九州八十八ヶ所百八霊場 第十三番札所 香林山 法善寺

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本尊は木造金箔塗り5尺5寸の立像十一面千手観音です。日頃は厨子の中に安置されています。年一回、1月20日鏡開きの日にご開帳されます。脇仏として、不動明王・地蔵菩薩・弘法大師が奉安されています。
開祖智仙尼は四国八十八ヶ所を数回巡礼の後、四国八十八箇所霊場八十一番霊場白峰寺にて修行を積み九州福岡の篠栗四国八十一番札所、二瀬川観音菩薩と縁を結び、本尊の十一面千手観音菩薩を授かっています。毎月二十日を御縁日として、大念珠で光明真言を唱え百万遍の数珠くりを行っています。弘法大師の室戸岬での修行中の故事に倣って明星保育園を開設72年目(当ブログ執筆時)を迎えています。

九州八十八か所百八霊場~九州を周る「心巡り」の旅~より

『概略』

香林山 法善寺
(御朱印)

創建

大正初期 智仙尼
昭和十五年(1940年)に寺号公称。
昭和五十五年(1980年)に現在の本堂を建立。

宗派

真言宗 御室派

ご本尊

十一面千手観音立像(九州八十八ヶ所百八霊場ご本尊)
(お御影)

ご真言

おん ばざら たらま きりく

十一面千手観音について

別名 千手千眼観自在菩薩(せんじゅせんげんかんじざいぼさつ)とも言い、生きとし生けるものすべてを漏らさず救う、大いなる慈悲を表現する菩薩です。千の手と手のひらの千の眼によってどんな願いも見落とさず、悩み苦しむ衆生を見つけては手を差し伸べる広大無限な功徳と慈悲から「大悲観音」、または観音の王を意味する「蓮華王」とも称されます。
蓮華王とは胎蔵界曼荼羅で観音が配される場所である「蓮華部」の中で、最高位となっています。
阿修羅や金剛力士などが属する二十八部衆を配下とします。

千手観音は、人々を救うための手が多い分、得られるご利益も多いと考えられています。そのため、災難除け、病気平癒などあらゆる現世利益を網羅しているのです。
そのご利益です。
厄災厄除・苦難除去・病魔退散・悪疫守護・諸願成就・平穏無事・頭痛平癒・病気(難病)平癒・奇病快癒

さらに、夫婦円満や恋愛成就、安産や子宝成就にも功徳があるとされていて、後生善処(ごしょうぜんしょと読みます。亡くなったあと来世でも幸せに過ごせることを言います。)などのご利益もあります。

また六観音(聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・准胝観音または不空羂索観音・如意輪観音)の一つに数えられ餓鬼道に迷う人々を救うといわれています。
餓鬼道に生まれ変わる人は、生前に自己中心的な生活を送っていたり、欲望のままに生きていた人々で、ノドの渇きも潤せず、食べることが叶わないため渇きと餓えに苦しみ続けると言われています。

住所・連絡先

福岡県飯塚市柏の森535-3 TEL 0948-22-1032
(地図)

アクセス

JR福北ゆたか線、新飯塚駅の東南500m東口より徒歩5分
車の場合、西鉄バスセンターから麻生飯塚病院方向へ曲がり、病院に沿って右折、線路を渡ったら左折し、歴史資料館手前を右折。明星保育園隣り
境内南端に駐車場あり

ご詠歌

ありがたや 大慈の恵み 観世音 すがりて願う 法の光を

九州内、関連寺院

篠栗新四国八十八箇所霊場第八十一番札所
二瀬川観音堂

(御朱印)

福岡県糟屋郡篠栗町篠栗333 092-947-1405

本尊は四国八十八箇所霊場第八十一番札所綾松山白峯寺りょうしょうざんしろみねじ)から勧請した千手観世音菩薩。
以前の二瀬川観音堂は現在地より高い場所にありましたが、台風などで堂の傷みがひどくなったため、平成11年(1999)に道沿いの現在地に建て替えられたそうです。

堂内には金色に輝く千手観世音菩薩を中心に、十三仏他多数の仏像が所狭しと並んでいます。

ちなみに篠栗新四国八十八箇所霊場(筆者結願)は小豆島、知多とともに日本三大新四国と呼ばれる霊場で、とりわけ篠栗霊場はその中でも四国八十八箇所霊場との関わりが深く、ご本尊を四国と同じにしています。

