は67パーセント以上でした)で国の定める原料(麦・米・とうもろこし・じゃがいも・でんぷん等)を使っていること。副原料として5パーセント以下の果実や香味料も使用できます。

発泡酒

麦芽の使用割合が50パーセント未満。または67パーセント以上でも国の定める原料以外を使用しているもの。

第3のビール

麦や麦芽以外を主原料としているものや発泡酒に麦由来以外のスピリッツや蒸留酒を加えたもの
2023年10月、発泡酒と統合されます。

生ビールとは

ビールを出荷するにあたり、発酵を止めるために「酵母」の働きを止めなければなりません
その手段として、50~60℃という比較的低い温度帯で熱処理を行うか、熱処理せず、ろ過により酵母を除去するかによって、「熱処理ビール」と「生ビール」に分けられます。
現在は大手メーカーが造るビールは、醸造の技術が向上により大半が瓶でも缶でも「生ビール」で、市販されているビールで「熱処理ビール」を探す方が大変なくらいです。
ちなみに市販されている「熱処理ビール」はサッポロラガー(缶は季節限定)キリンクラシックラガー(キリンラガーではありません)アサヒスタウトのみのようです。

ビールに関する酒税

酒税

前述の3分類も酒税法上の分類で、その酒税も2026年までには段階的に一本化されます。
昨年(2020年)10月にはその第一弾で、税率はビールは下がり、第3のビールは上がりました。
次の改正は2023年10月にビールはさらに下がり、第3のビールは発泡酒と統合され上がります。
最終的は2026年10月にすべてが統合されビールはさらに下がり、統合された発泡酒は上がり、350ml当たり54.25円に統一されます。
したがって、現在よりビールは大幅な値下がり、発泡酒はやや値上がり、第3のビールは大幅な値上がりということになります。
ちなみに、日本酒は下がり、ワインは上がるという改正も行われます。

結詞

現在は行動制限も解除され、少しは「日常」が戻りつつある感もありますが、それでも未だスッキリとはいかない状況です。

本土の方はこれから梅雨入り、そして気温もどんどん上昇し、食中毒熱中症などに気を付けなければならないシーズンへと移っていきます。
みんなでワイワイガヤガヤと冷たいビールジョッキを傾けたいものですが、ご自愛専一、健康第一に乗り切っていきたいものです。

芒種 ぼうしゅ

さて、麦の収穫に忙しさが増している農家の皆さんは刈り入れが終われば、すぐに田植えが待っています。
生業とはいえ食の安全保障の観点からも日本の食を守るため本当にご苦労様です。そしてありがとうございます。
暦はその種まきのシーズンである二十四節気「芒種」と移っていきます。

蟷螂生 かまきりしょうず

次回は「芒種(ぼうしゅ)」七十二候はその初候の「蟷螂生(かまきりしょうず)」のお話をさせていただきます。

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