九州八十八ヶ所百八霊場 第一番札所 南岳山 東長密寺

スポンサーリンク
南岳山 東長寺 九州三十六不動尊霊場
スポンサーリンク
南岳山 東長寺

さていよいよお遍路を始めましょう。お遍路ではその始めを「打ち始め」といいます。
まずは「九州八十八ヶ所百八霊場」に沿って遍路旅を進めてまいります。
九州八十八ヶ所百八霊場の第一番札所は福岡市内にある「南岳山 東長寺」です。

『概略』

南岳山 東長密寺

別称

福岡大仏 密教東漸最初霊場

創建

大同元年(806年) 弘法大師空海

宗派

真言宗九州教団

ご本尊

十一面千手観音立像(九州八十八ヶ所百八霊場本尊)
(お御影)

九州八十八ヶ所百八霊場第1番 東長寺 御影

ご真言

おん ばざら たらま きりく

ご詠歌

み教えを東に長く伝えんと 初に開きし南岳の寺

住所・連絡先

福岡県福岡市博多区御供所町2-4 TEL 092-291-4459
地図

アクセス

JR博多駅より徒歩10分
地下鉄空港線「祇園駅」1番出口すぐ
車の場合 都市高速2号線「呉服町出口」より蔵本交差点を左折、大博通りを博多駅方面に向かう。注 博多駅方面から来た場合大博通りは右折不可。
駐車場 境内に沿って駐車場有・境内にも駐車可。

他の霊場札所

九州三十六不動尊霊場第三十六番

霊場ご本尊

本堂ご本尊左隣の不動尊

九州三十六不動尊霊場 第三十六番札所 東長寺 朱印
九州三十六不動尊霊場 第三十六番札所 東長寺 色紙
ご真言

のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろ しやだ そわたや うんたらた かんまん

ご詠歌

み教えを東に長く伝えんと 初に開きし南岳の寺

九州二十四地蔵尊霊場第二十二番

霊場ご本尊

仁王門脇の地蔵堂内、立江智慧地蔵尊

九州二十四地蔵尊霊場 第二十二番札所 東長寺 智恵地蔵 朱印
ご真言

おん かかかび さんまえ そわか

ご詠歌

もろびとの拝むまごころ聞きとどけ 助け給える智慧のお地蔵

九州八十八ヶ所百八霊打ち始めの寺

唐の青龍寺恵果阿闍梨から真言密教を受け継ぎ、大同元年(806)に唐から戻った弘法大師・空海が、その密教の教えが東に長く伝わるようにと願ったところであり、大師創建のお寺としては最も古いお寺です。

九州八十八ヶ所百八霊場は、弘法大師入定1500年と記念して開創されました。
当初は(私が遍路をスタートした時点)「八十八ヶ所霊場」として始まり、四半世紀の時を経て霊場会の関係者の方々のご努力もあり、平成22年に開創当初からの構想である「百八霊場」として新たにスタートした霊場です。

全国に弘法大師所縁の霊場がありますが、そのほとんどが四国八十八ヶ所の「写し霊場」であるのに対して九州八十八ヶ所百八霊場は独自の霊場として大師が帰朝後初めて建立した一番札所の「東長寺」から初めて修業した八十八番「鎮国寺」そしてその奥の院(百八番)を結び、道中、空海が唐へ旅立った「田ノ浦」も遺跡として札所となっているという九州全域に及ぶ壮大な百八煩悩消滅と生善の道場です。

かといって難行苦行の遍路ではなく、昔から地域に根付いた篤い信仰心の中で醸し出される安らぎと活気が各札所では感じられ、と同時に道中には温泉地、旧跡、観光地、景勝地が点在していて雄大な自然、九州の歴史などにも触れあえる奥深い巡礼旅にもなっています。

さて一番札所「東長寺」の話に戻します。

弘法大師・空海は20年の留学期間を2年で切り上げ帰国したため、朝廷は大同4年(809年)まで入京を許しませんでした。そのため、入京の許しを待って数年間(3年近くと、いわれています)、大宰府の観世音寺九州西国霊場第三十三番札所)などに滞在することを余儀なくされました。
その間、お経や法具などを整理しながら教えを広める構想を練っていたと思われます。

