
今日11月18日は「音楽著作権の日」です。
1939年(昭和14年)のこの日、音楽クリエイターたちが集結し、日本音楽著作権協会(JASRAC)が、音楽の著作物の著作権を保護し、あわせて音楽の著作物の利用の円滑を図り、音楽文化の普及発展に寄与することを目的に設立されました。

2019年(令和元年)のこの日には、都内で「JASRAC 創立80周年記念式典」が開催されました。
この式典では、JASRAC会長・いではく氏が今後のビジョンを発表、また、売り上げなどの数字に表れない地道な活動に光を当て、音楽文化の発展に寄与した功績をたたえる「第6回JASRAC音楽文化賞」の贈呈式なども行われました。
著作権とは

知的創造をした人に与えられる「知的財産権」には、著作権のほか、特許権や商標権などの産業財産権があります。産業財産権が工業製品など”産業の発展”を目的とするのに対し、著作権は”文化の発展”を目的としており、産業財産権にはない特徴があります。
また、産業財産権は、特許庁などに出願・登録しないと権利を持つことができませんが、著作権は「創作された時点」から創作した人に権利が発生します。
文章を書いたり、絵を描いたりすれば、誰もがその時点で権利者となります。
著作者の権利には、財産的な利益を守る権利だけでなく、人格や名誉に関わる部分を保護する権利も定められています。著作権法では、前者を「著作権(財産権)」、後者を「著作者人格権」として区別しています。
そして、著作権は、演奏権、複製権(コピー)、公衆送信権(インターネットでの配信)など、利用方法ごとに「○○権」と権利が定められています。そして、それぞれの権利に対して、利用の都度、著作者の許諾が必要となっています。そのため、「著作権は権利の束である」と言われ、それぞれの権利のことを「支分権」と言います。
許諾を得ることなく利用できる場合
次のケースに当てはまる場合は著作権者の許諾なく利用することができます。
著作権の保護期間が終了している場合
著作権は、創作と同時に発生し、原則として著作者が亡くなって70年(死亡年の翌年の1月1日から70年)が経過すると消滅します。
保護期間が満了した著作物は、著作権者の許諾なく利用できます。
多くのクラシック音楽の名曲が著作権が消滅しているのは、この規定のためです。
なお、無名・変名・団体名義の著作物(公表後70年)、映画(公表後70年)などの例外もあります。
また、第二次世界大戦における連合国民の一部の著作権については保護期間に関する戦時加算義務があります。
著作権が制限される規定に当てはまる場合
営利を目的としない上演等

高校の文化祭で生徒が開催するコンサートのように、次の3つの要件を”すべて満たす”場合、著作権者の許諾を得なくても上演・演奏・上映することができます。
①営利を目的としないこと
②聴衆又は観衆から料金を受けないこと
③出演者などに報酬が支払われないこと
私的使用のための複製

個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する目的で、使用する本人が複製(コピー)する場合、著作権者の許諾を得ずに複製することができます。
ただし、違法にインターネット上にアップロードされたものと知りながら著作物をダウンロードする場合など、私的使用のための複製であっても違法となる場合があります。
このほか、著作権の制限には、「図書館等における複製」「引用」「学校その他の教育機関における複製等」などもあります。

著作物は自然に生まれるものではなく、作詞者や作曲者をはじめ、それぞれの著作者たちが労力をかけて創作するものです。
著作者にとって、多くの人に自分の作品を楽しんでもらうことは喜びであり、新たな作品を創作する励みにもなります。
同時に、創作した著作物が利用されるときに正当な対価を得られることも、創作に携わる人たちの創作活動や暮らしを支えるためにとても大切です。
作品への対価が次の創作を支えていく循環を「創造のサイクル」と呼んでいます。
著作権は、「創造のサイクル」を循環させ、新たな文化を生み出すために欠かせないものです。
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