飛んだり獲ったり・鷹も学ぶ「鷹乃学習」

鷹乃学習 たかすなわちがくしゅうす鷹 歳時記
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暦は小暑の末候「鷹乃学習」に移ります。この時季、鷹の雛が巣立ち親について飛び方やえさの獲り方を覚え独り立ちの準備をする時期です。 タカの語源は「猛々しい」の「タケ」が「タカ」に転じたという説が有力で気難しいですが、繊細な野生の猛禽類です。

鷹乃学習 たかすなわちがくしゅうす鷹
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鷹乃学習

「鷹乃学習」は「たかすなわちがくしゅうす」と読まれたり「たかすなわちわざをならう」と読まれたりします。

ここでいう「鷹」とは猛禽類全般あるいは「オオタカ」を指していると思われます。

鷹の仲間は、3月頃から造巣をはじめ、春に産卵し5月から6月にかけて孵化します。そしてさらに巣で成長し6月から7月にかけて巣立ちの準備を始め、飛び方や餌の取り方を学び、やがて独り立ちをするため巣立っていきます。 成長した鷹の飛行スピードは時速80キロメートルにもなり、急降下するスピードは時速130キロメートルにも及ぶと言われています。ただ最初からそのように飛べるわけもなく落下したり、低空飛行だったりしながらを繰り返しながら徐々に飛行能力を高めていきます。そして飛行訓練をしながらセミやトンボ、カブトムシなどを捕食することから始め段々大きな獲物を狩るようになっていきます。

鷲・鷹・鳶・隼

ではもう少し鷹の仲間についてお話しておきましょう。鷹の仲間たちは、国内では北海道からサシバ、カンムリワシの南西諸島まで全国各地で生息しています。 そのタカは種類も豊富でそれぞれ「属」として区分けされています。

鷲・鷹

鷹

タカの仲間の中で2トップは何と言っても鷲と鷹だと思いますが、この2種の違いに明確な定義は無いようで、基本的にはその大きさで分けているようです。ただ鷲より大きな鷹もいますし、鷹より小さな鷲も存在するのでちょっとややこしいです。

鷲

ここでも例外があることを恐れずに強いてその違いを言えば次の点かもしれません。

  • 鷹は尾が長く扇状に広がっているのに対し、鷲は短く広がっていません。
  • 鷹は鷹斑(たかふ)と呼ばれるもようがありますが、鷲にはありません
  • 鷹は余り羽ばたかず気流に乗るように飛びますが、鷲は羽ばたきを併せて飛んでいます
  • 鷹は足が長く、鷲は短いです

鳶、トンビは一番おなじみの鷹の仲間ではないでしょうか。

鳶

「トンビがクルリと輪を描いた」の歌詞通り、上昇気流を掴んだグライダーのように円形を描きながら飛翔し「ピーヒョロロロ」という鳴き声は聴いた方もおられると思います。

鷹の仲間では何かと劣った存在にたとえられてしまいますが、その大きさは鷹より大きいものが多いです。

そして鷲や鷹と比べて捕食能力が劣っているため小動物や魚またその死骸などを食べ、市街地では生活ごみなども漁って食べます。

そのため「掃除屋」の異名もつけられてしまっています。 ふいに横合いから大事な物を奪われることの喩えとして「トンビに油揚げをさらわれる」という慣用句もご存じだと思いますが、現代では油揚げならぬ観光客の弁当などをさらっていっているニュースも報じられていますが、これも掃除屋さんの習性のようです。

さて猛禽類の中で鷹に似ているものとして「隼」いますが、この隼だけは「ハヤブサ科」で鷹とは他の分類となっています。鷹より小型でありながらその飛行スピードは時速100メートルにも達します。

隼

次の項でお話しますが、鷹狩に使われる鳥は大鷹のほか、この隼も使われます。 鷹狩なのに「隼」と思われた方もおられるでしょうが、「鷹」という文字には猛禽類全般を指す意味もあり、隼も猛禽類ですのである意味鷹狩に使われてもおかしくないのです。

鷹狩と鷹匠

鷹を用いた狩猟法に「鷹狩」がありますが、その歴史は古く紀元前3000年から2000年に中央アジアやモンゴル高原の遊牧民の間で始まったという説が有力のようです。

鷹匠

日本でも古墳から鷹を手に留まらせた埴輪が出土されるなど権力者の権威の象徴として仁徳天皇の時代にはすでに鷹狩が行われていたと「日本書紀」にも記述が見られます。

中世には武士の間にも広まり、近世においては徳川家康の鷹狩好きは有名です。

明治維新後は皇室に継承されましたが、現在は一部の民間にその技法が残っているにすぎません。

その盛んに鷹狩が行われた時代には、タカを飼育し訓練する専門の職業も生まれ、江戸時代には幕府や諸藩の支配下で飼育・訓練・鷹狩の一切を司る「鷹匠」という職となりました。 鷹匠たちは鷹の忍耐強く、失敗してもめげずに繰り返す性質を利用しながら、粘り強く「慣らし、仕込み、使う」の3ステップで慎重に調教していきます。まさしく「鷹乃学習」そのものです。

鷹に纏わる諺

基本的に「鷹」を優秀な生き物としての象徴として扱われている諺が多いようです。いくつかをその意味合いも含めて列挙しておきます。

  • 能ある鷹は爪を隠す

すぐれた才能や実力のある人は、それをむやみにひけらかしたりしない

  • 鳶が鷹を産む

平凡な親から優れた子どもが生まれる喩として使われます。「鳶が孔雀を生む」と言われることもあります。

  • 鵜の目鷹の目

鵜や鷹が獲物を狙う時のように、一生懸命に探し出そうとする様子やその目つきのことをいいます。

  • 鷹は飢えても穂を摘まず

鷹はどんなに飢えても穀物はついばまないということから、高潔な人は、どんなに困っても不正なことは決してしないという意味です

  • 鳶も居ずまいから鷹に見える

見栄えのよくない鳶でも、振る舞いしだいで鷹のように見えるという意味から、どんな人間でも、立ち振る舞いをきちんとすれば、立派に見えるという喩です。

あとちょっと違う角度からの諺をご紹介します。

  • 犬も朋輩、鷹も朋輩

鷹狩りで、犬と鷹には違った役目がありますが、同じ主人に仕える仲間であるという意味から役目や地位が違っても、同じ職場で働けばみな同僚であることに変わりなく、仲良く協力すべきという意味で使われます。

結詞

桐の花

新型コロナウィルス感染対策として学校の休校が実施され子供たちの「学習の場」の維持が大きな問題として浮上していますが、鷹ですら適切な時期に適切なカリキュラムに沿って学習しています。何としても将来を担う人間の子供達、若者達の学びの機会の確保も大人達が真剣に考えていかなければならない時を迎えていると感じています。 さて暑さも徐々に本格的となり、暦は大暑(たいしょ)の初候「桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)」に変っていきます。

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