九州八十八ヶ所百八霊場 第三十三番札所 吉祥山 永願寺

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九州八十八ヶ所百八霊場 第三十三番札所 吉祥山 永願寺 九州八十八ヶ所百八霊場
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創建は、平安時代にさかのぼり、嘉祥元年(848)に江田城主草野大膳弘利が四海安徳を祈願して、能円了孝和尚によって開山しました。
御本尊「薬師如来像」は奈良時代の高僧・行基の作とも伝えられています。薬師如来は修行中、人の生存をまっとうし、衣食住の生活を安穏にし、病苦不具などを祓うとしてこの12の大願をたてた、この事から万病を治し、人の寿命を延ばし、医薬を司る仏として信仰されてきましたが、まさに現在も多くの人々に敬拝されています。
九州八十八か所百八霊場~九州を周る「心巡り」の旅~より

『概略』

吉祥山 永願寺
(御朱印)

創建

嘉祥元年(848年) 江田城主 草野大膳弘利 開基
           能円了孝 和尚 開山

宗派

真言宗 醍醐派

ご本尊

薬師如来立像(九州八十八ヶ所百八霊場ご本尊)
(お御影)

ご真言

おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

薬師如来について

病の苦しみを救う、寿命を延ばす、そして貧困からの救済等々十二の大願を成就して如来となられた仏様です。
尊像は病気平癒や延命を願って作られたものが多いため、左手に万病に効く薬が入っている薬壺(やっこ)をお持ちになっておられます。
また薬師像は三尊像としてお祀りされることも多く、その際は脇侍に日光・月光菩薩の二尊が従われることが多く、さらに眷属として十二神将も従えることもあります。

薬師の十二大願

1.光明普照
 自らの光で三千世界を照らし、あまねく衆生を悟りに導く
2.随意成弁
 仏教七宝の一つである瑠璃の光を通じて仏性を目覚めさせる
3.施無尽物
 仏性を持つ者たちが悟りを得るために欲する、あらゆる物品を施す
4.安立大乗 
世の外道を正し、衆生を仏道へと導く
5.具戒清浄
 戒律を破ってしまった者をも戒律を守れるよう援ける
6.諸根具足
 生まれつきの障碍・病気・身体的苦痛を癒やす
7.除病安楽 
困窮や苦悩を除き払えるよう援ける
8.転女得仏
 成仏するために男性への転生を望む女性を援ける
9.安立正見
 一切の精神的苦痛や煩悩を浄化できるよう援ける
10.苦悩解脱
 重圧に苦しむ衆生が解き放たれるべく援ける
11.飽食安楽
 著しい餓えと渇きに晒された衆生の苦しみを取り除く
12.美衣満足
 困窮して寒さや虫刺されに悩まされる衆生に衣類を施す

日光菩薩・月光菩薩

この二尊はそれぞれ単独で信仰されることはありません。
常にペアで薬師如来様をお護りされています。
通常は向かって右側(左脇侍)に日光菩薩左側(右脇侍)に月光菩薩が左右対称に配されています。
日光菩薩は日光遍照とも呼ばれ、千の光を放ち天下を照らし衆生を救済するお役目があります。一方、月光菩薩は月光遍照とも呼ばれ、薬師如来様の正しい教えを守るお役目を担っておられます。
両菩薩ともに衆生の不安や苦しみ、謂わば闇の部分に昼夜分かたずひかりを照らしておられます。
その象徴として、日光菩薩は太陽・日輪、月光菩薩は月・月輪を手にして蓮華にのせられています。(宝冠に太陽、月を表す場合もあります)

