本格的な暑い日々を迎える前に(半夏生)

半夏 カラスビシャク 歳時記

和風月名も水無月(みなづき)から文月(ふみづき・ふづき)と変わり、七十二候も夏至の末候・半夏生(はんげしょうず)となります。この半夏生は雑節のひとつでもありその場合は「はんげしょう」と読みます。

半夏雨

沖縄や北海道以外は梅雨末期になり各地で集中豪雨「半夏雨(はんげあめ)」が心配される時期でもあります。

この記事では、主に七十二候の「半夏生(はんげしょうず)」を中心にお話を進めていきます。

半夏生(はんげしょうず)

半夏生(はんげしょうず)とは半夏が生える時期という意味で、その半夏とは「烏柄杓(カラスビシャク)」というサトイモ科の薬草で、地中の球茎の皮を除いた部分を乾燥させたものが漢方薬となります。

ちょうどこの時期、山野や田畑のあぜ道などに生えてきます。

またこの時期は昔から夏至の後、半夏生に入る前には田植えを終わらせるものとされ農作業の大事な節目の時期とされていました。

田植え

農事の「半夏半作」ということわざにもあるようにこの時期以降に田植えをすると秋の収穫は生育が間に合わず半減してしまうと言われていました。

半夏・烏柄杓(カラスビシャク)

「半夏」は烏柄杓(カラスビシャク)という植物の別名です。

他の別名では「狐のろうそく」、「蛇の枕」とも呼ばれ、画像をご覧いただくとお分かりいただけると思いますが奇妙な形をした植物です。

半夏 カラスビシャク

このカラスビシャクは田畑にとっては雑草でしかなく、しかも地上に出ている茎を採っても地中にある球茎が残っている限り、また生えてくるので完全に取り除くことは難しかったようです。

そしてこのカラスビシャクは北海道から沖縄まで日本全国どこにでも分布しています。

半夏とヘソクリ

いきなりヘソクリの話かと思われた方もおられたと思いますが、実は「ヘソクリ」の由来はこの半夏と密接に関係しています。

へそくり

先ほども書きましたが漢方薬となる球茎から茎が取れた跡がおへそのように窪んでいたので「ヘソクリ」と呼んでいました。むかしの農家の人たちは農作業の合間に田畑にとっては雑草であるカラスビシャクを根絶するためにその球茎を掘り、貯めて薬屋に売って臨時収入を得ていたことが、現在の秘かにお金を貯める「ヘソクリ」の語源となっているようです。

半夏生(植物)

ここでややこしいのは「半夏生(はんげしょう)」という植物もあるということです。その半夏生は、暦の中の「半夏」とは全く別の植物で本州以南に自生するドクダミ科の多年草です。主に水辺や湿地に自生し穂のような白い花を咲かせます。

半夏生

半夏生(はんげしょうず)の頃に花を咲かせることから、その名が付いたという説や、葉の一部を残して白くなることから「半化粧」から名がついたという説があります。さらには葉の片側だけが白くなることから「片白草(カタシログサ)」という別名も持っています。

半夏生の食文化

土用の鰻のように半夏生の行事食もあります。地域によって鯖であったり、うどんであったり、小麦粉ともち米を混ぜてにしたものだったりしますが、関西地方では「蛸(たこ)」を食べる習慣があります。最近では徐々に全国区化していると感じます。

蛸の刺身

蛸にはタウリンという栄養ドリンクなどに含まれる成分も含まれているそうで、田植えなどに忙しかった体には、滋養の為、理にかなっている食材です。

半夏生の物忌み

この半夏生の間は、物忌みの日となり、日頃の労働を控え、静かに以後の豊作を祈りながら静かに過ごす日とされてきました。その理由として地方ごとに様々な伝承があります。

半夏の球茎は生では毒であることに由来しているのか空から毒が降ってくるから井戸に蓋をしておけとか、その日に採れた野菜は食べるのかとかいろいろありますが、今風に考えてみると大雨が降りやすいこの時期は、地下水の水質が変化したりとそれなりの理由も考えられます。

しかしながら、究極的にはそれまで麦の刈り取り脱穀、そして田植えと忙しかった体を休め暑い夏の農作業に向けて鋭気を養っておけという戒めだったのではないでしょうか。

それが半夏生の食文化にも通じているような気がしてなりません。

涼しげなおしゃれ

半夏生を過ぎると二十四節気も「小暑」「大暑」と暑さも本番の時期を迎えます。余談ではありますが、これからの暑さ本番の時期を「涼しげに」乗り越えるちょっとしたおしゃれのアイデアをお教えしておきたいと思います。

そのポイントは素材と汗対策です。

素材選び

その一番手は「麻(リネン等)」です。麻の通気性や吸汗性とともにその素材感は着ている人の着心地はもちろんのことその装いを見た人にも清涼感を与えてくれます。

麻 リネン

そしてインナーにはコットンやシルクなど着けることによって汗対策も万全なものとなります。

古より日本人が行ってきた衣替えは、6月から9月は裏地のないものになり、さらに7月と8月は薄物(絽、紗、麻などの透けるほど薄い素材)を着て、柄も水辺やその生き物などをモチーフにした涼を呼ぶ柄を用いていたようです。

今年のトレンドであるシースルー感やボタニカル柄、シャーベットカラーはこれに通じるものがありそうです。

結詞

今年も猛暑が予想されていますので装いから自他ともに涼を感じさせるオシャレを楽しんでみたらいかがでしょうか。

そして蛸の刺身でタウリンを補給して、今夜はビールといきますか・・・

七夕

次回は二十四節気「小暑(しょうしょ)」・七十二候「温風至(あつかぜいたる)」と移ります。そして五節句の一つの「七夕」を迎えます。

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