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浜下り ハマオリ ハマウリ 風物詩
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浜下り ハマオリ ハマウリ

沖縄奄美地方では旧暦の3月3日の年中行事として「浜下り」というものがあります。
浜下りというと「潮干狩り」を連想する方もおられると思いますが、また本土の3月3日の上巳(桃)の節句とも異なり、「女の節句」ではありながら女の子の健やかな成長と健康を願い、その祈りをささげるために浜へ下りるというところが沖縄や奄美の特徴です。
そもそも上巳の節供の「巳」が蛇を指すように、この祓いの風習のルーツは、水辺で穢れを祓う古代中国の上巳節の祭祀ともいわれています。

浜下り ハマオリ ハマウリ

この日は大潮にあたり干潮時も大きく潮が引きます。
その時に「三月御重サングァチウジュウ)」と呼ばれる重箱料理を持ち寄る習慣もあり、重箱の中には、花イカや赤飯おにぎり、豆料理などの山海の幸、よもぎ餅三月菓子が彩り良く詰められます。

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浜下り(はまうい)の「三月お重」の一例

浜下り(はまうい)の三月お重は、四段からなっています。そして、沖縄の御願行事では、お餅重は欠かせませんが、沖縄では浜下りのお重と言えば、よもぎ餅(フーチムチ)です。
そこで、浜下りに携行する一般的なお重の一例をご紹介します。

一段目(おかず重)

昆布の煮付けや紅白かまぼこ、華やかに可愛く仕上げるために、花いかや紅梅玉子、紅白のジーマーミー(お豆)などのおめでたいおかずを詰めます。

二段目(お赤飯)

お赤飯を外で食べやすいように、おにぎりにします。
持ちやすくするために、葉っぱなどを巻くお家もあるそうです。
また詰める個数は、縁起良く奇数個詰めます。

三段目(よもぎ餅・フーチムチ)

浜下りでは、きなこをまぶした餡入りのよもぎ餅(フーチムチ)が多いようです。
これも奇数個詰めてください。

よもぎ餅 フーチムチ

小麦粉とお砂糖、玉子で作った生地を揚げた、三本の飾り切りが入っているのが特徴の簡単な揚げ菓子です。
シーズンになるとスーパーなどでも見かけます。

三月菓子 サングァッチグァーシ

そして重箱料理やお菓子などを持って浜で浜遊びをしにいくのです。

浜遊び

ただその時に「ミジナディ(水撫で)」といって薬指に潮水を付けてを娘さんの額に三度海水つけ、「娘が健康にいられますように。そして悪いことから守ってください」と祈り、最後に娘さんに白砂を踏ませます。

浜下り ハマオリ ハマウリ

沖縄でも白砂は聖なるものとして屋敷内を清めたりするのに使われてきましたがその清浄なもので娘さんたちを清めます。
宮古では海に行けない病人や老人、子供のために砂や潮を持ち帰るところもありました。

浜下りの由来となった伝承

沖縄では浜下りの由来ともなっている伝承がいくつかありますが、由来として、アカマター(ヘビ)の伝説があります。
人間に化けたアカマターが女性をだまして誘惑し妊娠させ、全てに気付いた女性が3月3日に白浜に降り、身を清めアカマターの子を堕ろしたという話です。
針にウー(芭蕉)の糸を通した針を刺す場所や発見される場所、アカマターの会話、登場人物に地域によって様々なバージョンがありますが、よく知られているものをご紹介しておきます。

『昔、ひとりの機織りが上手な美しい娘のもとへ、若い男が毎晩忍び込んでいました。不審に思った母親が娘に「芭蕉布の糸に針を通し、男の髪に刺して帰しなさい」と知恵を授けました。
何も知らずにその夜も帰っていった男に付けられた糸のあとを追ってみると、その男はアカマター(蛇)の化身でした。
二人が後をつけていることに気付かず、そのアカマターは巣に戻り、仲間に人間の娘を身ごもらせたことを自慢げに話をしていました。
すると仲間のアカマターは「なあ、人間というものは物知りだからダメになるよ」というので、「それなら、どうしておろすことができるのか」と聞くと、「(旧暦)3月3日に海の砂を七回踏むと、サラサラとおりてしまうよ」と話していた。
それを聞いた母親は大急ぎで娘に浜下りをさせると、七匹のヘビがするするとおりて、海に沈んでいきました。
そして娘は元のけがれのない体に戻しました。』

結詞

砂と言えば、博多の筥崎宮の「社日祭の御潮井とり」もあります。
砂が聖なるものというところは全国共通のようです。

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