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鱖魚群 さけのうおむらがる 歳時記
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鱖魚群 さけのうおむらがる

17日より大雪も末候「鱖魚群(さけのうおむらがる)」となります。
鮭が群れをなして川を上っていく頃です。古より、この「鮭の遡上」を神秘的なものとしてとらえてきました。
令和3年もあと半月を残すばかりとなりました。何かと気忙しい日々が続きます。

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鱖魚群(さけのうおむらがる)

鱖魚群 さけのうおむらがる

この時期、大海を回遊していた鮭たちは産卵のため故郷の川に群れをなして戻ってきます。
北海道や東北のいくつかの河川では冬を代表する光景のひとつでもある迫力のある遡上を見ることができます。
七十二候にある「」という字は「ケイ、ケツ」と読み、中国東北部に生息する「鱖魚(ケツギョ)」のことを指しています。
その鱖魚はスズキ科の淡水魚でサケとは別の魚ですが群れて泳ぐ様はサケと同じです。
中国の暦が日本に入ってきた時には、日本には鱖魚がいなかったので、日本では馴染みのある「鮭」という魚が充てられたのでしょう。

鮭の一生

晩秋(9月ごろ)から1月にかけて産卵された卵は春には孵化し、稚魚のうちは生まれた川でプランクトンや昆虫などを食べて育っていきます。

鮭の稚魚

その後、川を下り一か月程度、河口の湾内で過ごしたのちに大海へと旅立ち、数千キロにわたって回遊します。
最初はプランクトンやオキアミなどを食べながらオホーツク海で過ごし、その後北太平洋へと南下してきます。
親になるまでには3年〜6年かかります。そして概ね四年前後回遊しながら大海で成長し生まれた川へと戻ってきます。

1954年に北海道の常呂川(ところがわ)でおこなわれた「標識放流」調査では、なんと98%のサケがちゃんと戻ってきたという結果が報告されていますが、海流があるとはいえ、広い海の中で本当に生まれた川まで、何をたよりに方向を定めて泳いで、間違いなく帰ってくるのでしょうか?

まずは魚には、太陽の位置を基準にして方角を決め 一定の方向に移動できる能力があると言われています。
しかしサケの回遊する北太平洋は天気の悪い日が多く、しかもサケは水深60メートルもの深いところを泳ぐことも多いため、はたして太陽の位置をたしかめることができるかどうかという疑問も生まれてきます。
一方で、日の出の頃にサケが水面近くまで浮かんでくることが観察されていて、このとき太陽の位置を定めているのかもしれないとも考えられるそうです。
さらに「海水の温度差や塩分の濃度差を感じて回遊しているのではないか」とか「地球の磁気を感じているのではないか」など諸説があり、謎は深まるばかりです。

このようにサケは持てる能力をフル動員して生まれた川の付近の沿岸までたどり着いた後、自分の生まれた川をどうやって探し当てるのでしょうか。
それは「母川回帰」といって生まれた川の「におい」をしっかり覚えているためと言われています。
川の水にはいろんな物質が溶け込んでいて、川によってそれぞれ匂いがちがうようです。
サケがその匂いの中でどの物質を嗅ぎ分けているのかはまだわかっていないそうですが、なにか特定の匂いではなく、川に溶け込んでいるいろいろな匂いを覚えているのではないかと考えられています。
しかし、視力を失った鮭は帰ってくることができなかったという研究結果もあり、鮭は自分が生まれた川を目と匂いで覚えて、戻ってくるのではないかと言われています。

鮭の一生

そして産卵のため一心不乱に遡上してくる鮭は、まったく食物もとらず、生まれた川の懐かしい匂いに包まれ、次世代へと命を繋ぎ役目を終え、静かにその一生を終えていきます。

サケは白身魚?

身が鮮やかな赤系の色の鮭は赤身の魚ではなく「白身魚」に分類されているのはご存じでしょうか?

一生のうちオキアミやエビ、カニなどを多く食べるため、それらの甲殻類が食べている藻類に含まれるアスタキサンチンという色素が身に取り込まれているため濃いオレンジ色の身となったのです。
あの身の色はマグロなどのようにもとから赤いわけではなく、海で食べているエサによって赤くなったものです。

刺身盛り合わせ

さらに比較的淡白な味わいの多い白身魚ですが、その中でも鮭は海水温の低い海域を回遊しているため皮下脂肪を多く蓄えているので、脂がのった食べ応えのある魚になっています。

