港の入り口に、虚空蔵菩薩を奉る児島山を有する遠洋漁業の基地の港町、目井津。
その町の西の山腹に西明寺はあります。
西明寺のご本尊は、勝軍地蔵菩薩をお奉りしています。このご本尊、廃仏毀釈以前は南郷町内榎原神社に奉られていた仏様で、信仰深い方のおかげで難を逃れ、西明寺にてお奉りすることになった仏様です。
西明寺の境内には、JR日南線が通っております。ご参拝の際には、十分気をつけて下さい。
先述の虚空蔵菩薩は、西明寺の奥の院にお祀りされています。
『概略』
法雲山 西明(さいめい)寺
(御朱印)
創建
明治末期 再興 瑞泉和尚
宗派
高野山真言宗
ご本尊
勝軍地蔵菩薩半跏像
(お御影)
ご真言
おん かかかび さんまえい そわか
勝軍地蔵について
根本社である京都市右京区嵯峨(さが)愛宕町の愛宕山に鎮座しています。
神仏習合に伴って修験(しゅげん)者の霊場として栄えてから、祭神は愛宕権現(ごんげん)太郎坊とよばれ、姿は天狗(てんぐ)と信じられていました。
その本地仏として勝軍地蔵が祀られるようになり、これに念ずれば、必ず戦いに勝ち、宿業・飢饉 (ききん) などを免れるといわれ、鎌倉時代以降に武家に信仰されました。
さらに、悪業煩悩に勝つとして中世の信仰、特に足利将軍から崇拝されました。
民間では愛宕神社の祭神にかかわる火伏せ、防火の神として信仰されていました。
奥の院ご本尊
虚空蔵菩薩
ご真言
のうぼう あきゃしゃきゃらばや おんありきゃ まりぼり そわか
住所・連絡先
宮崎県日南市南郷町中村乙4943-1 TEL 0987-64-0154
(地図)
アクセス
JR日南線南郷駅から徒歩10分
日南から虚空蔵島を左に見て、国道220号線を南郷の町中に入ると、裏手に本堂が見える。
境内手前に駐車場あり
ご詠歌
法の雲 西方浄土にたな引きて 六道を明らす 南無地蔵尊
境内を線路が横切る(第四十番 西明寺)
日南から日向灘に沿ってさらに南下すると南郷町に入ります。
国道から高台に向け民家の間を抜けて少し入ると西明寺の駐車場です。
この駐車場と境内の間にJR九州日南線の線路が横切っていて、境内の中に線路が走っているという感じです。
西明寺はかつて法雲山延命寺と称していて禅宗の飫肥報恩寺の末寺だったそうですが、明治の廃仏毀釈によって廃寺状態となっていました。
明治末期の瑞泉和尚の時、真言宗の周鏡法印に師事し真言宗の西明寺として復興しました。
そして高野山開創千百五十年にあたる昭和39年に本堂や庫裡などが建てられました。
さらに本堂は昭和59年に改築され、現在の朱色のラインも鮮やかに真っ白なとても爽やかな印象のお堂となりました。
西明寺のご本尊は勝軍地蔵菩薩をお祀りしているそうで、また奥の院である近くの虚空蔵島(児島山)には虚空蔵菩薩が安置されています。
南無大師遍照金剛
西明寺奥の院の虚空蔵堂はご本尊として虚空蔵菩薩がお祀りされています。
1626年、飫肥(おび)城主、伊東修理大夫祐慶の母である慶因(松寿院殿)が、住持比丘昌悦禅師に命じて、御堂を建立し、虚空蔵菩薩を祀ったのが始めだそうです。
後に、その松寿院殿の菩提を弔うためと併せて海上安全、大漁満足 国家豊饒、下繁栄の為に奉られるようになりました。
毎年、旧暦の6月12日13日には、町を上げての祭りが開かれています。
次回は九州八十八ヶ所百八霊場第四十一番札所「松林山 天長寺」をお伝えします。
願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌
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