天地始粛 | てんちはじめてさむし | 秋の七草 | 二百十日 | 防災の日 | 二百二十日 | 七十二候 | 歳時記

天地始粛 てんちはじめてさむし 歳時記
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天地始粛 てんちはじめてさむし

28日より七十二候は、処暑の次候「天地始粛(てんちはじめてさむし)」と移ります。
未だ残暑厳しく、猛暑日を観測する地点も多くありますが、ふとした瞬間に少しずつ気温の変化が感じられるようになってきます。
そろそろ「秋の七草」にも出会う頃が近づいてまいります。

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天地始粛(てんちはじめてさむし)

今年は太平洋高気圧とシベリア高気圧の二段構造の気圧配置から例年になく災害的な豪雨や気温が記録されていますが、その太平洋高気圧も未だに真夏のような場所に居座り、天気図でもまるで梅雨末期のような気圧配置になってきています。正しく「秋」は暦の上だけといった様相です。
「秋」を運んできてくれる太平洋高気圧とシベリア高気圧の鬩ぎあいの中で生ずる「秋雨前線」の出現はもうしばらくお預けのようです。
ただその秋雨前線は、「記録的」「観測史上」という言葉を冠した最近の豪雨で人的被害も出ることも多くなってしまっています。さらに「二百十日(にひょくとおか)」を前にして本格的な「台風シーズン」ともなります。

さて、天地始粛の「粛」という漢字は縮む、しずまる、おさまるという意味の字だそうですが夏の気も落ち着き始める頃という意味です。実際、残暑厳しいながら、気象情報などでは、北から「寒気」が南下してなどというアナウンスを聞くことも例年ですと徐々に増えてくる頃です。

天地始粛 てんちはじめてさむし

沖縄では今更ながら真夏のような陽気が続いていますが、それでも日没後からは少しずつ気温が下がってきて、ウォーキングをしていても8月前半よりは楽になり、季節感の乏しい沖縄でも薄っすらと秋の気配を感じさせてくれます。
また今年は新型コロナウィルスのため訪沖客も少なく、ビーチなども昨年同様、異例の静かさで、秋の風情を感じさせています。
ただ、今後は台風が接近するシーズンでもあり、油断は禁物です。近海の海水温が未だ下がらない現状では、いつ大きな災害をもたらす台風が来ても不思議はありません。

秋の七草

話は換わりますが、春の七草と同様、秋にも七草があるのはご存知の方は多いと思います。
「秋の七草」は選ばれたのは奈良時代で、平安時代に選ばれた「春の七草」より古い歴史があります。
春の七草は1月7日の「七草がゆ」がメジャーとなっていますが、「秋の七草」は一部食用とされるものもあったり、生薬となるものもありますが、一方で有毒成分が含まれているものもありますので、食べるより季節の移り変わりの風情を愛でる観賞に留めておく方が良さそうです。

そこで改めて秋の七草を以下にご紹介をしたいと思います。

女郎花 おみなえし オミナエシ

おみなえし 女郎花

オミナエシ(女郎花)の名前の由来は、「おみな」は「」の意味し、「えし」は古語の「へし(圧)」で、美女を圧倒する美しさから名づけられた言われています。 また別の説では、餅米で炊くご飯(おこわ)のことを 「男飯」といったのに対し、「粟ご飯」のことを「女飯」といっていたそうですが、花が粟つぶのように黄色く粒粒していることから「女飯」から「おみなめし」、「おみなえし」となった、という説もあります。
その咲き方から、小さな花を粟に見立て、粟花(あわばな)とも呼ばれます。
その根には消炎作用があるといわれています。

尾花 すすき ススキ

すすき 薄 おばな 尾花

十五夜のお月見には欠かせないものですが、穂が出た状態は動物の尾に見立てて「尾花」といい、草が茂っている様子が「薄(ススキ)」と呼んでいます。
ススキは「茅(カヤ)」とも呼ばれ、これで葺いた屋根を「茅葺屋根(かやぶきやね)」といいます。
ススキの名はの由来は、稲などに似た草ススケが語源だという説や「すくすくと立つ木」という説や、はたまた神楽に使われる鳴り物用の木、スズの木という説もあるようです。
その根や茎には利尿作用があるそうです。

