雷山 千如寺 大悲王院

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九州三十六不動尊霊場
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雷山 千如寺 大悲王院

雷山観音の通称で親しまれている千如寺は、天竺から渡来した清賀上人の開創と伝えられています。ご本尊の十一面千手観音は清賀上人の敬刻といわれ、国の重文指定を受けています。また、本堂前庭には大きな楓の木は、大悲王院建立記念に植樹されたものといわれています。

九州西国霊場~より

九州でも有数の古刹ゆえ、千如寺大悲王院九州八十八ヶ所百八霊場第八十二番札所九州西国霊場第二十九番札所九州三十六不動尊霊場第二十八番札所となっています。

『概略』

雷山 千如寺 大悲王院
(御朱印)

別称

雷山観音

拝観料(入山料含む)

大人(高校生以上) 400円(内入山料100円)
子ども(中学生以下) 無料

外庭、大楓のみ見学の場合は入山料のみ

創建

成務天皇48年(178年) 清賀上人

宗派

真言宗 大覚寺派

ご本尊

十一面千手観音立像(九州八十八ヶ所百八霊場ご本尊)
(お御影)

ご真言

おん ばざら たらま きりく

千手観世音菩薩について

別名 千手千眼観自在菩薩(せんじゅせんげんかんじざいぼさつ)とも言い、生きとし生けるものすべてを漏らさず救う、大いなる慈悲を表現する菩薩です。千の手と手のひらの千の眼によってどんな願いも見落とさず、悩み苦しむ衆生を見つけては手を差し伸べる広大無限な功徳と慈悲から「大悲観音」、または観音の王を意味する「蓮華王」とも称されます。
蓮華王とは泰三界曼荼羅で観音が配される場所である「蓮華部」の中で、最高位となっています。
阿修羅や金剛力士などが属する二十八部衆を配下とします。

千手観音は、人々を救うための手が多い分、得られるご利益も多いと考えられています。そのため、災難除け、病気平癒などあらゆる現世利益を網羅しているのです。
そのご利益です。
厄災厄除・苦難除去・病魔退散・悪疫守護・諸願成就・平穏無事・頭痛平癒・病気(難病)平癒・奇病快癒

さらに、夫婦円満や恋愛成就、安産や子宝成就にも功徳があるとされていて、後生善処(ごしょうぜんしょと読みます。亡くなったあと来世でも幸せに過ごせることを言います。)などのご利益もあります。

また六観音(聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・准胝観音または不空羂索観音・如意輪観音)の一つに数えられ餓鬼道に迷う人々を救うといわれています。
餓鬼道に生まれ変わる人は、生前に自己中心的な生活を送っていたり、欲望のままに生きていた人々で、ノドの渇きも潤せず、食べることが叶わないため渇きと餓えに苦しみ続けると言われています。

住所・連絡先

福岡県糸島市雷山626番地 TEL 092-323-3547
(地図)

アクセス

福岡前原道路 前原インターより 車で約15分
JR筑肥線筑前前原駅より 車で約20分
JR筑肥線筑前前原駅より糸島市コミュニティバス雷山観音前行、終点下車、徒歩5分
門前に駐車場(110台)あり

ご詠歌

あまのはら うちとどろかし なるかみの こえもきえゆく ちかいとぞきく

他の霊場札所

九州西国霊場 第二十九番札所

霊場ご本尊・観音堂内
 ご詠歌 あまのはら うちとどろかし なるかみの こえもきえゆく ちかいとぞきく
 ご真言 おん ばざら たらま きりく
(御朱印)

九州三十六不動尊霊場 第二十八番札所

霊場ご本尊・観音堂内 道中守り不動
 ご詠歌 いかずちの みねにまします ふどうそん よろずのねがい ききてもらさじ
 ご真言 のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろ しやだ そわたや うんたらた かんまん
(御朱印)

(色紙)

こちらの霊場ご本尊は、九州西国霊場のご本尊の「十一面千手観音(雷山観音)」様の脇仏として観音様の向かって左下に立っておられます。
天台宗の智証大師が平安後期に彫ったものと伝わっています。
丈六の観音様に比べればやや小ぶりながら憤怒の表情で「しっかり精進しなさい」と叱咤激励されているような気がしました。
昔はこのお不動様も「宝池坊」という当時300あったと言われる雷山一帯のお堂のひとつに安置されていたそうですが、明治の神仏分離令により千如寺並びに宝池坊も廃寺となり、安置されていた仏像は「大悲王院」に引き継がれたそうです。

九州の指折りの古刹(雷山 千如寺 大悲王院)

福岡、佐賀両県にまたがる背振山系の雷山(標高955m)の中腹に位置する千如寺は、仏教公伝前の成務天皇48年(148年)インドの僧清賀上人によって開創されました。鎌倉時代には、北に玄海灘を臨む位置にあるため、元寇に対する最前線の祈祷寺院として栄え、最盛期には七堂伽藍が整えられ、300の僧坊があったと伝えられています。

