鶏始乳|にわとりはじめてとやにつく|2023年|金柑|玉子酒

鶏始乳 にわとりはじめてとやにつく 歳時記
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鶏始乳 にわとりはじめてとやにつく

30日より七十二候は、いよいよ最後の候「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」となります。今年もこの候で七十二候も一巡し、次の候からは春を迎え、暦は新たな一年が始まります。

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鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)

鶏始乳 にわとりはじめてとやにつく

にわとりが春が近いと感じとり産卵のために鳥屋(とや)に入り始めるという意味です。

養鶏の産業化で、一年中、卵が店頭に並ぶ現代ではちょっと想像しずらいかもしれません。
これは一年中安定的に産卵するように品種改良がされてきた結果なのです。

養鶏場

にわとりはもともと一年中繁殖する動物なのですが、日照時間が10時間以上になると産卵が促進されます。また日照時間が短く、羽の生え換わり時期の冬は産卵することは稀でした。

産卵期は春から夏にかけてで、日照時間が伸びるに連れて産卵率が上がっていきます。

それが毎日のように産卵するようにさせたのは、にわとりは6個から10個産んだ卵が溜まると抱卵するという性質とその数に達しないうちに卵を採ってしまうとその数に達するまで産み続けるという性質を利用したり、鶏舎内の照明時間を春と同じ時間にするなどの品種改良を重ねてきたため、鶏卵が一年中安定的に供給され低価格が維持され続ける「物価の優等生」となったのです。

その物価の優等生の価格も今年は異変が起きています。

ロシアのウクライナ侵攻や円安による鶏の餌代の高騰と鳥インフルエンザの大流行に伴う卸売価格の上昇がスーパーなどの小売価格に波及し、値上げラッシュに疲弊している家計の負担さらに増してきています。今年の鳥インフルの流行は春まで続き、1月の卸値は37年ぶりの水準に上昇していて、価格が落ち着くには時間がかかりそうです。

本来、卵の旬は2~4月くらいであり、寒い時期の卵は、母体の中で時間をかけてゆっくりと成熟していくので栄養価が高いとされます。
以前にも書きましたが、寒中に産んだ卵は「寒卵」といいますが、特に大寒の日に産んだ卵は「大寒卵」と呼ばれ、滋養が高いだけでなく、金運や健康運の上がる縁起物とされています。ただし、これは有精卵の場合のみの話で、無精卵は一年中、味わいや質に変化はありません。

さて、鶏は、世界中で飼育されている代表的な家禽であり、養鶏の歴史は古く、紀元前数千年前に遡り、人類が農耕生活を始めて以来の長い歴史と変遷や広がりがあります。インダス文明のモヘンジョ・ダロの遺跡からは、にわとりの粘土像・印章と大腿骨が出土しており、鶏の存在を表す最古の証拠と言われています。

その鶏の起源については、単元説と多元説とがあって、一般的には、チャールズ・ダーウィンの祖父エラズマス・ダーウィンの研究を踏まえ、単元説、すなわち、東南アジアの密林や竹林に生息している「赤色野鶏(セキショクヤケイ)」を祖先とする説が知られていましたが、最近の遺伝子解析により、「赤色野鶏」に加えて、南西インドに棲む「灰色野鶏(ハイイロヤケイ)」も交雑しているとする多元説も有力になっています。

単元説の赤色野鶏は、容姿は鶏にそっくりですが、飛ぶ能力も備えた野鳥です。
最初に家禽化された目的は、食用ではなく、朝一番に大きな声で鳴く習性を利用することからで、目覚ましや祭祀に用いられ、また、縄張り意識の強い雄の習性を利用して、闘鶏などにも用いられました。
その後、間もなく肉や卵が食用とされるようになり、主目的はそちらに移る中で、にわとりの飼育が世界各地へと時間をかけて広がっていきました。

鶏は、その後、3方向に分かれて伝播していき、西は西アジアからギリシアへ、北は中国に伝わり、さらに東の韓国・日本へと広がり、南方はマレー半島からインドネシアや南太平洋へと、食文化も含めて伝播が進んでいきました。

日本には、弥生時代に伝来したといわれ、「時告げ鳥」として神聖視されていたようです。
時計のない時代、雄鶏特有の甲高い鳴き声は、朝の訪れを知る手だてとされてきました。

一番鳥 = 明け方に最も早く鳴く鶏」は、丑の刻(午前2時)、「二番鳥 = 夜明けに一番鳥の次に鳴く鶏」は、虎の刻(午前4時)に鳴くとされ、農家のお嫁さんはその声を聞いて起き出し、竃を炊きつけ、朝の準備をしたそうです。
呼び名は、鳴き声から「かけ」、あるいは、庭にいるので「にわつとり」と呼んでいたようです。

