九州四十九院薬師霊場 第五番札所 右芳山 薬師院

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九州四十九院薬師霊場 第五番札所 右芳山 薬師院 九州四十九院薬師霊場
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薬師院は鞍手の町が一望できる荒五郎山の中腹にあります。創建は山口県の豊浦の里に願成院と称していたそうで、その後、安土桃山時代に当地に移転してきたと伝わっています。しかし、資料がないため、確かな縁起は定かではありません。

九州四十九院薬師巡礼より

霊場本尊・薬師如来について

薬師如来は、正しくは薬師瑠璃光如来といいます。
日光菩薩、月光菩薩の脇士と十二神将が一体となって、仏の心「慈悲の心」を表しています。即ち、私たちの病気の苦しみを除いて、安楽を与えてくださる現世利益の「ほとけさま」です。
薬師如来が説法している時の手の相(印相)、右手は施無畏印で、わたしたちの色々と恐れおじる心を取り除き、安心させてくれるサインです。
痛いところへすぐ右手が飛びます。これが「手当て」です。手の指には仏の世界でいう仏の名があり、薬指が薬師如来です。施無畏印で薬指を少し前に出すことで薬師如来を象徴しています。

左手は与願印で、平安時代以後の薬師如来は薬壷を持っておられます。
くすりつぼは、人の寿命を延ばす意味をもつといいます。現代人は薬によって病気が治ると頼りがちでありますが、病気を治すのは、私たちの体内にある自然治癒力が最も肝心です。

医療や薬品は、その自然治癒力を高め、援助する役割を持つのであります。「病は気から」とも言います。この治すという「気力」をバックアップしてくれるのが、お薬師様です。
私たちが病気になったとき、その病気をおそれず、医薬の効果を高め、強く生きる力を与えてくださいます。その上に、「病気の善用」も諭していただけるのです。
お薬師信仰を深めることは、健康で、病気を苦にすることなく、安楽で、幸せな日暮らしが期待できるのです。

病の苦しみを救う、寿命を延ばす、そして貧困からの救済等々十二の大願を成就して如来となられた仏様です。
尊像は病気平癒や延命を願って作られたものが多いため、左手に万病に効く薬が入っている薬壺(やっこ)をお持ちになっておられます。
また薬師像は三尊像としてお祀りされることも多く、その際は脇侍に日光・月光菩薩の二尊が従われることが多く、さらに眷属として十二神将も従えることもあります。

薬師の十二大願

1.光明普照
 自らの光で三千世界を照らし、あまねく衆生を悟りに導く
2.随意成弁
 仏教七宝の一つである瑠璃の光を通じて仏性を目覚めさせる
3.施無尽物
 仏性を持つ者たちが悟りを得るために欲する、あらゆる物品を施す
4.安立大乗 
世の外道を正し、衆生を仏道へと導く
5.具戒清浄
 戒律を破ってしまった者をも戒律を守れるよう援ける
6.諸根具足
 生まれつきの障碍・病気・身体的苦痛を癒やす
7.除病安楽 
困窮や苦悩を除き払えるよう援ける
8.転女得仏
 成仏するために男性への転生を望む女性を援ける
9.安立正見
 一切の精神的苦痛や煩悩を浄化できるよう援ける
10.苦悩解脱
 重圧に苦しむ衆生が解き放たれるべく援ける
11.飽食安楽
 著しい餓えと渇きに晒された衆生の苦しみを取り除く
12.美衣満足
 困窮して寒さや虫刺されに悩まされる衆生に衣類を施す

ご真言

おん ころころせんだり まとうぎ そわか

『概略』

右芳山 薬師院
(霊場御朱印)

別称

荒五郎山(あらごろうさん)

創建

不明

宗派

高野山真言宗

ご本尊

薬師如来坐像(寺ご本尊)

ご詠歌

薬師仏 願へ人々 身の病 心の病 癒えざるはなし

住所・連絡先

福岡県鞍手郡鞍手町古門1584 TEL 0949-42-2331
(地図)

アクセス

JR鹿児島本線「遠賀川」駅よりタクシーにて10分
JR筑豊線「鞍手」駅または「筑前垣生」駅よりタクシーにて5分
自家用車の場合、九州自動車道「若宮」インターチェンジより鞍手、中間方面へ15分
門前に駐車場あり

別称 荒五郎山(第五番札所 右芳山 薬師院)

薬師院は鞍手の町が一望できる旧底井野往還の難所、荒五郎山の苦ヶ峠の上に斜面に寄り添うように伽藍を構えています。

薬師院は土御門天皇の代(1198-1209)に山口県の豊浦の里に創建し右芳山願成院と称していたそうですが、確かな資料が無く縁起の程は定かではありません。
当時は長門藩毛利家の信敬篤く寺門は隆盛を極めていたようです。
その後、安土桃山時代に当地に移転してきたと云われてます。

明治元年(1868年)廃仏毀釈により、薬師院も廃寺の危機に襲われたが、檀信徒たちの篤い信仰心により救われました。
大正2年(1913年)古門の依藤与蔵氏が村人と諮り、私領を荒五郎山区有地と交換して堂宇を建立し薬師瑠璃光如来を安置しました。

九州四十九院薬師霊場 第五番札所 右芳山 薬師院

本堂は最近再建され、古色然とした旧本堂に並ぶようにあります。
庫裡にお声をかけ参拝の旨をご住職にお伝えすると、気さくな感じで本堂に上がられてお参りしてくださいとご案内くださいました。

ご本尊の薬師如来が納められた厨子の扉には彩色された日光菩薩、月光菩薩が描かれています。
その他にも十二神将、大日如来、不動明王、弘法大師が祀られています。

境内には本堂以外の堂宇で、荒浪稲荷社、生目神社、鐘楼堂、納骨堂などがありました。

南無大師遍照金剛

境内には、多数の石仏が安置されていますが、不動明王像・大日如来像はかなり個性的なお姿をされておられる。


また、鐘楼堂の傍に「高野山遥拝の碑」が建っています。

弘法大師は
『吾が教えに背く者は仏弟子に非ず、金剛子に非ず、蓮華子に非ず、菩薩に非ず、声聞子に非ず、吾が弟子に非ず、我もまた彼の師に非ず』
と遺誡されましたが、参拝後境内を散策すると十三佛などには高野槇が供えられ、大師の教えを堅持し、大師を慕うご住職の姿勢が偲ばれます。

九州四十九院薬師霊場 第六番札所 広寿山 福聚寺

次回は九州四十九院薬師霊場第六番札所「広寿山 福聚寺」をお伝えしてまいります。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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