日光菩薩 ご真言

おん そりや はらばや そわか

月光菩薩 ご真言

おん せんだら はらばや そわか

十二神将

薬師如来様に付き従うガードマン的存在の一団です。
と同時に経典を読む人々を守るという役目も担われています。
十二神将は、薬師如来の十二の大願に応じて、それぞれが昼夜の十二の時、十二の月、または十二の方角を守るといわれています。そのため中国や日本では十二支が充てられています。その割り当てには解釈の違いによって諸説ありますのでご注意ください。当ブログでは混乱を避ける意味から、敢えて割り当てられた十二支は省かせていただいております。
平安時代以降、頭上に標識として干支の動物を掲げている像が一般化され、十二支の彫刻がないものを古様、あるものを新様といいます。
さらに十二神将にはそれぞれ如来・菩薩・明王が化身されたものと言われています。

十二神将とご真言

宮毘羅大将(金毘羅童子、宮比羅)(くびらたいしょう)
   おん くびら そわか

伐折羅大将(金剛力士)(ばさらたいしょう)
   おん ばさら そわか

迷企羅大将(めきらたいしょう)
   おん めきら そわか

安底羅大将(あんてらたいしょう)
   おん あんて(ち)ら そわか

頞儞羅大将(あんにらたいしょう)
   おん あんにら そわか

珊底羅大将(さんていらたいしょう)
   おん さんて(ち)ら そわか

因達羅大将(帝釈天)(いんだらたいしょう)
   おん いんだら そわか

波夷羅大将 (はいらたいしょう)
   おん はいら そわか

摩虎羅大将(まこらたいしょう)
   おん まこら そわか

真達羅大将(緊那羅)(しんだらたいしょう)
   おん しんだら そわか

招杜羅大将 (しょうとらたいしょう)
   おん しょうとら そわか

毘羯羅大将(びからたいしょう)
   おん びから そわか

住所・連絡先

宮崎県東臼杵郡門川町大字加草2321-2 TEL 0982-63-1605
(地図)

アクセス

アクセス
JR日豊本線門川駅下車、徒歩7分
延岡方面から延岡南道路か国道10号線を南下、左が海になったあたりで、右側に本堂が見える。川を渡ってすぐ右折、さらに線路を過ぎて右折する。
山門下および境内裏に駐車場あり

ご詠歌

この世から 後の世かけて 願いおく お山さながら 浄土なるらん

不屈の修験道とともに(第三十三番 永願寺)

延岡から少し南下すると門川町。
鎌倉時代初期にこの地を支配していた門川氏がこの町の地名の由来だそうです。

永願寺の創建は平安時代にまで遡ります。
江田城主草野大膳弘利が「四海安徳」を祈願するため能円了孝和尚を招き中村受(うけ)に建立しました。

以来山岳修験の道場として最盛期には十二坊を数えるほど繁栄しましたが、やはり明治の神仏分離と修験道禁止令により永願寺も一時的には後退しました。

明治28年に現在地である加草の地にに移転して再興。
かつての地(現、門川ダムの近く)には「永願寺奥の院」として薬師堂があり、移転時に残された行基作の薬師如来と十二神将が安置されているそうです。

移転後の永願寺は高台に境内があり、本堂裏まで普通車ならば上ることもできますが、私のお勧めは、山門下の駐車場に車を停めて、やや急ですが、手すりも付いているので、ゆっくりと登ることもできる石段を登っての参拝です。
この入母屋造の山門へ続く石段は「厄除坂」となっているので、私も厄難を落としながら登りました。

登り詰め山門をくぐると右前方に白い鉄筋コンクリート入母屋造の本堂が重量感を感じさせつつ建っています。

九州八十八ヶ所百八霊場 第三十三番札所 吉祥山 永願寺

堂内の本尊・薬師如来は秘仏となっていて、直接拝することは出来ませんでしたが、内陣左手に「布袋尊」が安置され、日向之国七福神の一つとなっています。

南無大師遍照金剛

若干の緑を配し、こじんまりとまとまった境内には子宝観音などの石仏も点在し、南国宮崎の日差しの中、とても清浄な空気に充たされたお参りができました。

九州八十八ヶ所百八霊場 第三十四番札所 宝珠山 中野寺

次回は第三十四番札所「宝珠山 中野寺」をお伝えしていきます。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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