その後、室町から戦国の長い戦乱の中で、僧坊は荒廃し、千如寺のみを残すのみとなりましたが、宝暦3年(1753年)福岡藩主の黒田継高公によって大悲王院が建立されました。
本堂前庭には大きな楓の木が一本あり、

千如寺大悲王院は別名「雷山観音」と呼ばれ、神仏分離令以前は大悲王院より車でさらに10分ほど上ったところにある層(曽)増岐(そぞぎ)神社(雷山は別名層増岐山とも呼ばれていました)の上宮・中宮・下宮のうち、中宮として雷神社は鎮座しています。

雷山の歴史は古く、神代の時代、地主神である水火雷電神(雷大権現)が一夜のうちに山を削り、岩を砕いて雷音寺を建立、そして神功皇后が朝鮮出兵の折、戦勝を祈願したのが始まりで、148年に雷大権現の招きで天竺霊鷲山(インド)の僧・清賀上人が創建したと伝えられています。
雷音寺は後に千如寺と称するようになりました
雷神社の祭神は、水火雷電神・高祖宮・神宮皇后・住吉大明神・八幡大神です。
その雷神社の神宮寺であった千如寺に観音堂がありましたが、明治維新の神仏分離令による廃仏毀釈の波には逃れようになく、各坊は廃止され、大悲王院のみが存続して、本尊を始め全ての仏像、古文書等は大悲王院に移され、現在は雷山千如寺大悲王院と称し、千如寺の法灯は大悲王院によって守り伝え、現在に至っています。

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さて九州でも有数の古刹ゆえ、その歴史に触れるのにだいぶ文字を割いてしまいましたが、山門脇より境内へと進むと枯山水の庭園の中に福岡県指定天然記念物ともなっている楓の大木があり、宝暦2年(1752年)に藩主黒田継高公が現在の大悲王院建立記念に植樹されたものといわれ、福岡県指定天然記念物となっています。
初夏には新緑が目に清かで、秋の紅葉も楽しめ、多くの観楓客でも賑わいます。

雷山 千如寺 大悲王院

その庭園の先、右手に入母屋造妻入に入母屋造の向拝をつけた大悲王院の本堂が建っています。
こちらは、元からある大悲王院の観音堂で、現在は本堂となっています。
本堂のご本尊は江戸時代の作になる千手観音坐像で、他に毘沙門天半跏像不動明王坐像吉祥天像弁財天像などが安置されています。

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本堂向かいには、平成2年建立の仁王門がありますが、拝観料、入山料徴収のためか、この門をくぐって登ることは出来なくなっています。

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本堂参拝後、さらに進むと「聖天堂」をはさんで「七福神堂」、「虚空蔵堂」があります。
聖天堂のご本尊は、歓喜天さんで、秘仏となっています。

雷山 千如寺 大悲王院

聖天堂の右手の石段を上ると、霊場札所となっている観音堂があります。
堂内に入ると、九州八十八所百八霊場及び九州西国霊場の霊場ご本尊の十一面千手観音が安されていて、国の重文指定を受けていますが、厄除開運、無情息災、安産、子育てに霊験あらたかな観音さまとして、古くから広い信仰を集めてきました。
この尊像は清賀上人の敬刻と伝わり、鎌倉時代作丈六仏(463.6cm)で現在900近い手が残っており、実際1000の手を持つ像として作られたことが窺われます
間近に丈六のご本尊の「十一面千手千眼観世音菩薩」様を拝すると身震いするほどの霊験を感じられます。

また観音堂内陣には平安後期の薬師如来阿弥陀如来、鎌倉時代の多聞天持国天の二天像や千手観音の眷属の二十八部衆、そして九州三十六不動尊霊場の不動明王立像などが安置され仏の世界が表されています。

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僧侶の読経を聞きながら参拝を終えた後、回廊を上り観音堂の背後の「開山堂」へと向かいます。
開山堂は宝形造で、大分県の国東半島にある有名な国宝・富貴寺大堂を参考にして建立されたそうです。
堂内にはこれもまた国の重要文化財の「清賀上人坐像」が安置されています。
開山堂内には五鈷杵(ごごしょ)錫杖(しゃくじょう)が陳列されていて、手に取って鑑賞できます。

観音堂でのお参りを済ませ、回廊の途中で山の斜面にある素晴らしい景観を形づくっている「五百羅漢」を眺めながら降り、雷山に向かって歩を進めると「護摩道場」という広場に出ます。
ここで護摩が焚かれますが、役行者の像もあり神仏混交の修験道場を彷彿とさせます。

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最後に、聖天堂の裏手には藁で覆われた「風穴」があり、この風穴は芥屋大門(けやのおおと)に続き、清賀上人が風の神を封じた跡を拝見します。
これに触れるとたちまち風が起こるといわれています。

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南無大師遍照金剛

千如寺は「サムハラ」(=お守り)が有名。身代御守を買い求める方も多い
開創清賀上人が千七百数十年前に伝えたとされる秘符の御守で、常に肌身離さず護持していると一切の災難を逃れると言われています。

九州西国霊場番三十番札所 清賀山 正覚寺 油山観音

次回は九州西国霊場番三十番札所「清賀山 正覚寺 油山観音」をお伝えしていきます。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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