いくら イクラ 魚卵

その卵である「イクラ」は、「魚卵」という意味のロシア語『イクラー』が語源となったもので、もともとはサケとはかぎりません
ちなみにロシア語で「イクラ」は「赤い魚卵(クラースナヤ・イクラー)」、キャビアは「黒い魚卵(チョールナヤ・イクラー)」と呼ばれているそうです。
「イクラ」は秋から冬にかけて、表面の皮はだんだん丈夫になっていくそうです。
先程書きましたアスタキサンチンは強い抗酸化作用があることで知られ、最近ではそのアンチエイジング効果などもあると言われ、サケは、大切な卵を守るために体内でアスタキサンチンを移動させるためイクラもオレンジ色となるのです。

日本人の好きな魚

鮭

常勝軍団と言ってよいほど常に日本人が好きな魚ランキングのベスト3以内をキープしている鮭ですが、洋でも和でも良く、焼いても鍋物でもそして生でも良いことがその理由かもしれません。

ところがこの人気の鮭、漁獲量は年々減り続け、そのため自給率も年々低下してきています。
適正水温が3℃から10℃といわれている鮭にとってこれも地球温暖化による海水温の上昇も影響しているのかもしれません。

そこで、「卵の時」ではなく「孵化した時」にいた川の匂いをたよりに帰ってくる、というサケの性質を利用して、サケがいなくなってしまった川に卵を持っていって孵化させ、もういちど帰ってきてもらおうという試みも行われています。
現在では、日本産のサケのほとんどは、河口付近で捕獲され、人工孵化によって育てられているのです。
河口付近で捕獲する理由は、サケを自然のままで産卵させようとしても、途中で密漁されたり、産卵できる場所が整っていなかったりするためだからだそうです。卵から稚魚になるまで育てて川や海に放すと、そのサケが自分でエサをとって大きくなり、再び戻ってきてくれるというわけです。

昔は、北海道から東北地方にかけての川のいたるところで、自然のままで産卵して増えたサケがとれていたといいます。
アイヌの人たちは、サケを「神の魚(カムイチェプ)」といって大切にしていました。
産卵で力尽きたサケの体は他の生き物に食べられるだけではなく、バクテリアによって分解されてプランクトンを増やし、翌春に孵化した稚魚たちはそのプランクトンを食べて成長します。

鮭の昆布巻き

そんな鮭ですが、年末の年越しの食卓やお正月の祝いの食卓でも刺身、スモークサーモン、昆布巻き・焼き物・酢の物さらにはいくら・筋子と大活躍です。
ここで簡単な正月用のレシピをご紹介します。
最近では既製品で揃っているものをご利用のご家庭も多くなりましたが、その中で幾品か手作りしてみるのも新たな年を迎えるにあたり年神様も喜ばれるかもしれません。

鮭の昆布巻き

レシピ

1.昆布30~40g
2.水4カップ
3.酢大さじ1
4.鮭(刺身用柵)1柵
5.かんぴょう18センチ×10本
6.塩少量
7.砂糖大さじ5
8.酒大さじ3
9.みりん大さじ2
10.醤油大さじ2

作り方

1.昆布を2・3に漬けて柔らかくします。浸した酢水は煮汁にするので捨てないでとっておいてください。12×6センチの長方形10枚に切ります。
2.かんぴょうは塩もみして水で洗い流します。鮭は棒状にして10本に切り分けます。
3.昆布で鮭を巻いて、かんぴょうで縛ります。とっておいた酢水と一緒に鍋に入れ、弱めの中火で30分煮ます。
4.砂糖と酒を加えさらに10分煮ます。次にみりんと醤油を加え煮汁が少なくなるまで煮詰ていきます。これで完成です!!

結詞

命がけの長い旅をして帰ってきたサケがふるさとの水の中で安心して生涯を全うできるよう、川に心を向けていたいものです。
このように動物たちの冬への準備を知らされると、今年の冬も新型コロナウィルス禍が燻ぶる中でもあり、変異株のオミクロン株の拡散や従来株のリバウンド、さらにはインフルエンザなどの感染拡大を防ぐことに取り組みながらの年末年始となりそうです。
自然界の動物や植物の姿から冬の過ごし方を少し見習って、動植物たちの「冬籠り」は私達人間の「巣ごもり」にも役立つ知恵となるかもしれません。
冬来りなば春遠からじ」の言葉のように冬の後には必ず春はやって来ます。人間も今こそ力を発揮して危機を協力して乗り越えていきましょう。

冬至 とうじ

そのような世情の中ではありますが、暦は新型コロナウィルスと関係なく、粛々と二十四節気は「冬至」そして七十二候は「乃東生(なつかれぐさしょうず)」と変わっていきます。

乃東生 なつかれぐさしょうず

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