
九州のこの時期の風物詩として、ツルの渡来地である鹿児島県の出水平野が思い浮かびます。
出水平野のある出水市では、ツル観察センター(0996-85-5151)やツル博物館クレインパークいずみ(0996-63-8915)が設置され、市をあげてツルの保護・啓蒙活動に力を注いでいます。
毎年、多くの観光客がツル見物に訪れていますが、今年は新型コロナウイルス感染症対策としてマスク着用、検温、手指消毒、ソーシャルディスタンス等も呼びかけられています。また混雑時には入館制限もすることがあるそうです。新型コロナウィルス禍の新しいルールを守りながら見学をさせていただきましょう。
さて渡来するツルですが、ロシアのバイカル湖やアムール川の上・中流域の湿地帯を繁殖地とするナベヅルが渡来します。
その数は毎年10月~11月にかけてその年により増減はあるものの概ね1万羽と言われています。
その他、ナベヅル以外にも、3千羽のマナヅルやクロヅル・アネハヅル・カナダヅル・ナベクロヅル(ナベヅルとクロヅルの交雑種)ツルなどもやってきます。
2020.11.21時点の調査(出水市ツル博物館)
ナベヅル | 14,735羽 |
マナヅル | 639羽 |
クロヅル | 7羽 |
カナダヅル | 6羽 |
アネハヅル | 1羽 |
ナベクロヅル | 2羽 |
合計 | 15,390羽 |





ツルの種類は15種と言われていますが、そのうち数年に一度少数でありながらも渡ってくるツルを含めると約半分の7種が出水平野に渡来してきます。
稲刈りの終わった水田や休耕田に生えるイネの二番穂や雑草、カエル・カタツムリ・タニシ・バッタなどの小動物、昆虫などを食べて冬を越し翌年の2月~3月に再び北へ向かって帰っていきます。
また出水平野ではツルの天敵であるキツネやタヌキからツルを守るために収穫の終わった水田などに再び浅く水を張り湿地状態を保ち、年間75トンもの小麦・籾・玄米・大豆などの人為的に給餌も行われています。さらにツルが北方へ帰る直前には約8トンものイワシも与えられ、至れり尽くせりの感すらあります。
一方、渡来地が人里に近いため住民との共存を図るため、他の農作物が荒らされることがないように畑の周りに防護ネットを張り巡らしたりとご苦労も多いようです。
そのような地域住民の皆さんのご苦労もありツルの渡来数と種類の多さでは日本一とも言われ、現在では「鹿児島県のツル及びその渡来地」として国の「特別天然記念物」に指定されています。
この冬、長寿の象徴として縁起が良いといわれるツルに逢いに行ってみてはいかがでしょうか。
例年ですとシーズン中、「ツル観光周遊バス」が運行されるのですが、新型コロナウィルス禍の中、例年と違う形の予約制の「ツル観光モニタリングバス・タクシー」として2020年11月から2021年2月まで予約があった場合に運行しているそうです。
問い合わせ先
出水市産業振興部シティセールス課 電話:0996-63-4061
予約先
ツル観光タクシー(出発日の1時間前まで)
旭交通㈱出水 0996-62-1411
㈲出水タクシー 0996-62-1515(フリーダイヤル0120-151-577)
ツル観光モニタリングバス(朝6時20分発のみ 原則として、出発日の前々日の午後5時まで)
クレインハート㈱ 0996-64-2602
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