小満(しょうまん)・蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)

小満 歳時記
梅雨

20日より二十四節気は「小満(しょうまん)」、そして七十二候は「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」となります。

奄美、沖縄地方は梅雨の時期に入りましたが、植物、とりわけ作物ににとっては、大事な「雨」です。

そしてもうすぐ収穫の時期を迎える「麦」にとってはラストスパートの時となります。

小満(しょうまん)

小満

二十四節気の内でも馴染みの薄い「小満」ですが、暦便覧では「万物盈満すれば草木枝葉繁る」とあります。

陽気がよくなり、草木などの生物が次第に生長して生い茂り、木々の葉の色も濃さを増し、一段と生気をみなぎらせる頃です。

そろそろ収穫期を迎える麦も穂をつけ始めその様子を見た生産者の方々もホッと一息(ちょっと満足)という意味もあるようです。

スーマンボースー(小満芒種)

小満の次の二十四節気は「芒種(ぼうしゅ)」と移っていきますが、この時期は沖縄ではちょうど梅雨の時期となり、この時期を二つの二十四節気を合わせて「スーマンボースー(小満芒種)」と言っています。

この時期の沖縄の風物詩と言えば、やはり那覇ハーリー・糸満ハーレーではないでしょうか。

スーマンボースー

いずれも今年は新型コロナウィルスの感染拡大防止のため中止となってしまいましたが、糸満ハーレーでは例年、市内にある高台の山巓毛(サンティンモウ)で鐘が鳴らされます。この行事は今年も行われますが、この鐘「ハーレー鐘が鳴ると梅雨が明ける」と昔から言われ旧暦の4月27日(2020年は5月19日)に鳴らされます。

今年は梅雨入りしたばかりで梅雨明けの気配さえ感じられない沖縄ですが、今年は閏月が入る年ですので閏4月27日(6月18日)だとこの伝承もピタリかもしれません。

蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)

蚕起食桑 かいこおきてくわをはむ

さて、七十二候は小満の初候「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」となります。産業構造の変化に伴い、昔ほど農家の皆さんが副業として蚕を育てることも少なくなってはいますが、日本の伝統的な産業として、皇室などでも米作りと並んで、しっかりと受け継がれています。

その蚕が餌である桑の葉をたっぷり食べてスクスクと育つのは丁度今の時期です。

最近、蚕を見たことがないという方も増えてきているようですが、蚕はカイコガという蛾の仲間の幼虫で一般の蛾や蝶のように幼虫からサナギになって羽化して成虫になるというプロセスをたどるのですが、実はとても不思議いっぱいの昆虫なのです。

その一番はその出自というか起源です。なぜならば「蚕」は野生には一切存在しないということです。

その過程にはクワコという現在の蚕の兄弟分のような昆虫から変異したという説や現在でも知られていない未知の昆虫から変異したものとか諸説あり現代科学でも未解明と言っていいのです。

ただハッキリしていることは蚕は、動物で言えば完全に家畜化された生き物で、自力では生きていくことができないという変わり種なのです。ちなみに蚕を一頭(蚕の数え方は「匹」ではなく動物のように「頭」で数えるそうです)、外の桑畑の木に乗せてあげても桑の葉を探そうともせず飢え死にしてしまうし、一風吹けばつかまり切れずに吹き飛ばされてしまいます。また色が白いため外敵に捕食され、いずれにしても生き残ることができないのです。

それで野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜動物で「家蚕(かさん)」とも呼ばれています。

また蛾の姿をした成虫になっても羽根があっても体が羽根に比べて大きく飛ぶための筋肉が退化しているため羽ばたくだけで飛ぶことができず、なんとも情けない(?)昆虫なのです。しかしながら成虫の黒く丸い目や櫛のような触覚、そしてモフモフ感満点の羽毛に覆われた体など最近では秘かなファンが増えているようです。

養蚕の歴史

養蚕

蚕を飼育し、サナギを包んだ繭から糸を採ることを生業とするのを養蚕といいますが、その歴史は古く5000年以上前から中国で行われていたと推定されています。

日本では弥生時代には中国大陸から伝わりました。その後日本でも輸出品として一大産業となり明治に入ると現在、世界遺産にも登録されている「富岡製糸場」など殖産興業の柱となっていきました。

現在では安価な化学繊維に押され、その手間からコストパフォーマンスが低下し養蚕農家は減少の一途をたどっています。

絹・シルク

繭玉

蚕の繭から採れる同じ太さの鋼鉄線より強いと言われています。そんなスーパー繊維の絹について少しお話ししておきます。

絹は肌に優しい?

絹はもちろんタンパク質で出来た天然繊維の上、その成分はお肌の成分に近いアミノ酸が結合した純粋なタンパク質繊維です。

絹 シルク

さらに吸放湿性と保温性を兼ね備えているので着心地良く、夏は涼しく、冬は暖かいオールラウンド繊維なのです。

さらに絹には紫外線カットの働きもありそのカット率は90パーセント前後あると言われています。

絹製品の扱い方

絹の製品は結構高価ですよね。

素材の素晴らしさでもその価値は十分あるとは思いますが、せっかく懐を少々傷めて買ったものですから大切に着続けたいものです。

絹の弱点は「摩擦に弱い」ということです。

そこで洗濯には注意が必要です。

注意点

その基本は無精せず手洗い!!です。

・30℃前後のぬるま湯で洗う

中性洗剤を使う

・ゴシゴシと洗わず、汚れを振り落とすように押し洗い

・強く絞らない

・そのまま陰干し

こんなことを注意するだけで長持ちするそうですよ。

結詞

新型コロナウィルスの感染拡大防止のために行われた外出自粛や営業自粛も緊急事態宣言の解除された39県では徐々に収束に向けての最初の一歩を踏み出したようです。自粛疲れのストレスからも少しは解放されそうで、ちょっとだけ気分が上向きになってきています。正しく「小満」です。

梅雨の晴れ間

しかしながら油断は禁物です。効果的な医薬品やワクチンが出来、インフルエンザ程度にまでなるまでは、心の中の「用心」は続けていきたいものです。

次回は小満の次候「紅花栄(べにはなさかう)」です。

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