桔梗 ききょう キキョウ

ききょう 桔梗

あの清楚な紫色の花期は夏ですので、夏の着物のデザインによく使われています。
キキョウは、薬草としての漢名で根がひきしまっている、まっすぐであるという意味の「桔梗」を音読みした「キチコウ(キチカウ)」が変化したものと言われています。
その根は太く、喉に効くことから生薬として利用されることもあります。
また、キキョウ(桔梗)は昔から武士に好まれたようで、清和源氏の土岐氏や、土岐氏の流れを汲む「明智光秀」が水色桔梗紋を用いたことは有名です。
しかし残念ながら今や環境省の絶滅危惧種に指定されています。

撫子 なでしこ ナデシコ カワラナデシコ

なでしこ 撫子

万葉の時代から優しい草姿に可憐な花を咲かせ、香りも魅力的な撫子は「撫でし子」と語意が通じることから、古くから子どもや女性にたとえられてきました。
また愛児を失った親が、その子の愛した花を形見として撫でたことにも由来しているという説もあり、別名「片身花」ともいいます。
平安時代に日本に自生する日本古来の「河原撫子(カワラナデシコ)」とよく似た石竹(せきちく)が中国から入ってきたため、在来種と区別するため「唐撫子」と呼ばれていました。それに対して在来種の「河原撫子(カワラナデシコ)」の別名として、日本女性の代名詞「大和撫子」と呼んでいました。ちなみにサッカー日本代表女子の「ナデシコジャパン」の愛称ともなりました。

藤袴 ふじばかま フジバカマ

ふじばかま 藤袴

名前の由来は、、花の色が藤色を帯び、花弁の形が袴のようであることから、「藤袴」の名が生まれたとも言われ、また、フヂバナカフクミグサ(藤花香含草)の意味とも言われています。
そのため、乾燥させると香りが強く、桜餅のような香りがするため、平安時代の貴族たちは湯に入れたり、衣服や髪につけていたと言われています。
七草の中で最も目にする機会が少なく、キキョウと並んで絶滅危惧種ともなっています。

葛 くず クズ

くず 葛

茎で籠や布を織り、根から採取したでんぷんがくず粉となるのはご存じの方も多いと思います。
その「葛」という名前の由来は、大和の國(現在の奈良県あたり)吉野郷国栖(くず)という地名に由来すると言われています。
昔、この地域で葛を掘り出し精製され、国栖の人が、この植物を売り歩いたため、いつしか「クズ」と呼ばれるようになったという説が有力なようです。
落語でも有名な風邪薬(万能薬?)の「葛根湯」はこの葛の根を乾燥させたものです。
そのくず粉を原料とした和菓子、葛餅水まんじゅう葛切りが有名で透明感のある上品な甘さが特徴です。

萩 はぎ ハギ

はぎ 萩

草冠に秋と書く「萩」は、秋に咲く花という意味だそうです。その花は小さく紅紫色です。
萩は古い株から目を出す特徴があり、そのため、かつては「生芽」という漢字があてられていました。
この漢字で「ハエキ」と読んでいて、その読み「ハエキ」が訛って現在のハギになったという説が有力のようです。
その小さな花の咲き乱れる様が小豆の粒に似ていることから、秋のお彼岸にお供えする「おはぎ」の由来になったとされています。
萩の中でも「ミヤギノハギ」は宮城県の県花となっています。

秋の七草の覚え方

秋の七草を諳(そら)んじられる方は、それほど多くはないのでしょうか。そこで秋の七草の覚え方をご紹介します。

まずは「春の七草」の「せり・なずな ごぎょう・はこべら ほろけのざ すずな・すずしろ」というように五七調で覚える方法です。
秋の七草では「はぎ・ききょう くず・おみなえし・ふじばかま おばな(すすき)・なでしこ
この覚え方も、繰り返し口ずさむことによって、自然と口をついて出てくるようです。