小京都の趣の中に

飯塚は、かつては炭鉱の町として大いに繁栄した街です。
また歴史は古く弥生時代の遺跡も多く、その埋蔵品は「歴史資料館」にて保存、展示されています。
「法善寺」はその歴史資料館のすぐ近くに小さいながら掘割のような疎水に沿った白壁を有するお寺です。
境内の京風庭園など、ちょっとした小京都の寺院の趣さえ感じさせてくれます。

隣には明星保育園が併設されていて開設72年目(当ブログ執筆時)を迎えているそうです。
この保育園の名称は、弘法大師の室戸岬での修行中の以下のような故事に因んでいるそうです。

『当時19歳だった弘法大師は、まだ正式な僧侶ではなく自称の僧侶である私度僧となり、密教行者として山岳修行に身を投じ「御厨人窟」で「虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)」の厳しい行に入りました。
虚空蔵菩薩は“智恵と記憶”の菩薩で、この法を修めれば、八万四千あると言われる経典を全て記憶し智恵を授かれるというものでした。
しかも見聞きしたり知覚した全てを忘れることがないというインド伝来の驚異の記憶術でもあります。
その修行の方法は仏の言葉である真言を五十日、七十日、百日といった一定期間内に百万回唱えるといった内容のものです。
少なくとも一日一万回という過酷な行でした。

そして若き日の弘法大師は、虚空蔵求聞持法を修行していた時に明けの明星である金星が口の中に飛び込んでくるという不思議な体験をしました。
この明けの明星が口の中に飛び込んでくるという体験こそが虚空蔵求聞持法の真髄であり、明けの明星は虚空蔵菩薩の化身とされ、明星天子、大明星天王などと呼ばれることもあるので、この体験こそ虚空蔵菩薩と一体化した瞬間であり、轟音がして明星が飛来して、体が爆発して粉々に飛んでいくような物凄い体験なのです。この現象を経てこの修行を完遂したのです。
その時、洞窟の中から見た景色は空と海だけだったため、それ以後、空海と名乗るようになったと伝えられています。』

ちなみに、虚空蔵菩薩の真言は『のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おん ありきゃ まりぼり そわか』です。

さて前置きが長くなりましたが、法善寺の境内は、横に長く、白壁の一角に切妻造の山門があります。
石橋を渡って山門をくぐり、右手奥に入母屋造の本堂が迎えてくれます。

ここ法善寺は「観音」を信仰していた井上智仙尼が、大正年間に観音教会を建立したのが始まりだそうです。
その後は昭和15年(1940)から寺号・法善寺を公称し、昭和55年(1980)に現在の本堂を建立されました。
堂内内陣中央にご本尊の千手観音が厨子の中に安置され、他に地蔵菩薩、不動尊、弘法大師などがお祀りされています。

そのご本尊の千手観音については、不思議な話が伝わっています。
智仙尼が、篠栗新四国八十八箇所霊場を巡礼した時、第八十一番二瀬川観音堂で『近く妹がお世話になる』との霊示を受けたそうです。
妹とは分身を意味したのであろうと思われます。
それからしばらくして、浦野と名乗る信者の女性によって千手観音立像が寄進されたそうです。

このように智仙尼の四国での修行寺の白峰寺、篠栗の二瀬川観音堂、そして法善寺は千手観音の不思議なご縁で結ばれています

南無大師遍照金剛

法善寺の御縁日に唱えられる『光明真言』は大日如来さまのご真言で「祈りの言葉」です。また、一切諸仏諸菩薩の総真言です。

おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まにはんどま じんばら はらばりたや うん

意味は「大日如来さまにお願い致します。私たちの進む道を無量の光で遍く照らし出し、どうか成就するようお導き下さい。

この真言を一心に唱えると、すべての災禍を取り除くことができると言われています。
また、心の中に仏さまの智慧の光が満ちあふれ、たとえ暗闇で迷っていようとも導き出してくれるそうです。

次回は第十四番札所妙見山東蓮寺」」をお伝えしていきます。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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