九州三十六不動尊霊場 第五番札所 夷山 実相院

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九州三十六不動尊霊場
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九州三十六不動尊霊場 第五番札所 夷山 実相院

霊仙寺と六所神社に挟まれるように佇む実相院。境内には「耳地蔵さん」があり、病気平癒を願って多くの参拝者が訪れます。本尊の不動明王は「夷(えびす)不動」として多くの信者に親しまれています。

『概略』

夷(えびす)山 実相院
(御朱印)

別称

夷不動

創建

享保20年(1735年) 信梁法印

宗派

天台宗

ご本尊

不動明王立像(九州三十六不動尊霊場ご本尊)

ご真言

なあまく さあまんだあ ばあさら なん せんだん まあかろしゃな そわたや うんたらたかんまん(天台系・修験道系)

不動明王について

不動明王は、密教の教主、大日如来が衆生教化のため変身した明王の中では最高位の仏様です。
普段は柔和な大日如来が、優しさだけでは通用しない人々を救済するために、あえて怒りの形相をしています。
邪悪な相手には徹底的に厳しく、人が間違った道へ進もうとした時には、正しい道へと戻れるように諭してくれる存在です。
迷いの世界から煩悩を絶ちきり、仏の道を教えてくれる尊い存在なのです。

空海が日本にもたらした最初のお姿は両目を見開く恐ろしい形相で、おさげ髪のお姿でした。その後19世紀になると、「不動十九観」が定められ左目をやや閉じ、右目を開ける天地眼、上唇を下歯で噛み下唇を上歯で噛むといった特徴となりました。
そして倶利伽羅剣という宝剣と悪い心を縛り上げることにより、善き心を呼び起こさせるための羂索と呼ばれる網をもっておられます。
さらに背後には炎が立ち上げる火焔光背があります。

不動十九観とは

不動明王を心に浮かべる時、その見た目の特徴を表すもので、これを満たしたものを心に描くと理想的な不動明王の姿が描ける考えられます。

1.大日如来の化身であること。
2.真言中に「ア」・「ロ」・「カン」・「マン」の四字があること。
3.常に火生三昧に住していること。
4.童子の姿を現わし、その身容が卑しく肥満であること。
5.髪の毛の上に七沙髻があること。
6.左に一弁髪を垂らすこと。
7.額に水波のようなしわがあること。
8.左の目を閉じ右の目を開くこと。
9.下の歯で右上の唇を噛み、左下の唇の外へ出すこと。
10.口を固く閉じること。
11.右手に剣をとること。
12.左手に羂索を持つこと。
13.行者の残食を食べること。
14.大磐石の上に安座すること。
15.色が醜く、青黒であること。
16.奮迅して忿怒であること。
17.光背に迦楼羅炎かるらえんがあること。
18.倶力迦羅竜くりからりゅうが剣にまとわりついていること。
19.矜羯羅童子と制多迦童子の二童子が侍していること。

住所・連絡先

大分県豊後高田市夷1029 TEL 0978-54-3728
(地図)

アクセス

宇佐別府道路・宇佐ICより1時間
門前に駐車場あり

ご詠歌

あおがばや えびすふどうの じひのてに ひかりさやけし まことのすがた

他の霊場札所

宇佐神宮六郷満山霊場 第十五番札所
国東六郷満山霊場 第二十一番札所

病気平癒祈願の「耳地蔵」とともに(第六番札所 実相院)

夷(えびす)耶馬とも呼ばれる夷谷に挟まれた所に、霊仙寺六所神社に挟まれるように佇む実相院は、その昔は霊仙寺の守護神を祀っており、六所神社の境内にありました。
かつてこれらの敷地は一体となっており、神仏習合独特の名残が色濃く残されています。六郷満山文化を知る上でも重要なお寺です。
開創時は「実相坊」と呼ばれ、お隣の霊仙寺の境内にあり、霊仙寺の坊の一つでしたが、江戸時代初期に名を「実相院」と改めたそうです。

しかしながら、明治時代の神仏分離の政策により切り離され、現在は独立したお寺となっています。

山門をくぐると、「さぁ、よく来たね」と大きく手を広げたような屋根の本堂が佇んでいます。
堂内にはご本尊の不動明王聖観音菩薩薬師如来が奉安されています。
その尊像は1783年に坂井甚蔵によって奉納されたものだそうです。
夷不動と呼ばれる不動明王は迦楼羅焰を背に、参拝者を戒めるようなお姿で、すくっと立たれています。
ただその表情の中には厳しいだけではなく、どこか慈愛が滲んでおられるような表情をされているような気がしました。

参拝を終え境内に戻ると、香々地町内で最大の4mにも及ぶ大きな国東塔があり、相輪先端部分の火焔には繊細な彫刻が施されています。


その脇に大小2体のお地蔵さまが佇んでおられます。
その2体のお地蔵さまは、いずれも頬かむりしておられます。
耳地蔵」と呼ばれ、病気平癒にご利益があるということで多くの参拝者が訪ねられるそうです。

南無根本伝教大師福聚金剛

実相院では写経体験をすることも出来、大分県習字の会長を務めたご住職が丁寧に指導してくれるそうです。
また裏手にそびえる山々は耶馬渓に似ている事から“夷耶馬(えびすやば)”とも呼ばれ、秋の紅葉の時期にはトレッキングや紅葉狩りの観光地ともなっていて、その景観は見事だそうです。

九州三十六不動尊霊場 第六番札所 小岩屋山(威王山)無動寺

次回は九州三十六不動尊霊場 第六番札所「小岩屋山(威王山)無動寺」をお伝えしていきます。

願ねがわくは
この功徳くどくをもってあまねく一切いっさいに及およぼし
われらと衆生しゅうじょうと
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜんことを 合掌

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