別の方法としては「お好きな服は?」の頭の一文字を覚えると良いそうです。

「お」   おみなえし
「す」   すすき(おばな)
「き」   ききょう
「な」   なでしこ
「ふ」   ふじばかま
「く」   くず
「は」   はぎ

いずれにしても、これから褐色に染まってくる秋の野にひっそりと清楚で可憐に咲く「秋の花々」を愛でる気持ちと季節感を味わう心とともに持って、覚えやすい方法で覚えてみたらいかがでしょうか。

秋の七草の由来

さてこの「秋の七草」の由来ですが確定的ではないようですが、一応、山上憶良(やまのうえのおくら)が「秋野に咲きたる花を指折り(およびおり)かき数ふれば七種(ななくさ)の花」(万葉集巻八1357)、「萩の花、尾花(おばな)、葛花(くずばな)、撫子(なでしこ)の花、姫部志(をみなえし)また藤袴(ふじばかま)、朝貌(あさがほ)の花」(万葉集巻八1538)という歌を詠んだのが由来とされています。
この「朝貌の花」については、木槿(むくげ)、桔梗、朝顔など諸説ありますが、現在では「桔梗(ききょう)」であろうという説が最も有力な説となっています。

二百十日 二百二十日

台風 二百十日 二百二十日

この時期、よく耳にする言葉で「二百十日(2021年は8月31日)」「二百二十日(同9月10日)」がありますが、立春から数えて210日目、220日目の日を指しています。この時期は農作物に甚大な影響を与える台風に見舞われることも多い頃でもあり、このふたつも季節の移り変りをより適確に掴むために設けられた、特別な暦日である雑節(他の雑節:節分・八十八夜・入梅・半夏生 ・社日・土用・彼岸)とされ、合わせて八朔(同9月7日)が農家にとって三大厄日として戒められています。
そして頃に吹く吹く秋の強風を野分(のわき・のわけ)と呼んでいます。

風が禍する二百十日などはその風をモチーフにして夏目漱石の「二百十日」や宮沢賢治の「風の又三郎」という小説を残しています。興味のある方は「読書の秋」に読まれてみるのも良いかもしれません。とりわけ「二百十日」は九州の阿蘇山が舞台となっている小説です。

越中おわら風の盆

また全国各地では風を鎮めると同時に豊作を願う「風祭り」が行われ、現在でも連綿と各地に残っています。
中でも富山県高山市八尾町内11か所で町流しが行われる「越中八尾おわら風の盆」は例年ですと9月1日から3日間催されますが、哀愁を帯びた胡弓の音とともに越中おわら節に乗せて、坂の町を揃いの法被や浴衣姿で目深にかぶった編み笠の男女が古い街並みを流し、踊り歩きます。その独特な風情から多くの小説や歌の題材にもなっています。
この風物詩も今年も2年連続で新型コロナウィルスの影響により中止となってしまいました。

防災の日

2021年も甚大な水害などで防災、減災が呼びかけられる一年となっていますが、9月1日は関東大震災が発生した日にちなんで1960年(昭和35年)に「防災の日」が制定され、犠牲者の慰霊とともに、災害に備えて避難訓練や防災用品の点検などを促す日です。

まずは命を守る防災」ということを常日頃から念頭に置いておきたいものです。
そしてもう一度ご家族で「家族防災会議」的な話し合いをもって、以下の点を確認しておいたらいかがでしょうか。

防災の日 防災グッズ 非常持出袋

非常持ち出し袋
家族の連絡手段
非難の際の経路と場所
最終的な家族の合流場所 等々

とにもかくにも、自らの命はもとより大切な人の命を守るための準備と行動が大切です。
人間は「自分のところは大丈夫だ」という正常性バイアスが働くそうです。
大丈夫なものなら避難などしたくないと思いがちですが、最悪のリスクを考慮する心構えも必要だと思います。
そのためには、気象庁や国土交通省などの防災に関する情報の精度がより高くなることを期待したいものです。

結詞

暑さも少しずつ和らぎ、と同時に新型コロナウィルスも収束に向かい、穏やかな気持ちで可憐で清楚な花を愛でながら秋の日々が戻ってくることを願いたいものです。

禾乃登 こくものすなわちみのる

暦は七十二候は処暑の末候「禾乃登(こくものすなわちみのる)」と移り、そして農家の方々の三大厄日のひとつ「八朔」が巡ってきます。

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