そしてその間に「密教東漸」を祈願するため建立したのが「東長寺」です。
そのため「密教東漸最初道場」とも称されています。

JRの九州の玄関口である博多駅より北西に真っ直ぐ伸びる大博通りに面して仁王門が立っています。

九州八十八ヶ所百八霊場 東長寺 仁王門

境内に入り左手に進むと入母屋造も壮大な本堂があります。
本堂に入ると正面中央に筒状の厨子が安置されていて、その中にご本尊の「十一面千手観音立像(秘仏)」安置されています。
右手には弘法大師、左手には「九州三十六不動尊霊場三十六番札所の霊場ご本尊の不動明王が奉安されています。

九州八十八ヶ所百八霊場 東長寺 本堂

本堂での参拝を終えて、寺務所を挟んで右手にあるお堂の二階に上がると、木造坐像としては日本一の釈迦如来様が、密教で定にはいったことを示す定印をを結んで座しておられます。
その高さは10.8メートル、光背は16メートルにも及びます。
像高の10.8メートルは煩悩の数、108に因んだとも言われています。

そしてその基壇内部には「地獄極楽めぐり」が体験でき、入り口から下っていくと、おどろおどろしい地獄絵巻のレリーフの先があり、その先の真っ暗闇な通路を壁をたよりにを進むと、腰の高さにある「仏の輪」に触れることができます。この輪に触れることが出来れば、仏様と縁が結ばれ極楽に行けるそうです。

また大仏様の隣のホールには貴重な寺宝も展示されています。

さて再び境内に戻ると色鮮やかな五重塔が目に入ります。
平成23年に完成したもので、純木造総檜造りの美しい姿をみせています。
5階の瓦のすぐ上にある相輪の伏鉢に空海が持ち帰ったと言われるお釈迦様の骨(仏舎利)が納められているそうす。

その五重塔の左手に木々に囲まれ静寂が一層際立った一角があります。
江戸時代にこの地を治めた黒田五十二万石の「黒田家」の菩提寺となり、二代忠之公、三代光之公、八代治高公の墓所が大きな五輪塔として現存しています。

九州八十八ヶ所百八霊場 東長寺 黒田家墓所

東長寺の伽藍は比較的鉄筋の建物が多いのですが、境内中ほどに趣のある鄙びた木造のお堂があります。
宝形造に二重屋根の六角形のお堂でその形から「六角堂」呼ばれています。
市の文化財にも指定されていて、内部にある六角形の仏龕(ぶつがん:仏像を安置する厨子)には六体の仏像が奉安され、回転式の転輪蔵となっています。
その厨子の扉にも臨済宗中興の祖といわれる仙崖和尚の書をはじめとする文人墨客の書画が残されています。
平素は扉が閉められていますが、毎月28日の不動護摩供えの日と博多ライトアップウォークの際には開帳されます。

九州八十八ヶ所百八霊場 東長寺 六角堂

参拝をほぼ終え、仁王門へ向かうその手前脇にひっそりと小さな地蔵堂があります。
こちらが「九州二十四地蔵尊霊場二十二番札所の霊場ご本尊で福徳と知恵を未来永劫に祈る「立江智恵地蔵」様が祀られているお堂です。

南無大師遍照金剛

この記事を書き終えて、遍路のきっかけとなった初めての参拝から、桜の季節の花まつり(お釈迦様の誕生祭)、博多祇園山笠や博多ライトアップウォークの折など度重なる参拝を思い返しています。
東長寺のご朱印をいただいたことがきっかけで、八十八ヶ所以外にも様々な霊場巡りを始め、今では1ヶ寺1ヶ寺、1社1社が私を変えていってくれているような気がしてなりません。
これからも、1ヶ寺1ヶ寺、1社1社を大切に遍路の旅を続けていきたいと心を新たにしました。

次回は第二番札所「華香山 般若院」をお伝えしていきます。

松月庵 般若院 福岡 九州八十八ヶ所百八霊場 第二番札所

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道を成じょうぜんことを 合掌

コメント