丹色 にいろ

また、日本各地にニワトリが広まった際、羽の色が日本の伝統色でもある丹色(にいろ)に似ていたことから、「丹色の羽の鳥」→「丹羽鳥」→「ニワトリ」と名付けられたという説もあります。

さて、ニワトリの赤い「鶏冠(とさか)」はなんで付いているのかをご存じでしょうか。。
もちろんただの飾りではありません。とさかの大きな役目として以下の2つの理由が挙げられます。

にわとり 鶏冠 トサカ

その1 メスにアピールするため

繁殖期になると、オスのとさかは、よりメスから注目を集めるため、色や大きさが変化します。

その2 体温調節をするため

鳥類には、汗腺がないため、他の部分で体温を調節する必要があります。
しかし、体はフカフカの羽毛で覆われていますよね?そこで、暑さに弱いニワトリは、とさかから熱を放出して、体温を調節しています。謂わば天然の放熱板です。

風邪の予防

昨今では新型コロナウィルス第8波のニュースで持ち切りですが、第8波は季節性インフルエンザとの同時流行もおおいに懸念されています。

季節性インフルエンザも新型コロナウィルスも感染予防の基本的対策は同じなので、一人一人が引き続き取り組んでいきたいと思います。

それでも最強寒波の襲来など、気温の変動が大きくなりそうですので、油断せずに体調を崩さないよう、ご注意ください。
風邪等を引いてしまったら、休養・栄養・的確な治療が大切だそうです。
そこで先人たちの知恵がつまった「食」からも風邪を予防し、罹ってしまったら立ち向かってみるのも必要ではないでしょうか。

金柑

まずはこの時期、店頭に並ぶ「金柑」。
キンカン(金柑)は、ミカン科キンカン属の常緑低木の総称である。別名キンキツ(金橘)ともいわれています。果実は小粒で甘酸っぱく、ほろ苦い後味が残るので知られています。
花は7~10月頃に咲き、晩秋~冬にかけて実がつき、黄色く熟します。
年も改まり路地ものが出始めるのもこの時期です。
金柑を買い求める際には色が濃く、つやがあり、持ってみて重みがあるものを選び、特にへたの部分が緑でみずみずしいものが新鮮な証拠だそうです。

金柑 キンカン

この金柑にはビタミンCビタミンEカルシウム食物繊維なども豊富で、その栄養素のほとんどが皮に含まれているので皮ごと食べるのがお勧めですので、食べ方としてはそのまま生で皮ごといただいたり、刻んでドレッシングに入れたり、ジャムや定番の甘露煮などがいいです。
そして昔から風邪の予防やのどの痛み、咳止めの民間薬として親しまれてきている上、今が旬の食材ですので今年の風邪の予防に一役かってもらったらいかがでしょうか。

玉子酒

さて、品種改良や飼育方法の改良などで自然の摂理を曲げて必死に産んでくれた卵、大切に健康管理にも役立ててみましょう。

卵の栄養素の中に含まれる「リゾチーム」という酵素は風邪薬にも使われている成分で、殺菌効果と免疫力を高める働きがありますので、風邪と玉子酒はうってつけのコンビネーションです。

玉子酒

卵は半熟が最も消化の良い状態ですから、お酒に溶かして飲む玉子酒は、効率よく栄養成分を摂取でき、しかも日本酒の効果で、身体も温まります。

作り方

1.1個の卵を溶きほぐし、1合の日本酒と混ぜあわせます。
2.鍋に入れ、弱火にかけて絶えずかき混ぜます。(ここが一番大切です!!)
3.とろりとしてきたら火からおろし、砂糖または蜂蜜を加えて完成です。

お酒に弱い方や子どもさんには、先に日本酒を鍋に入れて火にかけ、沸騰したらコンロの火が鍋に入るように鍋を傾け、酒に火を移してさらにアルコール分を飛ばし、煮切ってから、使うと良いでしょう。
(火を移すのが怖い場合は沸騰させるだけでも充分です)

結詞

鶏は夜明けを知らせるため、古来より、神や精霊の時間である夜と、人間の活動する昼との境目を告げる霊鳥だと考えられてきました。そんなことからも、鶏は長い冬の終わりを告げるのにふさわしい動物とも言えそうです。
早いものでカレンダーももうすぐ月が替わり、4日は「立春」です。

節分 立春

再度のご案内になりますが、今年の「立春」は公転の関係で2月4日に戻ります。それに伴い、「節分」も2月3日になります。ちなみに恵方は南南東です。
そして二十四節気は「立春」そして七十二候もその初候「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」と移り、もうすぐ暦の上では春です。

東風解凍 はるかぜこおりをとく

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