
今日3月5日はサンゴの日です。
国際的NGO(非政府組織)の世界自然保護基金(WWF)が1996年(平成8年)に、日付が「さん(3)ご(5)」と読む語呂合わせと、珊瑚(コーラル)3月の誕生石であることから制定しました。
ちなみに、珊瑚の宝石言葉は長寿、幸福だそうです。
サンゴ(珊瑚)について
サンゴは、刺胞動物門に属する動物のうち、固い骨格を発達させるものです。
宝石になるものや、サンゴ礁を形成するものなどがあります。

サンゴはポリプと呼ばれる構造を持っています。
このポリプが単体で生活するものを「単体サンゴ」と呼び、有性生殖によって生じた一つのポリプが分裂や出芽を繰り返して生じたクローンが分離することなく集まって生活するものを「群体サンゴ」と呼んでいます。
サンゴの中には体内に褐虫藻(かっちゅうそう)という藻類を共生させているものがいて、それらは造礁性サンゴと呼ばれています。
造礁性サンゴは褐虫藻から光合成産物を供給されるため比較的成長が早く、サンゴ礁を形成します。
造礁性サンゴは光合成により多くのエネルギーを得ているため、光量の多い浅海域に生息しています。
褐虫藻と共生を行わないものは非造礁性サンゴと呼ばれています。
光合成によるエネルギーを得ないため、非造礁性サンゴには深海に生息するものもあります。
海水温の上昇が招くサンゴの危機(WWF・HPより転載)
海水温の上昇は、多くのサンゴにとって深刻な脅威です。
種類や生息環境によって差はあるものの、サンゴの生息に適した海水温は25~28度のため、猛暑などで海水温が30度を超える状態が長期間続くと、サンゴは深刻な「白化現象」にを起こします。

これはサンゴと共生している褐虫藻が、暑さなどのストレスによってサンゴから抜け出し、サンゴの骨格が透けて見え全体が白っぽく見える現象で、これが生じると、サンゴは褐虫藻の光合成から得られる養分を受けられなくなります。
そのため、白化が長期化するとサンゴが弱り、死んでしまうこともあります。
場合によっては海域全体で多くのサンゴが死んでしまうことも珍しくありません。
統計上最も暑かった2023年と同様、2024年の夏も記録的な暑さが続きましたが、こうした継続的な気温の上昇は、海水温も上昇させるため、サンゴにとっては深刻な脅威となります。
実際、2024年の夏、南西諸島では大規模な白化現象が発生。石垣島と西表島の間に広がる日本最大のサンゴ礁の海、石西礁湖でも、その深刻な被害が確認されました。
サンゴの海を守るために(WWF・HPより転載)
気候変動による海水温の上昇傾向は、すぐに変えたり、止めたりすることのできない、深刻な問題です。
今すぐ温室効果ガスの排出を大幅に削減したとしても、しばらくの間は、地球規模の温暖化は進行し、サンゴの海はダメージを受け続けることになるでしょう。
それでも、気候変動を食い止める取り組みは、必ず、確実に実行していかねばなりません。
そのためには、まず気候変動を止める世界の約束である「パリ協定」の目標、すなわち「2050年までには温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを達成する必要があります。

そして、実際の海の現場でも、サンゴを守るために行なうべき取り組みがあります。
たとえば、サンゴ礁の現状を知るための調査や、陸から海に流出してサンゴに悪影響を及ぼす赤土の防止対策、観光による過剰な利用の規制、そして、サンゴの保全の担い手となる地域づくりや、環境教育などです。

これらの取り組みで、海水温を下げることはできませんが、海水温上昇や高水温以外のサンゴへのストレスを軽減することで、白化が起きても、サンゴが生き残れる可能性を高められます。
サンゴや海の生きもの、生態系は急激な変化が起こっているなかでも、それを回避し、適応するしなやかな強さを持っています。
この力を、最大限引き出せるように、海の自然環境を守ることは、サンゴを守る上での喫緊の課題と言えるでしょう。
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